
プロダクトの目指す方向を反映した基本方針の策定
デザインシステムの価値は、プロダクトが目指すユーザー体験が明確に反映されているかどうかで決まるといえるでしょう。私たちは、単に見た目のルールを定めるのではなく、まずプロダクトの目指す方向や提供価値を深く理解し、「何を大切にするか」「どのような体験を提供したいか」といった基本方針を策定します。
この方針が開発チーム全体で共有されることで、デザインの判断が素早くでき、デザイナーとエンジニア、プロダクト責任者の間の認識のずれが解消されます。たとえば、「ユーザーの操作にすぐ反応を返す」という方針があれば、読み込み中の表示やエラーメッセージの実装について迷うことなく判断できるようになるでしょう。新しい機能を追加する際にも、一貫した判断基準として機能するため、品質を保ちながら成長が可能になります。
デザインと開発の両方を理解したチームで支援
デザインシステムを本当に役立つものにするには、見た目を作る人と仕組みを作る人の両方が使いやすい形で作られている必要があります。そのため、「デザインの品質」「プログラムの保守性」「開発の効率性」の三つをバランスよく実現することが重要といえるでしょう。
私たちの組織には、様々な領域の知見を持ったUI/UXデザイナーとフロントエンド・バックエンドエンジニアが在籍しています。デザインと開発の両方を理解したメンバーがチームを組むことで、見た目の統一感を保ちながら、実際の開発現場で使いやすい部品を作ることができます。
たとえば、よく使うボタンやメニューなどを、誰でも使える共通部品として整備します。これにより、デザイナーは毎回細かい指示を出す必要がなくなり、エンジニアは迷わず開発を進められるようになります。結果として、新機能をリリースするまでの時間を大幅に短縮し、開発スピードを向上させることが可能になるでしょう。
また、色や余白、文字サイズなどの基本ルールを明確に定義することで、デザインとプログラムが一致する環境を作ります。デザインツールとプログラムの間で認識齟齬が生まれにくくなり、デザイン変更がスムーズに反映される仕組みを構築できます。
小さく始めて、使いながら改善を続ける進め方
デザインシステムは「作って終わり」ではなく、プロダクトの成長に合わせて継続的に進化させる必要があります。しかし、多くの企業では、せっかく構築したデザインシステムが運用されず、次第に実態とずれてしまうという課題を抱えています。
段階的なアプローチでデザインシステムを構築します。すべてを一度に作り込むのではなく、まず優先度の高い部品(ボタン、入力欄、メニューなど基礎的な要素)から着手し、3〜6ヶ月で最初のバージョンをリリースします。実際の開発現場で使用してもらいながら意見を集め、段階的に拡張していくことで、実用性の高い仕組みを育てていくことが可能です。
また、デザインシステムの構築だけでなく、運用の仕組みや管理体制の設計までを支援します。具体的には、部品の追加・更新ルール、バージョン管理の方法、確認プロセスなどを文書化し、誰でも迷わず活用・貢献できる環境を整えます。管理ツールを活用し、デザイナーとエンジニアが一緒にメンテナンスできる体制を構築します。
必要に応じて社内での運用に向けた教育や内製化支援のワークショップも実施します。開発チームがデザインシステムの意図を理解し、自分たちで運用・拡張できる状態を目指すことで、外部への依存を減らし、組織の開発力を底上げすることが可能になるでしょう。