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新規事業のアイデア創出に役立つ12の発想法とは?

新規事業のアイデア創出に役立つ12の発想法とは?

Posted by スパイスファクトリー公式 | |システム開発

新規事業の成功の可否は、優れたアイデアを生み出せるかにより、大きく変わります。

一方で、新しく、価値のあるアイデアを生み出すのは簡単ではありません。そこで活用したいのが、アイデアを創出するために利用できる発想法やフレームワークです。

本記事では、新規事業のアイデア創出に活用できる12の方法について、詳しくご紹介します。

新規事業とは

新規事業とは、新しいビジネスモデルや市場を開拓する活動を指します。市場競争力の強化や事業リスクの分散、多角化戦略の実現、新たな顧客ニーズへの対応などを目的として行われます。

新規事業への取り組みは、企業の成長のために重要です。に経済産業省による「社会実装を支援するサポート産業の実態とその振興に関する調査」では、新規事業による市場創出を目指した企業は、CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)が約4%に達しているというデータも紹介されています。これは、日本企業の平均である0.8%と比較すると非常に大きな数字です。

このように、他企業に先駆けて積極的に新規事業に取り組むことで、高い成長率の実現につながります。

特に近年では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の普及により、新しい技術やデータを活用し新規事業を展開することが重要となっています。

以下の記事では、DXを新規事業に取り入れるためのポイントをご紹介しています。併せてご覧ください。

DXを新規事業に取り入れるには?事例に学ぶコストをおさえて小さくはじめる方法

新規事業のアイデアを生み出す発想法・フレームワーク

新規事業の企画を行う際には、いかに優れたアイデアを発案できるかが重要となります。以下では、アイデアを生み出すための発想法やフレームワークをご紹介します。

KJ法

KJ法は、日本の文化人類学者である川喜田二郎氏が考案したアイデアを整理するための手法です。

KJ法では、アイデアをカードに書き出し、それらをグループ化しながら関係性を見出すことで、新たな発想や洞察を得ることを目的とします。

KJ法は以下のステップで進めていきます。

  1. 各アイデアや情報をカードに書き出す。
  2. 書き出したカードを机や床に広げ、内容を確認しながらグループ化する。
  3. グループごとにラベルをつけ、各グループの共通点や相違点を分析する。
  4. 最終的に、グループ間の関係性を図にまとめ、新たな発想や解決策を導き出す。

KJ法は直感的かつ視覚的にアイデアを整理できるため、チーム内での意見交換やブレインストーミングの際に有用です。

マンダラート

目的の設定や深掘りに用いられるマンダラートもまた、アイデアの発想に用いることができるフレームワークです。

最初に、9つの枠に分かれたマトリックスの中央にテーマを配置し、その周囲に関連する8つの要素を記入します。その後、それぞれの要素を中央に移し、新たに関連する8つの要素を追加していきます。

この形で整理することで、幅広い視点からアイデアを発展させることができます。

デザイン思考


デザイン思考とは、ユーザー中心のアプローチを用いて創造的な問題解決を行うフレームワークです。新規事業の開発のみならず、ビジネス戦略や組織改革など、幅広い分野で応用されています。

デザイン思考は以下の5つのステップで進めます。

1. 共感(Empathize)
ユーザーのニーズや課題を深く理解するために、観察やインタビューを通じて共感します。ユーザーの視点に立ち、彼らの感情や行動を探ります。

2. 問題定義(Define)
得られた視点を基に、解決すべき具体的な問題を定義します。

3. アイデア創出(Ideate)
ブレインストーミングなどの手法を用いて、多様なアイデアを生み出します。まずはアイデアの量を重視し、自由な発想を行います。

4. プロトタイプ(Prototype)
選ばれたアイデアを基に、簡易的な試作品を作成します。プロトタイプは迅速かつ低コストで作成し、実際の検証に利用します。

5. テスト(Test)
ユーザーにプロトタイプを使用してもらい、フィードバックを得ます。このフィードバックを基に、アイデアやプロトタイプを改善し、再びテストを行います。

デザイン思考では、試行錯誤を行いながら解決策を磨き上げていきます。ユーザーの視点を大切にすることで、ユーザーにとって価値のあるアイデアを生み出すことができます。

ジョブ理論

ジョブ理論は、顧客が製品やサービスを利用する理由を理解するためのフレームワークです。

ジョブ理論では、顧客が特定の仕事を片付けるために製品やサービスを「雇う」という観点から顧客のニーズを分析します。

たとえば、ファーストフード店においてドライブスルーで商品を選択する場合、味やフレーバーなどよりも「通勤中の空腹と退屈を紛らわす」ことが顧客にとって重要となります。

よって、いかに味やフレーバーを工夫しても、効果のない施策となってしまいます。

このように、製品やサービスを利用することで、顧客がどのような仕事を達成しようとしているのかを理解し、適切な製品やサービスの提供につなげていきます。

SCAMPER法

SCAMPER法は、アイデアや製品の改良・革新のためのフレームワークです。アイデアを無から生み出すのではなく、既存のアイデアを様々な観点から深掘りする際に利用できます。

SCAMPERとは「代用(Substitute)」「組み合わせ(Combine)」「応用(Adapt)」「修正(Modify)」「転用(Put to another use)」「排除(Eliminate)」「逆転(Reverse)」の略称です。

これらの視点からアイデアを深掘りしていくことで、アイデアを深化させたり、新たなアイデアを発見したりすることができます。

PEST分析

PEST分析は、自社を取り巻く外部環境を政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology)の4つから分析する手法です。

各要因の評価方法については下表のとおりです。

要因概要
政治的要因政府の規制、税制、貿易政策、労働法など、政治環境を評価
経済的要因経済成長率、インフレ率、為替レート、失業率など、経済指標を分析
社会的要因人口動態、文化、教育水準、ライフスタイルの変化などを評価
技術的要因新技術の進展、研究開発の動向、技術インフラの整備状況を分析

PEST分析では、これら4つの視点から外部要因を分析し、企業の戦略的計画策定のインプットとします。

SWOT分析


SWOT分析では、自社を取り巻く内部・外部環境を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの視点から評価します。

SWOT分析を用いると、自社の現状を多角的に分析でき、競合との差別化やリスク回避策を立てやすくなります。

新規事業においては自社が持つリソースや設備、ノウハウなどの強みを理解しつつ、どのようなリスクがあるのかを把握するために活用できます。

3C分析


3C分析は、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から市場を分析する手法です。

これらの観点を通して、自社の強みと弱みを理解し、競争優位性を確立するための戦略の検討を行います。

特に新規事業を立ち上げる際には、顧客ニーズの把握や競合他社の動向分析、自社のリソース評価といった観点が重要となります。

この3C分析を通じて、市場の現状を整理しつつ、参入機会を見極めることができます。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、市場内で自社が競合と比較してどのような位置にあるかを視覚的に示すためのフレームワークです。一般的に二次元のグラフとして描かれ、縦軸と横軸には顧客にとって重要な属性が配置されます。

たとえば、「価格と品質」や「デザインと機能性」といったポジショニングマップが考えられます。ポジショニングマップを作成すると、市場内での競合との比較が容易となり、自社の立ち位置を分析しやすくなります。

ペルソナ分析


ペルソナ分析は、顧客像を具体化するフレームワークです。架空の人物を「ペルソナ」として設定し、その属性や行動、ニーズ、課題を詳細に記述します。

具体的な顧客像を描くことで、新規事業の設計において実際の顧客視点を取り入れたアイデアを生み出すことにつながります。

また、ペルソナを定義することでチーム内での顧客理解を一貫させることができ、アイデア出しの方針に迷った場合に立ち返りやすくなる効果も得られます。

オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、企業が自社内だけでなく、外部のリソースや知識を活用して革新的なアイデアや技術を生み出す取り組みのことです。

研究機関、大学、他企業、スタートアップなど、外部のパートナーと協力することで、新しい価値を創出することを目指します。

オープンイノベーションにより、自社にない技術や視点を活用した新規事業の立案が可能となります。また、外部リソースの活用により、研究開発のコストやリスクを分散できる点もメリットといえるでしょう。

アイデアを事業化する上では仮説・プロダクト検証が鍵

ここまでアイデアを生み出すためのフレームワークについてご紹介してきましたが、実際にアイデアを事業化する際には、仮説検証のプロセスも重要です。

以下では、アイデアを事業化するために重要となるビジネスの立ち上げ方や検証方法についてご紹介します。

適切なプロセスでビジネスを構築する

まず、新規事業開発においては適切なプロセスでビジネスを構築していくことがポイントです。
新規事業を立ち上げるための一般的なプロセスは以下のとおりです。

これらのプロセスに沿って、新規事業の企画から分析、実効性の検証までを進めていきます。

ステップ詳細
1.責任者のアサイン新規事業の責任者を選任しつつ、明確な責任と必要な権限を与える
2.アイデアの発想ブレインストーミングや市場のトレンド分析を通じてアイデアを出す
3.事業ドメインの決定多数のアイデアから実現可能で重要なものを選ぶ
4.事業理念・コンセプト・ビジョンの明確化具体的な事業モデルや価値提供方法を明確化し、組織内で共有する
5.市場・競合・自社の把握市場調査、競合調査、自社分析を行い、現状を把握する
6.事業アイデアの数値的な分析・予測売上高、投資対効果、顧客獲得数、顧客満足度などの観点で事業を数値的に分析する
7.新規事業立ち上げ環境の整備予算や必要なリソース、スキルを持った人材を確保する
8.要件定義の実施新規事業にあたって求められるシステムの機能や性能を明確にする
9.施策の実行・効果検証PoCを実施し、改善点を見つけブラッシュアップを行う

各プロセスの詳細については、こちらの記事で解説しております。併せてご覧ください。

※関連記事:新規事業とは?成功事例と共にポイントを解説します

仮説・プロダクト検証のスピードが鍵

特に検証のプロセスにおいては、スピード感が重要となります。市場が高速に変化する現代のビジネス環境においては、アイデアを生み出してから市場投入までに時間をかけすぎると、せっかくの優れたアイデアも時代遅れとなってしまう可能性があります。

スピード感のある検証を行うためには、アジャイル開発やPoC、MVP開発、ラピッド・プロトタイピングなどの手法が活用できます。

〇アジャイル開発
アジャイル開発は、ソフトウェア開発手法の一つで、迅速かつ柔軟にプロジェクトを進めることが特徴です。

アジャイル開発ではプロジェクトを小さな反復期間に分け、短期間で成果物をリリースし、それを基にフィードバックを受けながら改善を進めます。この手法により、変化する顧客のニーズや市場環境を迅速に理解することができます。

なぜ今、アジャイル開発×デザイン思考が新規事業開発に必要なのか

〇PoC
「Proof of Concept」の略で、概念実証を指します。PoCでは実際に動作するプロトタイピングを構築し、検証を行うことで、ビジネスアイデアの実現可能性や効果を測ります。

PoC を行うことで、想定している仮説が正しいか、また技術的に実現可能かを低コスト・低リスクで検証できます。

PoCとは。ビジネスにおけるPoC活用メリットや進め方を徹底解説

〇MVP開発
MVPとは、必要最小限の製品(Minimum Viable Product)の略です。MVPを構築することで、顧客の反応を素早く確認できます。コストと時間を節約しつつ、ユーザーのニーズに合った製品を早く提供できる点がMVP開発のメリットです。

MVP開発とは?アジャイル開発との違い、実施プロセスや注意点を解説

〇ラピッド・プロトタイピング
ラピッド・プロトタイピングは、迅速性を重視して高速に試作品を作成する手法です。プロダクトの迅速なリリースが可能となり、新規事業の効果検証を素早く行うために有用なアプローチといえるでしょう。

ラピッド・プロトタイピングとは?導入目的・メリットとプロセスを分かりやすく解説

スパイスファクトリーが支援した新規事業開発の事例

最後に、当社が実際に支援した新規開発事業の事例をご紹介します。

【事例1】本田技研工業株式会社様

一つ目の事例は、世界有数の自動車メーカーである本田技研工業株式会社様のPoCプロジェクトです。当社は本プロジェクトにおいて、プロトタイプ開発から検証、システム開発への移行まで、一貫したサポートをご提供いたしました。

本プロジェクトにおいては、新規事業の市場ニーズを的確に把握するため、プロトタイプ開発とリサーチを2ヶ月で実施しました。ユーザー体験の導線まで設計されたプロトタイプを開発することで、具体的なフィードバックの取得に寄与できた事例です。

※参考:本田技研工業株式会社|PoC支援

【事例2】伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様

もう一つご紹介するのは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様のDX新規事業の支援に関する事例です。こちらの事例では、メンバーがプロジェクトチームに加わり、プロトタイプの開発まで担当しました。

本プロジェクトにおいては高速でプロトタイプを開発しつつ、マーケターやUI/UXデザイナーによりデザインやリサーチ、デザインシンキングのワークショップも提供しました。

※参考:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社|DX新規事業支援

まとめ

この記事では、新規事業のアイデア創出に活用できる12の発想法についてご紹介しました。
発想したアイデアが有効であるかどうかは、検証してみないと分かりません。

素早くアイデアを検証するためには、ご紹介した通りアジャイル開発やPoC、MVP開発、ラピッド・プロトタイピングなどの手法を活用することがポイントとなります。

当社では、これまで多くのお客さまの新規事業開発を、アジャイル開発によるプロジェクト推進やPoC、MVP開発の実施などの観点から支援してまいりました。

新規事業開発に関してお悩みやご質問がある方は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。

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