こんにちは。企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化を支援するスパイスファクトリー株式会社です。
当社では、PoC 支援のサービスも展開しており、クライアント企業様の PoC プロジェクトにおいて、プロトタイプ開発から検証、さらにその先の本開発まで、一気通貫でサポートをしています。詳しいサービス内容はをご覧ください。
社内やチームにて新たなビジネスアイデアに対する PoC を行おうとしている場合、具体的に PoC の計画を立案する必要があります。
しかし、何から計画すればよいか、何を確認すべきか分からない、と悩まれている方は多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では PoC の計画にあたり事前に押さえるべき 8つの項目についてそれぞれご説明します。
Contents
PoC の計画にあたり押さえるべき8つの項目
PoC は新規事業やビジネスアイデアに対して、試作と検証実験を行い、持続的な有益性があるかを検討します。
アイデアだけで終わらせず、新規事業や新たなプロダクトが会社の利益と発展につながるかを検証する、重要な実証実験です。
このような PoC プロジェクトを成功させるために、どのような点を押さえて計画するべきか。
絶対に押さえておくべき項目は以下 8つの項目になります。
- ①目的・ゴール
- ②KPI
- ③スコープ
- ④ターゲット
- ⑤プロトタイプ種別
- ⑥体制・役割
- ⑦スケジュール
- ⑧予算
次項から各項目についての詳細をお伝えします。
①目的・ゴール
PoC を行うにあたり、まずは PoC の目的を整理することが重要です。
この目的・ゴールの項目では、PoC の目的を明確にすることと PoC を通して何をやるのか、大筋の流れを計画します。また、PoC の次に進むべきアクションも事前に仮説を立てて整理する必要があります。
PoC は、実際のシステム開発や事業開発とは異なるため、事前にきちんとやるべきことを整理しておかなければ手段が目的化するリスクがあります。
最近では、無意味な検証を実施しお金をどぶに捨ててしまう行為を指す「PoC死」という言葉も出てきており、注意が必要です。
また、企業規模が大きくなればなるほど「PoC をする」という会社の方針は決まっているが、実際にプロジェクトを担当する当のメンバー達が「何をどうすればいいかわからない」と目的が不明瞭になっている事態が起こりやすいです。
その場合は、PoC の目的整理などから DX や PoC をサポートしてくれるベンダーに伴走してもらうのも一つの手です。
②KPI
次に PoCプロジェクトの KPI を事前に整理しておくとよいでしょう。
KPI を定めることで、社内で次のアクションを進める際の指標になります。その指標がユーザビリティをはかるものだと、PoC 前後の KPI数値を比較できるため効果測定の幅を広げることにもつながるでしょう。
ちなみに UX に関する KPI には、行動KPI と態度KPI の 2種類があります。
行動KPI とは、ユーザーの行動を数値化したもので、タスク成功率やタスク処理時間などを指します。
態度KPI は、ユーザーが利用後にどのように感じているのかを数値で測定するもので、システムユーザビリティスケール(SUS)、ネットプロモータースコア(NPS)、顧客満足度(CSAT)などを指します。
上記の KPI については以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
③スコープ
PoC の目的とゴールを決めたら、次は PoC の対応範囲を明らかにしていきます。
スコープは欲張りすぎず、目的達成できる最小限の範囲で決めていくのがおすすめです。ここで欲張りすぎると、リスク低減や開発コスト削減といった本来の PoC のメリットが得られなくなる恐れがあります。
PoC にどのようなメリットがあるかについては下記記事が参考になります。
既存システムのリニューアルやフィジビリティスタディですでに現状課題がある程度ある場合は、その課題に対して必要なアプローチを検討していきます。PoCでどこまで何をやるかなどスコープを明確にすると、課題に対するアクションを絞りやすいでしょう。
自社で新しいサービスの PoC を行う場合、欲張らずそのサービスのメイン機能やこれから注力したいところに絞るのも一つです。
④ターゲット
PoC の目的とゴール、スコープを決めたら、次はターゲットを明確にしましょう。
今回のプロダクトは誰が利用するのか、それはどういう人なのかを事前に整理する必要があります。
PoCプロジェクトが始まったからといって急にプロトタイプの開発に着手するのは危険です。プロジェクト開始の前に、ターゲットユーザーを理解するというフェーズがありますので、以下のような手法を用いて実際に理解を進めていきましょう。
- デプスインタビュー
- エスノグラフィー調査
- 競合調査
このタイミングで、ターゲットはある程度明確にしておきましょう。
⑤プロトタイプ種別
PoC では、検証に使用するプロトタイプを作成する事が多いので、どういったプロトタイプをつくるかを明確にしておくと今後の体制や予算について考えやすくなります。
参考:システム開発におけるプロトタイプ・モデルのメリットと注意点
PoC の外注を考えている場合は、このあたりを含めていくつかのベンダーに相談してみるのもよいでしょう。
プロトタイプ種別は以下の通りです。
- ファンクショナルプロトタイプ
- デザインプロトタイプ
- コンテクスチュアルプロトタイプ
それぞれ解説していきます。
ファンクショナルプロトタイプ
ファンクショナルプロトタイプは、サービスの一連の導線を確認することができるプロトタイプです。紙で設計してテストするペーパープロトタイプなどを使い、デザインのアイデアを画面レイアウトやコンテンツに落とし込みます。
ファンクショナルプロトタイプを選ぶメリットは、比較的スピーディかつ安価で作成でき、サービスの流れをユーザーに確認できる点です。また、検証で出た課題を素早く反映し、検証サイクルを繰り返し回すことも容易です。
デザインプロトタイプ
デザインプロトタイプは、Figma・Sketch・Adobe XD などのプロトタイピングツールを使ったリアリティを持たせたプロトタイプです。ファンクショナルプロトタイプに具体的な色や形、動きを加えた試作で、見た目をより完成品に近付けたものとなります。
デザインプロトタイプを選ぶメリットとしては、機能に加えてデザイン面も完成形に近づけるので、機能面のチェックに加えて視認性も確認できることです。また、本開発に近いレベルまで解像度を上げることは、操作性などユーザーの「感性・感覚」までを含めた検証を可能とします。
コンテクスチュアルプロトタイプ
コンテクスチュアルプロトタイプは、文脈的なプロトタイプを意味します。ユーザーに製品の利用時のイメージを抱いてもらうためのプロトタイプという理解をしていただくとよいでしょう。
たとえば、アプリを実際に使用している様子を動画で撮影し、ユーザーへ公開するといったイメージです。
コンテクスチュアルプロトタイプを選ぶメリットとしては、ユーザーに疑似体験をしてもらうことで、実体験のように体感した感覚で新しい製品の良し悪しがわかることです。
⑥体制・役割
プロトタイプの方針を決めたら、次はチーム体制を考えましょう。
PoC の目的や KPI、スコープなどが見えてきたらアサインすべき最適なメンバーが判断できるようになります。
考えられるアサインメンバーは、ビジネスディベロップメント・マーケター・UI/UXデザイナー・UXリサーチャー・エンジニアなどです。
PoC を社内で進める場合は、関連部門などもあわせて体制を整えてください。
社外に依頼する場合は、この時点で細かく決めずともある程度提案してもらえると考えてよいでしょう。
⑦スケジュール
チーム体制を考えたら、次に PoC のスケジュールを決めましょう。
PoC の納期を区切るだけでなく、PoC の準備フェーズや PoC 後の流れも踏まえてある程度大筋を整理する必要があります。
PoC の準備フェーズでは、ユーザーリサーチやコアバリュー策定などで最短でも1か月ほどかかります。
PoC 実施では、実際にプロトタイプ開発を実施し、検証を行います。選択したプロトタイプの種別によってスケジュール感は大きく変わってきますが、ここも最低でも1か月はかかることが多いです。
PoC 後の流れというのは、PoC の実施後の本開発などを指します。この段階で詳細なスケジュールを決める必要はありませんが、PoC がうまくいった場合はその次にどう進めていくのかをざっくりで良いので考えておきましょう。
実際のプロダクトローンチの期限がある程度予測できるのであれば、今後の PoC のスケジュールにも大きくかかわってくるため明文化しておいた方がよいでしょう。
また、PoC 後そのまま本開発に入りたい場合は、極力本開発の際の実現可能性を踏まえて進めてください。
具体的には、実際の本開発で実装できるかどうかという観点でエンジニアレビューを入れたり、問題がある場合は即座に解決方法を探したりと持続的に実現可能なプロダクトなのかを判断します。
プロトタイプ段階でエンジニアによるレビューを入れることで、本開発に進んだ際の手戻りを防げます。実現可能性や費用対効果をみながら検証することが重要です。
そうすること、スピーディに PoC から開発へ進めることが可能です。
当社、スパイスファクトリーは、PoC から本開発までの一気通貫支援を強みとしています。PoC や開発まわりでお悩みの方はぜひください。
⑧予算
スケジュールを立てる際に、会社の予算が決まっている場合はそこに合わせて計画を立てていく必要があります。
特に予算が決まっていない場合で、他部署が PoC や DX に関する取り組みをしている場合はその際の予算や実施内容をひとつの参考にするのもよいでしょう。
また、一般的に PoC の予算相場は、サービス内容や開発期間にもよりますが、100万円〜数百万円となります。
すでに構築しているものをカスタマイズして開発する場合は、費用が安くなる場合もあります。
逆に一から開発を行う新規プロダクトの場合は、相場より高くなる場合もあります。
正しい計画の立て方を実践し、PoCプロジェクトの成功へ
PoC の計画を立てるにあたって、押さえるべき項目をお伝えしてきました。
少しでも、あなたのビジネスのお役に立てましたら幸いです。PoC の計画を立てる際はもちろん、計画書や RFP 作成にもお役立てください。
また、本記事の中でご不明点などございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
当社は PoC から本開発までの一気通貫支援や、最短2か月でのPoC 実施が可能です。
弊社の詳しいサービス内容はをご覧ください。
PoC やシステム開発、新規ソフトウェアの開発についてお悩みがありましたら、ぜひください。
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