毎日使うインターネットでも、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を抑えるための取り組みが始まっています。この記事では、サステナブルウェブを理解し、今すぐに取り組めるいくつかのTIPSを解説いたします。
サステナブルウェブとは?とは
サステナブルウェブとは、ウェブサイトやデジタルプラットフォームを開発、運用する際に、環境、社会、および経済の側面に焦点を当て、持続可能性の原則に従った取り組みを指します。
具体的には、ウェブサイト開発・運用におけるサステナビリティ取り組みとして、ウェブデータの最適な取り扱いをすることによりエネルギー効率を上げて環境負荷を減らしたり、アクセシビリティを担保し誰もがアクセスできるようにしたりすることが挙げられます。
サステナブルウェブを構築する上で取り組むべきポイント
ウェブサイトやデジタルプラットフォームの開発・運用においてサステナビリティを向上させるにあたり、多様なアプローチがあります。代表的な取り組みをフロントエンド、バックエンド、UXの3つの視点から各ポイントを挙げてみます。
フロントエンド
軽量なデザインとコーディング
ページのデザインやコードを最適化し、余分なリソースや冗長なコードを避けます。CSSやJavaScriptの最適化、不要な画像の削減などが該当します。
レスポンシブデザインとモバイル最適化
モバイルデバイスに対する最適なレイアウトとデザインを提供し、不要なデータの転送を減らします。これにより、低速なモバイルネットワークでのアクセスも効率的になります。
非同期読み込みとキャッシング
ページの読み込みを高速化するために、非同期読み込みやキャッシングを活用します。これにより、ユーザーが同じコンテンツに何度もアクセスする場合に冗長なデータ転送を避けることができます。
バックエンド
エネルギー効率の最適化
バックエンドの処理やデータベースアクセスを効率化し、エネルギーの効率的な利用を図ります。クエリの最適化やリソースの効果的な利用が促進されます。
再生可能エネルギーの利用
サーバーが稼働するデータセンターが再生可能エネルギーの利用可否を確認し、クラウドプロバイダーの選定時にも再生可能エネルギーの採用を考慮します。
スケーラビリティの確保
トラフィックの変動に対応できるように、スケーラビリティを考慮したアーキテクチャを構築します。必要に応じてリソースを柔軟にスケールできるような設計が求められます。
UX
効率的なデータ取得と表示
ページやアプリケーションの読み込み時間を最小限に抑え、ユーザーが迅速に情報にアクセスできるようにします。これには、非同期通信や必要なデータの先読みなどが含まれます。
省エネルギーのユーザーエクスペリエンス
デバイスのバッテリー寿命を考慮して、アニメーションや動画などのエネルギー消費の高い要素を最小限に抑える工夫が必要です。
アクセシビリティ
異なる能力や特性を持つ全てのユーザーを考慮するためには、アクセシビリティの原則に従うことが重要です。アクセシビリティに配慮することで、視覚的、聴覚的、運動能力に制約のあるユーザーも含めて幅広いユーザーグループが利用しやすくなります。
サステナブルウェブに取り組む代表的な企業の例
サステナビリティに関する法規制や規準が整備され、企業に対する環境に優しいプラクティスの遵守が求められています。これに合わせて、企業と消費者の双方がサステナブルな選択をより意識するようになったことで、市場全体でのサステナビリティの認識が向上し、サステナブルウェブの取り組みがグローバル企業において進んでいます。
サステナブルウェブに取り組む代表的な企業事例をご紹介します。
Googleは自社のオペレーションにおいて再生可能エネルギーを大規模に導入しています。データセンターのエネルギー消費を再生可能な資源に依存するようにし、その一環としてサステナブルなウェブインフラの構築を進めています。
また、GoogleはChromeブラウザのエネルギー効率向上にも取り組んでおり、特にモバイルデバイスでのバッテリー寿命の最適化に注力しています。
Microsoft
Microsoftはデータセンターにおけるエネルギー消費を再生可能エネルギーに依存する方針を採用しています。また、データセンターの設計や運用を最適化し、省エネルギー化を進めています。
また、製品やサービスのアクセシビリティを高めるための取り組みも進めており、全てのユーザーに包摂的なデジタル体験を提供するために努力しています。
フォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンでは、画像データはテキストに比べデータ容量が多いことから、ウェブサイト上の画像をASCIIアートのように文字で全て表現しエネルギー消費を抑えるサステナブルウェブの導入を行いました。
すぐに実践できる7つのTIPS
サステナブルウェブを構築するには、幅広い観点からサステナビリティを見直しアプローチしていく必要がありますが、中には誰でも簡単に取り組めてサステナビリティを向上できるものもあります。是非このような取り組みから始められてはいかがでしょうか。
キャッシングの活用
キャッシュを有効にすることで、ユーザーがサイトに複数回アクセスした際に、一部のデータを再ダウンロードする必要がなくなります。これにより、サーバーの負荷が減り、ページの読み込みが高速化されます。
不要なリダイレクトの削減
不要なリダイレクトは、サーバーやネットワークの負荷を増やす原因となります。ページの構造をシンプルにし、不要なリダイレクトを削減することで、エネルギーの無駄な消費を減らします。
ホスティングサーバーの最適化
より効率的でエネルギー効率の高いホスティングサーバーを選ぶことで、ウェブサイトのパフォーマンスを向上させつつ、エネルギーの使用を最適化できます。
不要なプラグインの削除
ウェブサイトに不要なプラグインやスクリプトを最小限に抑えます。これにより、ページの読み込み時間が短縮され、冗長な処理を減らせます。
画像の最適化
高解像度の画像はデータ転送に時間とエネルギーを消費します。画像を最適化してファイルサイズを削減し、ウェブサイトの読み込み時間を短縮させます。オンラインの画像最適化ツールを利用すると便利です。
フォントの最適化
多くのウェブサイトでは、カスタムフォントを利用してデザインをカスタマイズしますが、これらのフォントはページの読み込みに時間がかかり、エネルギーを消費します。デフォルトフォントを使用し、必要最低限のフォントの使用に留めることが求められます。。
カラーリングの最適化
カラーパレットをシンプルにし、必要最小限の色を使用することで、デザインが洗練され、読み込み速度が向上します。
サステナブルウェブを意識することで、消費電力を削減し、地球環境に貢献できる取り組みです。
先進的な取り組み事例とともに、すぐにできる取り組みをご紹介させていただきました。
地球環境にもユーザーにも優しいサステナブルウェブへのサイト改善は、弊社でも積極的に採用していきたいと考えています。ぜひお声がけください。
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