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【セミナーレポート】スタートアップから大企業までのD2Cビジネスモデル成功秘訣を紹介

【セミナーレポート】スタートアップから大企業までのD2Cビジネスモデル成功秘訣を紹介

2021年11月24日(水)に開催されたセミナーにおいて、株式会社オープンロジ マーケティングシニアパートナーアライアンスの臼井拓也(以下、臼井氏)とスパイスファクトリー株式会社 CTO 泰昌平(以下、泰)が「スタートアップから大企業までの D2C ビジネスモデル成功秘訣」をテーマに解説した。

会社紹介

【株式会社オープンロジ】
「テクノロジーを使い、サイロ化された物流をネットワーク化し、データを起点にモノの流れを革新する」をビジョンに掲げ、物流フルフィルメントプラットフォーム「オープンロジ」を提供している。Shopify 連携実績は 600 件以上に及ぶ(2021年11月時点)。
https://service.openlogi.com/

【スパイスファクトリー株式会社】
世界がより良い方向に向かうよう、変化を加速させる “触媒”(スパイス)としての役割を全うすることをミッションとした DX エージェンシー。最新テクノロジー、UI/UX、アート、マーケティングなどの技術・メソッドを用いて、モノゴトを素早く、美しく、本質的に再定義し、幅広いクライアントのデジタルトランスフォーメーションを支援。
https://spice-factory.co.jp/

 

Shopify×SaaSで実現するD2CブランドのCX設計について

はじめに、当社 CTO 泰が「Shopify と SaaS で実現する D2C ブランドの CX (カスタマーエクスペリエンス)設計」について言及した。

Shopify構築とSaaS活用

具体的には、Shopify×Openlogi や Shopify×HubSpot など、各サービスとの連携による開発についてである。
Openlogi・Shopify・HubSpot、この3つを組み合わせることによって、スピーディーに、かつ多機能なプロダクト制作が可能になったという。

「ECでサービスを行う際は物流や倉庫のことを考える必要がありますが、オープンロジ様と組むことで物流と倉庫業務の自動化が可能になりました。オープンロジと Shopify と HubSpot を組み合わせたことで、お互いの強みを掛け合わせた最大限の支援ができるようになったのです。」(泰)

企業事例「NAGIE」

当社泰から、Shopify 構築と SaaS 活用における事例として、三菱商事ファッション様の「NAGIE」ブランドについての説明があった。
NAGIEは、衣類に再生素材を使用しているアパレルブランドである。当社は、NAGIE の ECサイト構築とポップアップストアの展開において支援させていただいた。

「SaaS 活用により、開発以外のところに工数をかけられました。NAGIE は、システム開発へのコストよりもサイトの世界感や CX への投資が可能になった事例になります。」(泰)

サイトの世界感や CX への投資

では、サイトの世界観・CXへの投資に対してどのようなアクションを取ったのか。
具体的なものとして2点説明があった。

1つは、User Storyの作成についてである。
NAGIEの全体設計として、まず User Story を作ることを重視した。

「まずは、誰がどのタイミングでどのようなアクションを起こすのか、というところから始めました。たとえば、サイト認知から商品受け取り後のサポートまでの中で、どのフェーズで、お客様・開発者は、何をやる必要があるのか。縦軸と横軸で切り分けて抜け漏れがないようにしながら設計を進めています。」(泰)

この段階で、誰が何をやるかを明確にしつつ、機能的にはどこを活用して運用していくかなどの機能要件をすべて洗い出していくことが重要だ。たとえば「この部分には Shopify アプリで、この部分には HubSpot 機能で対応する」等の選別である。

2つ目は、ECサイト内で着用シーンを表現したことについてである。
NAGIE のECサイトには「SCENE」のタブが設置されている。
サイト設計において、NAGIEの世界観をどのように表現していくかについては幾多もの検討があったという。

「実際に NAGIE の商品をどんな場面で着用するかをイメージしてもらうために、「SCENE」のページを作成しました。NAGIE を利用することでどんな形で自分が着用できるのかをイメージしやすくするにはどう表現すべきか、というところをかなり重視して考えました。」(泰)

NAGIE

SaaS連携

また、NAGIE 事業の大きな肝であった SaaS連携 についても説明があった。

「まず、大きなところだとオープンロジ様とのロジスティクス連携と HubSpot 連携を行いました。これらに関しては、Shopifyアプリを導入することにより最低限の情報入力のみで連携が可能になります。そのため、連携作業にそれほど時間はかかりません。
Shopifyでは、基本的に Shopify アプリを活用することでプラグイン的に ECサイトを拡張することが可能になります。Shopifyアプリの制作会社は世界でも多く存在しており、ユーザーのニーズに応じた機能拡張を行うことが容易にできるため便利です。」(泰)

また、Shopify のカスタマイズ方法において、実際に NAIGE で使用された Shopify アプリの拡張機能が紹介された。

在庫数の設定が閾値を下回った場合に通知を行うアプリ。
NAGIEでは限定受注生産を行うため、生産側との連携として使用。

多言語対応を行うアプリ。サイトの自動翻訳と各種言語ページの作成が可能。

サステナブルの観点からの不要な資源を削減。注文完了メールに納品書PDFを埋め込み。

商品ページにパスワードをかけるアプリ。POPUP限定商品に使用。
会場でパスを発行→会場に来ていただいたお客様のみ購入可能な商品を作成。

SNS連携を可能にするアプリ。SNSとの連動により、NAGIE の世界観や最新情報の発信を行う。
※Shopifyアプリの拡張機能ではないが、NAGIE では Shopify と連携することで情報発信を行った。

また、HubSpot の機能についても簡単に紹介があった。HubSpot との連携により、ユーザーとのコミュニケーションを加速できることが大きなメリットである。
HubSpot についてはこちらから↓

HubSpot CRMの基本説明と具体的な機能活用例

スタートアップから大企業までのD2Cビジネスモデル成功秘訣

次に、オープンロジの臼井氏から「スタートアップから大企業までの D2C ビジネスモデル成功秘訣」について紹介があった。

Shopifyマーチャントのフェーズ別課題

オープンロジののクライアントが抱える Shopify に関する悩みは、大きく分けて3つ存在すると臼井氏はいう。それらは、立ち上げ期、成長期、拡大期それぞれのフェーズにおける悩みである。

Openlogi

物流の全体感とEC物流の基本

上記の悩みを解決するにあたって、物流のタスクを整理することが大事だと臼井氏は語る。

物流

「サプライチェーン全体像を見ると、調達>生産>物流>販売>顧客と進んでいきます。このように通常、物流というと調達から顧客に届くまでの流れを指します。しかし、ECサイトは店舗を持たないことが特徴であるため、調達からではなく、生産から顧客までの流れが”物流”といえるパターンが多いです。後者の役割を担うのがオープンロジになります。」(臼井氏)

臼井氏は、生産から顧客に届けるまでの「物流」とは何かについても言及した。
「この場合、物流とは入荷・保管・出荷の3つから構成されています。」(臼井氏)

入荷について

「工場から皆様(EC事業者)が荷受けをしたのち、検品を行います。その後、特定の場所にロケーション入れをし、入荷商品のデータ入力が行われます。」(臼井氏)

保管について

「在庫品質管理をしていきながら、場所の管理、数があっているか棚卸しを行い、保管環境の整備をしっかり行っていきます。」(臼井氏)

出荷について

「最後に一番難しいのが出荷の部分です。注文を毎日確認し、商品をピックアップして適切な素材を選びます。その後も梱包、送り状の発行、集荷の依頼など手続きが続き、やっと引き渡しです。さらに出荷で複雑なのが、途中でキャンセルが出たり追加の注文が出る可能性もあるということです。しっかりとフロー通りに作業していても、逆戻りしたりすることがあります。」(臼井氏)

出荷のみを切り取ると、発送件数 100 件あたり作業時間は約 500 分(8時間20分)、料金は梱包料金・配送料金含め約 115,000 円ほどかかるという。
このように物流には莫大な時間やお金がかかってくるのだ。

「オープンロジを使った場合、この作業時間を 10分の1 に短縮できます。これは、API連携により出荷指示や在庫反映などの業務を自動化しているためです。さらに同上の条件の場合、人件費込みで配送料金が 80,000 円ほどになります。オープンロジでは、初期費用や固定費が無料となっており、従量課金で物流フルフィルメントサービスを利用できます。」(臼井氏)

openlogi

コスト削減のみならず、物流に割く作業工数も短縮できるとなると、その他の施策考案に使える時間が必然的に増える。物流を自社で行うか外部委託するかで迷った際は、時間と費用に加え、事業成長を見据えたうえでどこに時間を割くべきかを考えて選択することが望ましい。

物流業界の選定ポイント~食品EC事業者の場合~

外部委託する際は、どのようなポイントを見て企業選定をすればよいか。

Shopify を中心に D2C ビジネスが急拡大する中で、オープンロジには家具やアパレル、エンタメ業界から問い合わせがくるという。最近では特に、食品EC事業者からの問い合わせが増えていることから、ここでは食品EC事業者を例に臼井氏から説明があった。

「物流業界選定の際は、自社の悩み解決が最も可能な物流業界を選ぶことがポイントです。食品に関しては、定温・冷蔵・冷凍など、食べ物によって管理方法が大きく異なります。それゆえ、扱っている商品ごとに倉庫やシステムに求めることも異なってきます。」(臼井氏)

【食品EC事業者のニーズ】

上記のお悩みに対するオープンロジの特徴は以下である。

  • 複数冷蔵冷凍倉庫の同時立ち上げ
  • 1拠点での3温帯機能の倉庫立ち上げ
  • 従量課金での冷凍冷蔵利用の開始
  • システム上での温度管理選択
  • 賞味期限の近いものから出荷する等の期限管理
  • 各商品、賞味期限ごとの在庫確認

このように、自社で抱える悩みを解決できる物流業者の選定が必要になる。

サステナブルへの取り組み

また、事業を行う以上、環境に配慮した取り組みも欠かせない。

オープンロジでは、データによる物流品質の改善や住所不備修正による返送削減、梱包資材のリサイクル紙の利用、フォークリストのEV(電気自動車)化を行っている。
また、過剰梱包の削減やオリジナルパッケージの再生紙利用、ビニール包装の廃止など事業者目線での取り組みも行っている。

質疑応答

最後に、参加者から質問を募り、両社による質疑応答が行われた。

スパイスファクトリーへの質問

Q. スパイスファクトリーで写真撮影のサポートは行っているか。
A. レイヤー部分からのご支援が可能。EC向けの写真撮影を行っている。

Q. エンベットソーシャルアプリ(SNS連携アプリ)のメリットは何か。
A. 拡張機能が充実している点で他アプリと異なる。デザインが自由にいじれるため、サイトの世界観を保つことができる。

Q. 翻訳アプリ「LangShop」は現地の人にとっても違和感のない翻訳になるのか。
A. 機械翻訳であるため不適切な場合もあるが、手作業で翻訳をするとなるとかなりの労力がかかるため、ワンクリックで翻訳できることは作業の大きな効率化につながる。細かいところの修正は手作業で行う。

Q. HubSpot 最大のメリットは何か。
A. HubSpot 自体、とても多機能であり絞ることが難しいが、顧客と素早く対話ができるのはポイント。また、初心者にもとっつきやすい UI になっている。さらに、自社がどのフェーズにいて何の機能を使いたいかによって機能をカスタマイズして利用できるのは SaaS ならでは。

オープンロジへの質問

Q. 受注生産の場合、どのように情報連携や在庫管理をするか。
A. 「出庫保留」という機能があり、まずは注文情報を入れ込む。あとから入庫・在庫の対応をする。

Q. 卸売業の場合、複数メーカーから連携倉庫へ直配送することが可能か。
A. 事業者側からオープンロジへの直配送・生産元からオープンロジ倉庫への直配送も可能。生産元が複数の場合も可能。

Shopify を駆使して D2C ビジネスを大きく成長させよう

今回は Shopify を駆使して D2C ビジネスを成功させる秘訣についてご説明いたしました。皆様の今後のビジネスにお役立ていただけると幸いです。

スパイスファクトリーでは、Shopifyカスタマイズ開発やHubSpot・D2Cブランド支援に積極的に取り組んでいます。

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Shopifyに関するお悩みやご質問をお持ちの方は、是非お気軽にご相談ください。

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D2Cブランド構築支援

 

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