サービスや製品を開発する際には必要最小限の機能のみでリリースすると、ユーザーのフィードバックを得ながら細かく検証をしていけるため、大きなメリットが複数あります。
この必要最小限の機能を開発していく手法を MVP開発と呼びます。
この記事では MVP開発について、そのメリットや注意点も交えてお伝えしていきます。
Contents
MVP開発とは
MVP とは、必要最小限の製品(Minimum Viable Product)を略した言葉です。その名の通り必要最小限のプロダクト・サービスを開発したうえで、顧客の反応を検証しながら改善していきます。この手法をソフトウェア開発に適用したものが MVP開発です。
MVP開発の最大のメリットは、コストと時間を節約しながら、ユーザーのニーズに合った製品を迅速に提供できる点にあります。製品が市場でどのように受け入れられるかを早期に把握することで、大規模な失敗を避けることができます。さらに、ユーザーからのフィードバックを基に製品を進化させることで、より競争力のある製品を開発することが可能になります。
このアプローチは、特にスタートアップや新規事業において有効であり、リソースが限られている中でも最大限の効果を発揮します。MVP開発を通じて、製品の市場適合性を迅速に確認し、必要な調整を行うことで、成功への道筋を早期に見出すことができます。
DXとMVP開発の関係性とは
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを革新し、競争力を向上させる取り組みです。
MVP開発は、DXを実現するための効果的な手法として注目されています。
DXのプロジェクトでは、技術革新のスピードが速く、変化に柔軟に対応することが求められます。MVP開発は、短期間で市場に製品を投入し、リアルタイムのデータを活用して改善を行うため、この要件に非常に適しています。
また、MVP開発を通じて得られるユーザーデータは、DX戦略の方向性を見極めるための重要な指針となります。企業は、MVPを繰り返すことで、失敗を最小限に抑えつつ、革新的なサービスや製品を迅速に市場に提供することができます。DXとMVP開発の組み合わせは、企業が競争力を高め、成功するための強力なツールとなります。
MVP開発はリーンスタートアップのプロセスの一部
リーンスタートアップとは、事業を効率よく開始・成長させられるマネジメント手法のことです。リーンスタートアップは、エリック・リースによって提唱されたビジネス方法論であり、特にスタートアップ企業や新規事業において、迅速かつ効率的に市場適応性を検証するために活用される手法になります。
MVP開発は、リーンスタートアップの核心となるプロセスの一部です。
リーンスタートアップのアプローチは、「構築」、「計測」、「学習」の3つのプロセスを繰り返すことにより、最小限のリソースで最大限の成果を得ることを目指しています。
「構築」プロセス
リーンスタートアップの最初のステップは「構築」です。
このプロセスでは、初期の仮説やビジネスアイデアをもとに、最小限の機能を備えたプロトタイプを迅速に開発します。ここでのポイントは、完全な製品を作るのではなく、開発しているプロダクトを最も求めていると考えられる顧客(アーリーアダプター)が求める機能だけを搭載することです。
「構築」プロセスでは、以下のような手順が含まれます:
- アイデアの具体化:製品やサービスのアイデアを明確にし、仮説を設定します。
- プロトタイプの作成:ユーザーが体験できる最低限の機能を持つプロトタイプを迅速に作成します。
- リリース:完成したプロトタイプを市場に投入し、実際のユーザーに使用してもらいます。
この段階では、機能の過不足がないことを前提として、顧客が本当に必要とする機能だけにフォーカスし、一切の無駄を省きます。完璧な製品を目指すのではなく、迅速な市場投入とユーザーの初期反応を得ることが重要です。
「計測」プロセス
次に、「計測」プロセスに進みます。
このプロセスでは、MVPを使用したユーザーの行動やフィードバックを詳細に計測し、データを収集します。計測の目的は、ユーザーがどのように製品を利用し、どの部分に価値を見出しているのかを明確にすることです。
計測プロセスの主要な要素は以下の通りです:
- データ収集:ユーザーの行動データやフィードバックを収集します。具体的なツールや方法を使用して、定量的・定性的なデータを集めます。
- 分析:収集したデータを分析し、仮説が正しかったかどうかを検証します。どの機能がユーザーにとって最も価値があるか、どの部分が改善が必要かを明確にします。
- 指標の評価:重要なKPI(重要業績評価指標)を設定し、これに基づいて製品の成功度を評価します。
この段階では、データに基づく客観的な評価が重要であり、感覚的な判断を避けるためにも、精緻な計測が求められます。
また、書籍『THE LEAN STARTUP』(エリック・リース 著)では、有効な分析方法として「コホート分析」が紹介されています。コホート分析とは顧客を一定条件でグルーピングし、グループごとに時間経過に伴う行動変化(たとえばログイン回数や特定の機能の利用頻度など)を分析する手法です。
「学習」プロセス
最後に、「学習」プロセスに入ります。
この段階では、計測プロセスで得られたデータを基に、製品やサービスの改善点を特定し、次のステップに反映させます。学習の目的は、仮説を検証し、新たな知見を得ることです。プロセスのなかで顧客セグメントの反応をみながらプロダクトの方針転換(ピボット)をするかどうかも検討し、必要があれば構築したプロダクトを全て捨てることも考慮しなければなりません。
「学習」プロセスの重要な要素は以下の通りです:
- フィードバックの分析:ユーザーからのフィードバックを詳細に分析し、どの部分が期待に応えていないかを特定します。
- 改善点の特定:得られた知見を基に、製品やサービスの具体的な改善点を特定します。これには、機能の追加や改良、ユーザー体験の向上が含まれます。
- 次のステップの計画:改善点をもとに、次のバージョンのMVPを計画し、再び「構築」プロセスに戻ります。
プロセスのなかで顧客セグメントの反応をみながらプロダクトの方針転換(ピボット)をするかどうかも検討し、必要があれば構築したプロダクトを全て捨てることも考慮しなければなりません。
書籍『THE LEAN STARTUP』の事例においては、1つのプロダクトが完成するまでに6つものプロダクトを廃棄し、ピボットを繰り返した例もありました。新規事業・新規プロダクト開発の難易度の高さがうかがえます。
このようにリーンスタートアップの「構築」「計測」「学習」のサイクルを繰り返すことで、製品やサービスはユーザーのニーズにより適合した形へと進化していきます。
MVP開発とアジャイル開発の違い
MVP開発とアジャイル開発は、どちらも迅速な製品開発と市場適応を目指す手法ですが、アプローチや目的に違いがあります。
まず、MVP開発は最小限の機能を持つ製品を迅速に市場に投入し、ユーザーからのフィードバックを基に改善を繰り返す手法です。MVPの目的は、製品の市場適応性を早期に検証し、リソースを無駄にせずにユーザーのニーズに応える製品を開発することです。
一方、アジャイル開発は、ソフトウェア開発プロジェクトを小さなイテレーション(反復)に分割し、継続的に改良を加えながら進める手法です。アジャイル開発の主な目標は、柔軟性を保ちつつ、変化する要求に迅速に対応し、高品質なソフトウェアを提供することです。
これらの手法は、考え方として相性の良い点も多いことから互いに補完し合う手法としてMVP開発に開発手法としてアジャイル開発が活用されるケースも多くあります。組み合わせることで製品開発の効率と柔軟性をさらに高めることができます。
ただ、必ずしもアジャイル開発を採用しなくても MVP開発自体は可能となります。
MVP開発のメリット
MVP開発は、スタートアップや新規事業において、迅速かつ効率的に製品を市場に投入し、ユーザーのフィードバックを基に改良を重ねる手法です。MVP開発には、多くのメリットがあります。特に、開発費用を必要最小限に抑えることができ、方針転換がしやすくなる点が大きな魅力です。
開発費用を必要最小限に抑えられる
MVP開発の最大のメリットの一つは、開発費用を必要最小限に抑えられる点です。
従来の開発手法では、完全な製品を作り上げるまでに多くの時間とコストがかかります。開発期間が長引けば、その分だけ人件費や設備費などのコストも増大します。さらに、完成した製品が市場で受け入れられなかった場合、その投資は無駄になってしまいます。
しかし、MVP開発では、最小限の機能だけを持つ製品を迅速に市場に投入します。これにより、初期投資を大幅に削減でき、開発コストを抑えることができます。例えば、全ての機能を揃えた製品を開発するために半年から一年以上の時間と多額の費用が必要な場合でも、MVP開発ならば数ヶ月で市場に投入できるため、開発費用を大幅に削減できます。
また、MVP開発では、ユーザーからのフィードバックを基に改良を重ねるため、不要な機能の開発を避けることができます。これにより、リソースを効率的に配分し、最も価値のある機能に集中することができます。その結果、製品開発における無駄を最小限に抑え、コストパフォーマンスを向上させることができます。
早期に市場感とユーザー反応を確認できる
MVP開発では、製品を早期に市場に投入するため、市況感を迅速に把握し、ユーザーの反応を早期に確認することができます。これにより、市場のニーズやトレンドを素早くキャッチし、製品の方向性を調整することが可能です。
早期の市場投入は、競合他社よりも先に市場シェアを獲得するためにも有効であり、先行者利益を得ることができます。
失敗リスクの軽減
MVP開発は、製品開発におけるリスクを大幅に軽減する手法です。
最小限の機能を持つ製品を迅速に市場に投入し、ユーザーの反応を基に段階的に改良を加えるため、大規模な失敗のリスクを低減できます。問題が発覚した際にも、迅速に対応できるため、リスクを最小限に抑えることが可能です。
また、ユーザーからのフィードバックを基にしたデータ駆動型の意思決定が可能になるため、感覚的な判断を避け、客観的なデータに基づいて製品の方向性を調整することができます。これにより、製品の市場適応性を高め、成功の確率を大きく引き上げることができます。
資金調達のきっかけになる
MVP開発は、資金調達の観点でも大きなメリットがあります。
初期段階で市場に投入し、ユーザーの反応を得ている製品は、投資家にとって信頼性が高く、投資リスクが低いと判断されやすいです。これにより、追加の資金調達が容易になり、製品開発の次のステップに進むための資金を確保しやすくなります。
MVP開発を行う際の注意点
MVP開発は、最小限の機能を持つ製品を市場に投入し、ユーザーからのフィードバックを基に改良を繰り返す手法ですが、成功するためにはいくつかの重要な注意点があります。
以下に、MVP開発を行う際に特に留意すべきポイントを解説します。
目的(ビジョン)に応じた戦略まで明確に決めておく
MVP開発を開始する前に、まずは目的やビジョンを明確にすることが重要です。
開発の目的が曖昧だと、どの機能が最も重要であるかを判断するのが難しくなり、結果的に効果的なMVPを作ることができません。具体的な目標を設定し、その達成に向けた戦略を明確にすることが、成功の鍵となります。
例えば、「ユーザーの特定の問題を解決するための製品を作る」といった明確なビジョンを持つことで、MVPに実装すべき機能が絞り込まれ、効果的な開発が可能となります。このように、ビジョンを明確にしたうえで、方針となる戦略を明確にしておく必要があります。
また、ビジョンは、プロジェクトに関わる全てのメンバーが同じ方向を目指して作業を進めるための基盤となります。
機能は過不足なく実装する
「機能は不足があってもいけないし、過剰に搭載してもいけない」という点も非常に重要です。
ソフトウェア開発の際には、大抵はあれもこれもと機能をたくさん搭載する流れになりやすく、「過剰に機能を搭載しない」という行動については、非常に難しいものです。しかし、プロダクトの目的を達成するためには、避けては通れません。
MVP開発によるプロダクトの好例は、初代の iPhone です。基本的なコピー & ペーストの機能もなければ、当時最新といわれていた 3G も使えませんでした。しかし、当時のアーリーアダプター(新しい技術、製品、またはシステムを早期に取り入れる消費者のグループのこと)はその iPhone を欲しがったのです。ご存知の通り、現在の iPhone には私たち消費者のニーズを満たす多様な機能が搭載されています。ただ、それは iPhone が幅広く市場に受け入れられた後のことです。
まだプロダクトが本当に顧客に受け入れられるのかもわかっていない開発の初期においては、フォーカスしたターゲットニーズに対して、本当に必要な機能に絞ることが望ましいでしょう。
方針転換は大胆に決定する
たとえば顧客からのフィードバックを求めた結果、戦略が著しく顧客のニーズから外れていたとしましょう。時には開発中のプロダクトを全て廃棄する必要があるかもしれませんが、方針転換が必要な場合、「迷わず・大胆に」実施する必要があります。
先述の通り6つものプロダクトを廃棄した例があります。1つのプロダクトを制作するためには2週間~4週間程度を要したそうですが、そのプロダクトを検証して廃棄することを繰り返し、最終的にヒットするプロダクトを生み出せていました。
MVP開発のプロセス
MVP開発のプロセスは大きくみると従来の開発手法通りで、開発機能を戦略に沿って決定し、開発機能を開発・テストしてプロダクトに実装し、ターゲットである顧客セグメントの反応を検証します。
MVP開発プロセスの最大の特徴は、最初に実施する「開発機能の選定」にあるといえるでしょう。「必要最小限の」開発機能を戦略に沿って決定すれば、あとの開発・テストは従来の手法で対応でき、手法によってはコーディングをせずにプロダクトを開発することも可能です。(その手法の種類は後述します。)
このプロセスは以下のステップに沿って進められます。
目標設定
まずは明確な目標を設定します。
何を達成したいのか、どのような問題を解決したいのかを具体的に定めます。この段階で、ターゲットユーザーや市場のニーズを徹底的に調査し、仮説を立てることが重要です。目標が明確であるほど、開発の方向性がブレず、効果的なMVPを作成することができます。
ユーザー調査と要件定義
次に、ターゲットユーザーのニーズや課題を詳しく調査します。
ユーザーインタビューやアンケートなどを通じて、ユーザーが本当に必要としている機能を洗い出します。この調査結果を基に、MVPに必要な最低限の機能を定義し、開発の要件を明確にします。
プロトタイプの構築
ユーザー調査に基づいて、最小限の機能を持つプロトタイプを迅速に構築します。
この段階では、完璧な製品を目指すのではなく、ユーザーが使用してフィードバックを提供できる最低限の実用的な製品を作ります。プロトタイプは、手作りのモックアップやシンプルなデジタルモデルなど、低コストで短期間に作成できるものが理想的です。
ユーザーテストと市場投入
完成したプロトタイプを実際のユーザーに使用してもらい、フィードバックを収集します。
ユーザーテストでは、製品の使い勝手や価値を評価し、どの機能が有用で、どの部分に改善が必要かを具体的に把握します。この段階で得られるフィードバックは、製品の方向性を決定する上で非常に重要です。
フィードバックの分析と改善
収集したフィードバックを詳細に分析し、次のステップに向けた改良点を洗い出します。
ここでは、定量的なデータと定性的なインサイトの両方を考慮し、ユーザーのニーズに最も効果的に応える方法を検討します。改善点を明確にしたら、再度プロトタイプを作成し、同様のテストとフィードバック収集のサイクルを繰り返します。
繰り返しとスケールアップ
MVP開発は、反復的なプロセスです。
フィードバックを基に改善を繰り返し、製品を徐々にスケールアップしていきます。最初は小さな市場でテストを行い、徐々に対象範囲を広げていくことで、リスクを最小限に抑えつつ、確実に市場に適応した製品を開発することができます。
このように、MVP開発はユーザーのニーズを中心に据えた反復的なプロセスです。迅速な市場投入と継続的な改善を通じて、製品の価値を最大化し、成功に導くことができます。
MVP開発の種類
MVP開発には、さまざまなアプローチがあります。アプローチは、目的やリソースに応じて使い分けることができ、どれもユーザーからのフィードバックを早期に得ることを重視しています。
以下に代表的なMVP開発の種類を紹介します。
スモークテスト
スモークテストは、最小限のリソースで製品の市場性をテストする手法です。
具体的には、製品やサービスの実際の機能を提供することなく、仮想的な製品ページや広告を作成し、ユーザーの関心度を測定します。これにより、製品のアイデアが市場で受け入れられるかどうかを早期に判断することができます。
スモークテストは、Webページやランディングページを作成し、広告キャンペーンを通じてトラフィックを誘導し、ユーザーの反応を確認する方法が一般的です。ユーザーが興味を示した場合には、将来的に製品を開発する価値があることが確認できます。
モックアップ
モックアップは、製品の外観や操作感を視覚的に示すための静的なデザインサンプルです。
実際の機能は持たないが、ユーザーが製品の使い方や特徴を理解できるように作られています。モックアップは、ユーザーフィードバックを得るための初期段階のプロトタイプとして利用され、デザインや機能の方向性を確認するために役立ちます。
例えば、アプリケーションのモックアップでは、画面レイアウトやナビゲーションを示す静的な画像を用意し、ユーザーがどのようにアプリを使用するかを視覚的に体験してもらいます。このフィードバックを基に、開発の次のステップを決定します。
オズの魔法使い
オズの魔法使いは、ユーザーには自動化されたシステムであるかのように見せながら、実際には人間がバックエンドで操作する手法です。童話『オズの魔法使い』にある、人々が恐れた魔法使いの正体が実はカーテンの後ろのおじいさんだった、というストーリーから名前がつけられた手法です。
この手法は、ユーザーにリアルな体験を提供しつつ、システムの開発前に実際の使用状況を観察できる点で有用です。
例えば、チャットボットのテストでは、ユーザーがボットと対話していると思っている間に、実際には人間がその対話をリアルタイムで行っている場合があります。これにより、システムの設計や自動化のためのニーズを正確に把握できます。
コンシェルジュ
コンシェルジュ手法は、ユーザー一人ひとりに対してパーソナライズされたサービスを提供し、そのフィードバックを集める方法です。
この手法では、製品やサービスの自動化やスケーラビリティに焦点を当てず、まずは手動で提供することでユーザーの反応を確認します。
例えば、新しいフィットネスプログラムを考えている場合、最初に少人数のユーザーに対してパーソナルなトレーニングセッションを提供し、その反応を基にプログラムを改善することができます。これにより、ユーザーの具体的なニーズを深く理解することができます。
コンビネーション
コンビネーションは、既に世に存在するサービスの組み合わせで新サービスを実現する MVP手法です。
この手法で開発した場合、非常に使い勝手が悪い UI になることが多いですが、実現したいことが叶えられれば一定の評価が得られます。今日では既存サービスの組み合わせをサポートするツールも複数リリースされています。
プロトタイプ
プロトタイプは、実際に動作する最小限の製品を開発し、ユーザーに提供する手法です。
この手法では、ユーザーが製品の基本的な機能を実際に使用し、その体験を基にフィードバックを提供します。プロトタイプは、製品の実用性やユーザー体験を検証するために非常に効果的です。
一方、実際に形を持った製品・サービスを指す場合が多く、コスト的には他の MVP に比較して大きくなる傾向にあります。
MVP開発のポイント
MVP(Minimum Viable Product)開発は、製品開発を迅速かつ効率的に進めるための重要な手法です。以下の3つのポイントを押さえることで、MVP開発の成功を確実にすることができます。
ポイント①検証内容や成果の定義
MVP開発の最初のプロセスである目標設定において、検証内容と期待する成果を具体的に定義することが重要です。これらの明確な定義により、開発の方向性がブレることなく、効果的なフィードバックを得ることができます。
以下のプロセスで各項目を検討できるとよいでしょう。
- ビジョンの具体化:何を達成したいのか、どのような問題を解決したいのかを明確にします。例えば、「特定のユーザーの課題を解決するための製品を作る」といった具体的なビジョンを持つことが重要です。
- 検証項目の明確化:ビジョン達成に関する検証に必要な項目を具体的に定義します。これにより、開発の各ステップで何を確認する必要があるかが明確になります。
- 成果の設定:期待する成果を定義し、これに基づいて製品の成功を評価します。例えば、ユーザー数の増加や特定の機能の利用頻度など、具体的なKPIを設定します。
ポイント②ユーザーへの価値提供とユーザー体験の重視
MVP開発において、プロセスの2つ目となる「ユーザー調査と要件定義」において、ユーザーへの価値提供とユーザー体験(UX)の視点は特に重要です。
ユーザーが本当に求める価値・機能を把握するためには、以下のような専門的なアプローチも必要となります。
- ユーザー調査:ターゲットユーザーのニーズや課題を徹底的に調査します。ユーザーインタビューやアンケートを通じて、ユーザーが本当に必要としているものを明らかにします。
- 価値の提供:ユーザーが直面している問題を解決するための機能を実装します。これにより、ユーザーは製品に価値を感じ、フィードバックもポジティブになります。
- ユーザー体験の向上:使いやすさや操作性を重視し、ユーザーが快適に製品を利用できるようにします。ユーザビリティテストを繰り返し行い、ユーザー満足度を高めることで、より良いフィードバックを得ることができます。
ユーザーへの価値提供と優れたユーザー体験を実現することで、製品の成功率を大幅に高めることができます。
ポイント③データ駆動型の意思決定
プロセスの5つ目に当たる「フィードバックの分析と改善」においてデータに基づいた意思決定をすることも重要なポイントです。
データ駆動型の意思決定により、感覚的な判断を避け、客観的な根拠に基づいた効果的な戦略を立てることができます。また、失敗から学びを得て、継続的に製品を改良することで、最終的には市場に適応した高品質な製品を提供することが可能となります。
一般的なサイクルではありますが、以下のようなプロセスを回すことが必要です。
- データ収集:ユーザーの行動データやフィードバックを定量的・定性的に収集します。具体的なツールや方法を用いて、必要なデータを集めます。
- データ分析:収集したデータを分析し、仮説が正しかったかどうかを検証します。ここで、前提した「検証項目や定義の決定」が活かされます。
- 改善サイクルの実施:分析結果に基づいて製品を改良し、次のサイクルに進みます。失敗を恐れず、改善点を見つけて次のステップに活かすことが重要です。
MVP開発の特性を知って効率のよいプロダクト開発を
MVP(Minimum Viable Product)開発は、最小限の機能を備えた製品を迅速に市場に投入し、ユーザーからのフィードバックを基に改良を重ねる手法です。これにより、初期投資を抑えながら実際の市場反応を確認し、効率的にリソースを配分できます。
MVP開発には高度な専門性が求められます。効果的な機能選定、迅速なプロトタイプ作成、ユーザーテストの実施、フィードバックの適切な分析と改良といった複雑なプロセスが関与するためです。
当社は豊富な実績を持ち、これらのプロセスを効率的に進めるためのサポートを提供いたします。
MVP開発にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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