こんにちは、宮﨑です。
アルバイトとして入社して半年経ち、今年度から東京芸術大学 美術学部の4年生になりました。
そして4年生になったと同時に、私はスパイスファクトリーのアルバイトから社員になり、学生兼時短勤務社員として働いています。
アーティストを目指す私は、学業や制作に励みながらも、ここでは社員としての責任ある仕事に日々取り組んでいます。
スパイスファクトリーでは、納期による忙しさや案件規模の大きさによる大変さを感じる事もありますが、それを大きく上回るやりがいや面白さがあり、これからもここで働き続けたいと感じています。
就職から最も遠いと言われる事もある藝大生である私は、スパイスファクトリーに入社して初めて、遅ればせながら「そもそも働くってどういうことなんだろう」ということを真剣に考え始めました。
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会社って何だろう
私の労働体験の始まりは、高校生時代のコンビニエンスストアです。その後、大学入入学後は飲食店と、接客業に携わっていました。
決められた業務に加えてお客様やオーナーの話を聞き、質問をぶつける事で、コンビニエンスストアや個人経営の仕組み、労働に関する法律、ついでにお酒にも詳しくなりました。
ですが「やっぱり学生の間に実務経験を積んでみたい」と思った私は、アルバイトを辞め、デザインソフトのスキルを活かせる新しいアルバイトを探していました。
そんなときにスパイスファクトリーの求人を見つけました。
行ってみると、そこは
面接当日、リノベーションされたビルを上がっていくと、オフィスがありました。
そこで私がどんな人間なのかや何を作っているかを、ポートフォリオを見せながらできるだけ詳しく説明しました。
その日は、今私の所属している部署の部長が面接を担当してくれました。私がもし入社した場合、どんな仕事を担当するかを一緒に考えながら面接が進みました。そんな面接は初めてだったので、ちょっと変わった会社だな……と正直感じていました。
ですが、ただの学生に過ぎない私に、日本のビジネスの強みや働くことの楽しさをたくさん話してくれました。私がポートフォリオサイトに載せていた「微分の終焉」という文章を読んでその場で面白い、と言われたりしました。デザインのポートフォリオについてもあれこれ言われたりして、それに対して私もあれこれ言ってみて対話が進みました。
面接を終える頃には、ここは変でありながら正直に発言して良い、とても心地よい場所なのかもしれないと思い始めていました。
会社という組織について知る
そうして無事に採用してもらったのですが、スパイスファクトリーではこれまでとは全く違う頭の使い方が必要でした。
個々人が自分の仕事の進捗や工数を管理する。案件ではそれを担当しているディレクター・制作のスタッフが存在しており、更に部署毎に部長を中心にチームマネジメントを行う。そして幹部が会社そのものの舵をとる。
そういったレイヤーが会社にはありました。これまでのアルバイトではなかなか知ることができない部分です。
大学にはなくて、会社にはあったもの
スパイスファクトリーでは初めて経験することのほうが多く、それでも成果物に対してのフィードバックを逐一受けながら少しずつ仕事の仕方を覚えていきました。
そして私はこう思いました。今までこんなに自身の働き方や成果物について、意見や感想、指摘を適切に受けたことがあっただろうか?と。
要は、よく出来た部分はよく出来たと言ってもらい、悪い部分についての率直な指摘と解決策をはっきりと論理的に伝えてもらうという文化が組織に根付いていたのです。
このコミュニケーションは、気遣いでもなんでもありません。ただ、チームでより良いものを作っていくための合理的な手段でした。
もちろん大学でも制作物への講評はあります。しかしながら、芸術というのは何が正解で、どこに向かっていけばいいかすら一生わからない、そういった分野でもあります。その為、意見する側もどこか臆病になってしまいがちです。褒める場合も、欠点を指摘する場合も同じことです。
そんな世界の中にいた私は、スパイスファクトリーの雰囲気にひたすら驚いていました。今でもずっと驚き続けています。こんな心地の良く、かつ生産的な場所があるのか、と。
もちろん会社やチームの方針、仕事の仕方に、正解があるわけではありません。しかし、スパイスファクトリーではそれに対して意見することに怯える必要がないのです。
なぜなら意見を出し合うことは、集団で合理的に決断するのには一番の近道だから。
そして、それがきっと‘スタートアップの会社でしか作りえない体制なのだということも同時に強く感じました。
私は本当にここにめぐり合ってよかったと日々感じています。
働くということ
「就職か制作か」
これの問いは、まるで、必ずどちらかを選択しなければいけないものとして、私の前に立ち現れていました。
就職したらきっと制作をできなくなる、以前はそう感じていました。
事実、生活のために日常におけるアルバイトの比率を増やすと、今度は制作に使える時間が少なくなり。作品を作れなくなってしまうという経験もありました。
多くの藝大に通う同志たちも、そういう経験があるのではないかと感じます。
働く、ということはあくまで働くための手段だと考え「卒業したら生活のために働きながら制作する」という方法をを選んで、作ることをやめてしまう人を、私はたくさん知っています。
「就職か制作か」。これは二者択一の選択だと考えていた私が、なぜ学生をしながら社員として働くことを選択したのか。それは、スパイスファクトリーで働くことで得られるものは私にとって非常に価値のあるものだったからです。
スパイスファクトリーで働く、という価値
まだスパイスファクトーにアルバイトとして入社したばかりの頃、様々なお客様との打ち合わせに同行しました。
次第に自分も案件にアサインされて、案件のメンバーとしてお客様と話すことが増えました。
そして今では、少しずつ自分自身が責任をもって担当する案件も増えてきています。
初めてつくった契約書に印を押すとき、手が震えていたのを覚えています。
スパイスファクトリーには様々なお客様がいらっしゃいます。
入学試験の願書出願の手続きそのものを変えようとしていたり、在庫管理の効率化によるアパレル業界の常識の再構築を目指していたり、また、世界中の一次産業をデータ化し持続可能な開発を目標に掲げられているお客様もいらっしゃいます。
そんな方々と実際に会い、何度も話し合い、一緒にものを作るという時間は私にとって本当に財産です。
ひとつの会社に属しながらさまざまな分野の現在を知ることができるのは、スパイスファクトリーのメンバーの特権でもあります。
今の業務内容について思うこと
私はデザインという、問題の解決の部分で関わっている立場です。
デザイナーとして、お客様が目標としている場所にできるだけまっすぐ向かっていけるように提案をしたり、実際にシステムの画面デザインを考えたりしています。
今、スパイスファクトリーが力を入れて携わっているひとつの分野として、ユーザーエクスペリエンス・ユーザーインターフェース(UI/UX)があります。
ユーザーエクスペリエンス・ユーザーインターフェースデザインというのは、人と物が接したときの体験や、実際に接する部分を設計することです。
スパイスファクトリーはWebに特化した会社なので、設計範囲は「画面で起こること」ですが、人間と道具の歴史を長い目で見ると、この大変興味深い分野だと感じています。
金槌の持ち手の設計だったり、歯の隙間までとどく歯ブラシだったり、オフィスの椅子だったり、この世にはデザインされた道具であふれています。
8割の人が使いやすい道具を作る。そういった指針がUI/UXの設計にはあります。けれどもスパイスファクトリーの指針はもっともっとシンプルです。
「良い」ものをつくる。それが私たちの最終目的です。
それは必ずしも8割の人々が使いやすいことではないと考えます。
私は人々が使いたくなるような、魅力的なものをデザインしていきたい。「良い」をそうやって打ち立てて探求を続けながら、その目標を自分の中に掲げて働いています。
すべての経験を相乗的に活かす
会社での制作について深く考えることは、私の制作活動にも活きてきます。私の作品と鑑賞者がどのような接点を持つのか、その接点をどうデザインしていくのか。スパイスファクトリーで働くまで、そういったことを自覚的に考えることができていませんでした。
逆に、私が制作のために培ったスキルも会社での業務に活きています。デザインソフトの操作といった表面的な部分から、思考や実践の方法論までもが役立っています。
私以外にも、スパイスファクトリーに所属しながら副業をしている人がいますが、その人も会社での仕事とそれ以外の仕事が互いに良い影響を与えているように感じています。
デザインのためのインプットは必ずしもデザインだけを学ぶことではない
大学ではファインアートを学びながら、会社ではデザインの仕事をする。
それらは必ずしも分離しません。
現に私の中では緩やかに繋がっています。
大学で学んだことが会社で役に立ち、会社で学んだことが自分の制作に活きてきます。
例えば問題の発掘・その定義といったデザインの上流工程は、表現を自覚的に行うためにもとても大切です。それを言語化することも、伝えることも同じように重要です。
それを私は、自分の制作の中でも、会社の業務のなかでも日々学び取っています。その両方の経験が、両方の環境で役立っています。
そんな贅沢な環境は他にないのではないかと考えます。
なぜ、学生と正社員を両立することができるか
最後になりますが、どうして私がこのような明らかなハードワークを選択し、さらに継続できているかという話をしたいと思います。
それは周りの助力なしでは成しえないことです。
現に今私は、会社と会社の人たち・大学の周りの人々・友人に支えてもらうことによってこの生活を成立させています。
スパイスファクトリーはコアタイムを設けたフレックスタイム制を採用しているなど、メンバーがのびのびと一番成果を上げる事ができる仕組みづくりが徹底されています。こういった前提条件に加え、時短勤務の正社員契約という雇用形態や、大学都合の際のフレキシブルな勤務時間調整などもあり、私は学生と正社員を両立できています。
それすらも2つのサイクルが回っている結果である
そもそもスパイスファクトリーという会社が私を評価してくれたのは、私が自分の専門分野であるファインアートの研究と実践を業務に活かすことができたからでした。
そして大学の周りの人々・友人も、私が会社で正社員として働いていることを評価して応援してくれています。
そうやって2つの側面を持つこと自体が私自身を助けているのだと思います。
だから私は安心して、様々な場所を自分の学び場とすることができます。
そこで培ったことを、私が支えてもらっている環境に・人々に、アウトプットという形で返していこうと心から思っています。
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ShintoTatsuo