スパイスファクトリー株式会社マーケターの古茶です。
近年注目を集めている D2C (Direct to Consumer)ですが、その成長率は今後も伸び続け、2025 年には D2C の市場規模は 3 兆円に達すると見込まれています。これに伴い D2C 事業の立ち上げをご検討されている企業様もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、上記のような方や既に D2C 事業を行っているけどよりマーケティングを強化していきたい、そんな方を対象に、D2C で成功するために行うべきマーケティング戦略についてご説明していきます。
Contents
D2C のビジネスモデル
D2C(Direct to Consumer) は、メーカーが、流通業者・小売店・ネットモール等の仲介業者を介さずに、自社で企画・製造した商品を自社 EC サイトなどで消費者に直接販売する仕組みです。
仲介業者を介する場合に比べ、コスト削減や効果的なブランディングを行うことができます。また、消費者と継続的な関係を築きやすいのも特徴です。
D2C で成功するためのマーケティング戦略
D2C でマーケティングを行う最大の目的は、ファンを作り、リピーターになってもらうことで中長期にわたり収益を得ることです。広告などで集客することももちろん重要です。しかし、せっかく集客できても一時的な顧客ばかりでは持続可能性のあるビジネスとは言えません。
コアなファンを作る、という目線からのマーケティング戦略をご紹介していきます。
ターゲット顧客の設定
D2C では、不特定多数のユーザー獲得以上にファンの育成が重要になります。
ターゲットを明確にすることで、よりターゲットの心に響くマーケテイング施策を考えられるようになり、自社ブランドのファンを育成することができます。そのため、より明確なターゲットの設定が必要になるのです。
ターゲットを設定する際は、20代女性、30代会社員の男性、のように顧客を性別や年齢などの属性に分けてセグメンテーションすればいいと思われているかもしれません。しかし、それでは十分ではありません。加えて、ニーズごとにセグメンテーションすることも重要です。
顧客はニーズを満たすために商品・サービスの利用を決定しますが、例えば女子大学生という属性にまとめたとしても、その女子大学生一人ひとり個人レベルでのニーズは大きく変わってきます。
ブランド独自の世界観を確立する
「世界観」とは、ユニークで心に刺さるブランド独自のコンセプトのようなものです。D2C 事業では、独自の世界観の確立がファンの育成には欠かせません。
現在注目を集めている D2C ですが、その代表的な消費者であるミレニアム世代やZ世代は、ブランドのストーリーや世界観にいかに共感できるかによって商品やサービスの購入を決める傾向が強くなってきています。D2C 事業で既に成功を収めている企業も、独自の世界観や価値観を確立している点で共通しています。独自の世界観の確立は、D2C 事業で成功する上で欠かせないのです。
他社と差別化できるような独自性のある世界観を考え、実行していくのが「ブランディング」というプロセスです。
ECサイトのブランディングについては、こちらの記事で詳細をお読みいただけます。
ECサイトにブランディングは必要?差別化するために知っておくべき考え方!
SNS を活用する
D2C のマーケティング活動に SNS は欠かせません。SNS 上での活動は、ユーザーのファン化に繋がりやすいためです。実際に NEOMarketing 社が行った「ファンとなったブランドを知った理由」の調査では、1 位のテレビ CM に次ぎ、2 位が SNS でした。※
SNS上でファンを作るには、新商品やサービスの紹介に限らず、ブランド独自の魅力や世界観を SNS の投稿やストーリー機能を用いて伝えていくことが求められます。
また、SNS ではフランクな交流を好むユーザーが多いことも意識する必要があります。
広告感の強すぎるものや、形式ばった投稿ではなく、ユーザーの日常になじむコンテンツの配信を心がけることが大事です。
※参考文献:NEO MARKETING ファンづくりに関する調査
ユーザーと直接コミュニケーションをとる
D2C 事業でファンを作るには、ユーザーとのコミュニケーションも欠かせません。
たとえば、SNS の投稿やストーリー機能を利用すれば、ユーザーと直接コミュニケーションをとることができます。
Instagram や Twitter のアンケート機能を使えば、顧客一人ひとりの生の声を聞くことができるので、ユーザーの真のニーズを理解しやすくなります。
また、ユーザー参加型のライブ配信を行うのも効果的です。ライブ配信を、ユーザー同士の情報共有の場にしたり、配信を通してユーザーに意見を聞き、それを基にコンテンツや商品をつくる、といった工夫もできます。
他には、直接顧客とコミュニケーションを取れる機会としてリアルイベントやリアル店舗での期間限定の出店といったことを検討するのもいいかもしれません。
POPUPストアなどであれば比較的費用を抑えての出店が可能です。マルイやBASEといった企業がPOPUPでの出店サポートのサービスも展開していますので利用を検討しても良いでしょう。
このようにオンラインとオフラインの両方のチャネルで顧客体験を向上するOMO(Online Merges with Offline)を戦略はD2C企業においても重要度が増しています。
ユーザーと直接コミュニケーションをとり、そこで得られた意見や情報を基にプロダクトの製作や改善を行うことで、より顧客のニーズにあった商品やサービスを提供できるのです。
かご落ちメールで離脱顧客を減らす
かご落ちメールとは、商品をカートに入れたにもかかわらず、購入せずに EC サイトから離脱してしまったユーザーに対して「カートに商品が残っている」ということを思い出してもらうために送信するメールです。
EC サイトのかご落ちによる機会損失は売上の 2.5倍 とも言われています。※
一度はカートに商品を入れたということは、顧客がその商品に多少なりとも興味を持った、ということです。何らかの原因で購入を迷っている状況ではありますが、かご落ち状態の顧客は、既にその商品に興味を持っているため、新規顧客よりも商品購入の見込みが高いと考えられます。そこにかご落ちメールを送ることで、離脱顧客の減少が見込めるのです。
実際にかご落ちメールで成功している企業は少なくありません。かご落ちメールの送信により、コンバージョン率が 4~5 倍になった企業や、かご落ちメール経由の売上がサイト全体売上の 11.2% を占めるという企業もあります。
※ 参考サイト: e-Agency ECサイト「カゴ落ち」対策講座「何もしないのはもったいない! カゴ落ち率(カート離脱率)と機会損失」
D2C におすすめのマーケティングツール【Hubspot】
Hubspot とは、アメリカで開発された、CRM を中核としたインバウンドマーケティングのプラットフォームのことです。現在では、世界 120 カ国 10 万社以上会社で導入されています。
Hubspotについての詳細は、以下の記事をご覧ください。
HubSpot(ハブスポット)とは?インバウンドマーケティングと主な機能を徹底紹介!
では、Hubspotがなぜ D2C におすすめのマーケティングツールと言えるのか、ご説明していきます。
- SNSと連携できる
- マーケティング効果や顧客データの測定と分析ができる
- かご落ちメールの自動送信ができる
- ECサイトと相性がいい
SNSと連携できる
Hubspot と SNS を連携させることによって、より効果的な SNS マーケティングを施行することができます。
たとえば、新しいコンテンツを EC サイトに投稿した場合、そのコンテンツを自動で SNS にシェアすることができます。
さらに、いいね数やコメント数などのデータ分析だけでなく、SNS 上でのコミュニケーションやデータベースなどのコンタクト情報を EC サイトと連携することが可能なため、分析結果から優先的にアプローチすべき顧客を見つけることができます。
マーケティング効果や顧客データの測定と分析ができる
Hubspotでは、EC サイトへの流入数やお問い合わせなどの業務成果・マーケティング効果を、測定からレポート作成まで行うことが可能です。
業務成果やマーケティング効果の測定によって、マーケティング戦略の改善・施策を行うことができます。
また、顧客データの分析も Hubspot で一貫して行えるため、見込み客一人ひとりの関心度を把握することができます。そのデータを基に顧客をセグメント化し、ワークフローを作成することで、最適なタイミングでパーソナライズされたメールを送ることが可能になります。
かご落ちメールの自動送信が可能
かご落ちメールの重要性について前述しましたが、Hubspot を使えば、ワークフロー作成によってかご落ちメールを顧客に自動で送信することができます。
例えば、かご落ちメール機能がついている EC サイトというのはあると思いますが、1 通のみの送信しかできないものもあります。EC プラットフォームとして有名な Shopify でもかご落ちメールは 1 通しか送信されませんし、かご落ちメールが送信される前に販売完了となった場合、メールは送信されません。
その点、Hubspot を使えば、1 通のかご落ちメールで反応がない場合、別日に違うコンテンツを含んだメールを送ったり、クーポンを入れたキャンペーンメールを送るなどのメールマーケティングを行うことができます。このメールはワークフロー内でセグメント化された顧客データを基に送られるため、よりパーソナライズされたメールを送信できるというメリットもあります。
このように、Hubspotを使えば、離脱顧客に、より効果的なかご落ちメールを送ることが可能になるのです。
ECサイトと相性が良い
インバウンドマーケティングプラットフォームの Hubspot ですが、ECサイト、特に EC プラットフォームである Shopify とはシステム連携をして使用することが可能なことから、相性が良いとされています。
マーケティング業務やお客様対応の自動化、商品・注文・顧客情報の管理まで行ってくれるため、効率よくマーケティング活動を行えます。
実際に、Shopify と Hubspot 連携後に既存顧客からの売上が 63 %向上した(G FULE)、Web サイト訪問から購入までのコンバージョン率が 180 %増加した(InSinkErator)という企業もあります。Hubspot は、それほどにも D2C 事業に大きな収益をもたらしてくれるマーケティングツールなのです。
Shopifyについての詳細は、以下の記事をご覧ください。
Shopifyとは?ECカートでShopifyを選ぶメリット・デメリット
D2Cならではのマーケティングで売上を伸ばす
D2C 事業で行うべき主なマーケティング戦略は以下の 5 つでした。
- ターゲット顧客の設定
- ブランド独自の世界観を確立する
- SNSを活用する
- ユーザーと直接コミュニケーションをとる
- かご落ちメールで離脱顧客を減らす
D2C は、実店舗を持たず、自社の EC サイトのみで商品の生産・販売を一貫して行う仕組みです。顧客へのアプローチもオンラインが主体になるため、実店舗でのマーケティングとは異なったマーケティング戦略の施策が必要になります。
ターゲット設定を明確にし、最適なチャネルで独自の世界観を顧客にアピールすることに加え、マーケティングオートメーションツールを活用することで、効率的な収益増加を狙いましょう。
スパイスファクトリー株式会社は、HubSpot認定プロバイダーとして HubSpot 導入・運用・カスタマイズ開発などをまた、Shopify公認の開発パートナーであるShopifyエキスパートとしてShopifyでのEC構築・運用・カスタマイズ開発を行っています。
これらの知見を活かしてD2Cブランドの構築支援も提供していますので、お気軽にお問い合わください。
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