DXエージェンシースパイスファクトリー株式会社マーケターの大嶋です。
近年では企業による社会貢献活動が注目されており、企業の社会的な責任や存在意義が今まで以上に問われるようになりました。このような社会の動向を紐解くにあたり、重要な考え方がCSRやCSVといった社会的責任との関連性です。
今回は、CSV と CSR の違い、具体的な CSV事例をご説明いたします。また、スパイスファクトリーではシステムの開発、カスタマイズから運用保守まで一貫したサポートを行っています。ご興味がおありでしたら、ください。
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Contents
CSR・CSVの違い
まずはCSR・CSVの違いについて、各々の生い立ちから見ていきましょう。
CSRとは
CSR とは、(Corporate Sosial Responsibility)の略であり、日本語では「企業の社会的責任」と訳されています。
1929年の世界恐慌時に米国で初めて概念化され、企業の成長が社会資源に影響を及ぼしていると問題視されました。その後1960年代から企業が本格的にCSRに関心を寄せはじめました。
CSR は、”本業で得た利益のうち〇%を社会貢献活動に回す”といったフレームワークであり、社会的活動が本業の周辺に位置づけられいます。テーマとしては環境保護、サステナビリティ、人権保護、地域貢献への取り組み等を掲げている企業が多く存在します。
CSVとは
一方、CSV とは2011年にハーバード大学の経営学者マイケル・ポーター教授によって提唱された(Creating Shared Value)=「共有価値の創造」の略称で、従来の CSR の発展型として新たに概念づけられました。
ポーターは CSR の社会貢献活動について「善行的CSR」と呼び、大きな社会的影響を及ぼすことはできないと主張しました。そのため、CSV を新たに提唱することにより、社会価値と経済価値の両立を可能とする概念を生み出したのです。
社会的活動をビジネスの周辺に位置付けるCSRに対し、CSVではビジネスの中心に社会価値を置き、社会活動に向き合うことこそが企業の競争力強化・経済価値の向上につながるとしています。
CSR・CSVの比較図
流通経済大学の尹教授、野口教授による論説「共有価値の創造(CSV)の概念の形成と課題」では下画像のように比較されています。
画像引用元:共有価値の創造(CSV)の概念の形成と課題.2015.
上記の通り、CSR では企業に課される一種の責任であり、創出した利益の一部を社会に還元するという考え方です。その点では自ら進んで CSR に取り組むのか、外部からの圧力によりやむを得ず参加するのかで本音が問われます。
他方 CSV では、企業の利益追求や競争力強化のためには社会的価値と社会的価値がともに実現されるべきであるとされており、企業の存続にとって必要な取り組みであるとされています。
具体的なCSV活動
前項までは、CSR と CSV の違いを各々の生い立ちからご説明いたしました。ここでは、現在注目されている CSV の具体的な事例をご紹介いたします。
コカ・コーラ -ブラジルでの人材育成による業界の底上げ-
コカ・コーラは、ブラジルの低取得層に関わるさまざまな社会問題を解決するために、人材育成プログラムを実施しています。
まずは「コレティーボ・リテイル」という5週間の職業訓練プログラムが導入され、高等教育に進めない低取得層の若者が小売経営の基礎を学びました。
このプログラムでは、卒業生の少なくとも3割が卒業半年以内に就職し、プログラム対象地域の平均世帯年収を50%押し上げました。未就労者の人材育成から就職の支援、さらに地域経済の底上げをすることにより、新たな飲料消費需要が創出されたのです。
その結果、コカ・コーラはこのプログラム開始後、コカ・コーラ・ブラジルの売上高年率9.5%成長を継続しています。
Inka Moss -気候を活かすビジネスにより農家の収入向上-
Inka Moss は、ペルーの雇用問題に対してその地の特性を活かしたビジネスを展開しました。
ペルーのアンデス山脈の山間では、地理的断絶により収入や情報の獲得が制限されています。
Inka Moss は、海抜3,500メートル以上の特殊な気候条件においてのみ成長する水ごけ(white moss)に着目し、アンデス特有のビジネスを展開しました。
具体的には、ミズゴケの収穫・収集、乾燥、プレスとパッケージング、発注・輸出等、サプライチェーンの上流から下流まで管理しています。
水ごけは、ラン、ベリー、水耕栽培食物等、湿度を必要とする作物に最適な植物性基材です。抗菌作用がある為有機栽培の作物にも需要があるほか、自然の断熱材や環境浄化材としての特性により、建築業界では、環境に配慮した建設にも利用されています。
サービス自体がサステナブル製品を提供していること、また、アンデス山間部の雇用を生み出し収入率を向上していることにも貢献しています。
スパイスファクトリーではシステムの開発、カスタマイズから運用保守まで一貫したサポートを行っています。ご興味がおありでしたら、ください。
引用・参考
- 尹 敬 勲・野 口 文. “共有価値の創造(CSV)の概念の形成と課題”.https://core.ac.uk/reader/230184659. 流通経済大学 . 2015年.(参照 2021-10-11)
- オルタナ編集部. “CSV の成果を測定する【世界を変えるCSV 戦略】”.https://www.alterna.co.jp/14688/2/. Alterna . 2015年.(参照 2021-10-11).
- SOCIAL IMAPACT ACT. “海外におけるCSV企業や社会的企業の取り組み事例、inkamoss、mumm、Ignitia Tropical Weather Forecasting”.https://www.socialimpactact.com/post/csv-case2. SOCIAL IMAPACT ACTIVITIES AND BUSINESS . 2018年.(参照 2021-10-11).
- IDEAS FOR GOOD Business Design Lab Editorial Team. “共有価値の創造(CSV)の概念の形成と課題”.https://bdl.ideasforgood.jp/curation/csv-sustainability/. IDEAS FOR GOOD . 2020年.(参照 2021-10-11).
- inkamoss . http://inkamoss.com/.(参照 2021-10-11).
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yume_oshima
Web広告、HubSpot、マーケティング戦略立案等を担当。