「生成AIを導入したいけれど、種類が多すぎてどれを選べばよいかわからない」と悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
生成AIは、文章作成や画像生成、音声合成など、さまざまな用途のツールが登場しています。
しかし、目的に合わないAIを選ぶと「業務に活かせなかった」「現場で定着しなかった」といった失敗をする可能性も高くなるでしょう。
そこで本記事では、生成AIの種類を「業務目的別」に整理したうえで、おすすめのAIツールを15個を紹介します。
また、導入前に確認しておくべき注意点も解説していますので、社内での活用を検討している方や、自分に合ったAIツールを見極めたい方はぜひ参考にしてください。
*本記事で紹介するツールの価格は2025年6月21日時点の情報となります。
Contents
生成AIとは
生成AIとは、大量のデータからパターンや特徴を学習し、その学習成果に基づいて、人間が作ったかのような新しいテキスト、画像、音声、動画、コードなどを「生成」できる人工知能技術です。
例えば、与えられたキーワードから記事を執筆したり、既存の絵画スタイルを模倣した新しい絵を描いたり、短い音楽フレーズから楽曲全体を生成したりと、範囲はさまざまです。
生成AIは、従来のAIが得意としていた分類や予測といった分析型の処理とは異なり、新しいコンテンツの生成を目的とした技術です。
学習時に得た膨大なデータの傾向をもとに、次に現れる単語や画像のピクセルなどを確率的に選択しながら出力を組み立てていくため、同じ入力に対しても異なる結果が得られることがあります。
生成AIとAIとの違い
生成AIとAIは混同されがちですが、AIは「人工知能」という広い概念全体を指し、分析や予測などの判断を行う技術、生成AIはその中でも「何かを創り出す」という能力を持ったAIの一分野です。
主な違いについては以下の表を参照ください。
種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
生成AI | 過去の大量のデータから学習したパターンを使い、確率的に「もっとも自然な出力」を連続的に構築していくことが特徴 | ・指示に沿った文章を作り出す ・与えた情報を参考に画像を生成する |
AI | 「分析・識別・分類・予測」といった判断型の処理に強みを持っている | ・迷惑メールを自動で振り分ける ・明日の株価を予測する |
生成AIの登場により、これまで人間しかできないと思われていた「創造的な作業」がAIで可能になり、さまざまな分野で変化をもたらしています。
【目的別】生成AIの種類一覧
引用:【2024年12月版】機能別・用途別の画像・動画生成カオスマップを公開!
生成AIはさまざまな種類があり、ここでは以下4つの目的別に紹介します。
- 汎用系
- クリエイティブ系
- 資料系
- リサーチ系
- 分析系
汎用系
汎用系の生成AIとは、幅広い目的に対応できるオールラウンド型のAIです。文章の作成、アイデア出し、画像生成まで、あらゆる用途に柔軟に対応できます。
特徴は、事前に学習した知識を活かして、質問や命令に対して自然な文章で返答できる点です。
1つのツールで「考える・まとめる・書く」を一通りこなせるため、生成AIを初めて使う人や、業務のあらゆる場面で使いたい人に適しています。
クリエイティブ系
クリエイティブ系は、人間の感性が求められる「表現」の分野を担う生成AIです。文字で「○○な絵を描いて」と入力するだけで、独自の画像や作品を作ってくれるのが特徴です。
これまでデザイン経験や専門ソフトが必要だった作業も、手軽にアウトプットできるようになります。
商品イメージのラフ作成や、SNS投稿の素材づくり、動画広告の下地づくりなどに活用されており、アイデアを形にしたいけどスキルが足りない人におすすめです。
資料系
資料系の生成AIは、作成したい資料のイメージをテキストで伝えるだけで資料を作成する生成AIです。
資料作成には構成力・デザイン・文章力など複数のスキルが必要ですが、生成AIを使えば「たたき台」を時短で作成できます。
資料作成にかかる時間を減らし、アウトラインから仕上げまでを効率化できるのがメリットです。
リサーチ系
リサーチ系の生成AIは、膨大な情報から必要なデータをまとめてくれるAIツールです。検索エンジンと違い、AIが情報を整理・要約してくれる点が特徴です。
たとえば「○○に関する最新の研究結果を教えて」と聞けば、信頼性の高い情報源をもとに要約までを実施・回答をしてくれます。
市場調査・競合比較・論文要約などで活用されており、情報を「探す」から「使える形で受け取る」までの流れを自動化してくれるのが魅力です。時間のかかるリサーチ業務や、情報の裏どりを効率化したい人に適しています。
分析系
分析系の生成AIは、データを扱う業務で「読み解き・グラフ化・提案」をしてくれるAIツールです。
たとえば、CSVファイルをアップロードして「売上傾向を分析して」と指示すれば、グラフや考察コメントまで自動生成してくれます。
また、データに欠損があればその点も指摘してくれるため、自身でデータの正確性を確認する工数も削減できます。営業・マーケティング・経営企画など、データをもとに判断する業務がある方に最適です。
【汎用性の高い】生成AI
まずは汎用性の高い生成AIを3つ紹介します。
種類 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
ChatGPT | ・Plus:20ドル/月 ・Pro:200ドル/月 |
多言語に対応し、高い汎用性 |
Gemini | ・Advanced:2,900円/月 | 画像・音声・動画も対応 |
Claude | ・Pro:20ドル/月 | コストパフォーマンスに優れている |
ChatGPT
引用:ChatGPT
ChatGPTはOpenAIが開発した生成AIで、人間と自然な会話ができることで世界で最も利用されている生成AIです。
「Generative Pre-trained Transformer」という大規模言語モデルを基盤としており、約25万冊以上の膨大なデータを事前学習しているため、質問への回答、文章の要約や翻訳、メールや企画書の作成など、さまざまな作業を自動化できます。
直感的な操作が可能で、Webブラウザやスマートフォンアプリから簡単にアクセスでき、日本語を含む50以上の言語に対応できるのが特徴です。
内部リンク:「ChatGPTの国内・海外事例8選 ビジネス活用につなげるポイントとは」
Gemini
引用:Gemini
GeminiはGoogleが提供する生成AIで、テキストだけでなく画像や音声、動画などさまざまなデータを扱えるのが特徴です。
個人向けには無料版と有料版があり、無料版でも基本的なテキスト生成、翻訳、質問応答、アイデア出しなど幅広いタスクをこなせます。
GeminiはGoogleアカウントがあればすぐに利用できるため、導入のハードルが低く、ユーザーフレンドリーな操作性が魅力です。
モデルが頻繁にアップデートされ、処理速度や汎用性が高く、Googleサービスとの連携もスムーズに行えるため、業務効率化やクリエイティブ作業に適しています。
Claude
引用:Claude
ClaudeはAnthropicが開発した生成AIで、正確で倫理的な文章生成ができます。日本語を含む多言語に対応しており、長文の理解や説明が得意です。
ClaudeはAPI連携が容易で、外部アプリケーションやデータベースとの連携による高度な推論もできます。GPT-4oと同等レベルのパフォーマンスを低コストで実現しており、コストパフォーマンスが高いです。
また、長文や複雑なプロンプトにもスムーズに対応できるため、ブログ記事やプレゼン資料の作成、Webメディア向けのコンテンツ生成にも向いています。有害なコンテンツの生成を避けるため、安心して利用できる点も魅力といえるでしょう。
【クリエイティブに特化した】生成AI
イラストや写真、音楽、映像など「表現」や「デザイン」を必要とする場面に適した生成AIを紹介します。
種類 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Canva | ・Pro:1,500円/月 ・for Teams:3,000円/月〜 |
画像・動画・テキスト・デザイン全般に対応 |
Midjourney | ・Basic:10ドル/月 ・Standard:30ドル/月 ・Pro:60ドル/月 ・Mega:120ドル/月 |
高品質画像生成、アート・イラスト制作が可能 |
Stability AI | 無料(※条件により有料) | 画像・動画・音声・3D生成ができる |
Canva
引用:Canva
Canvaは、幅広く利用されているデザインツールであり、AI機能の導入により、クリエイティブ作業の自動化と効率化が進化しました。
CanvaのAIは、画像編集や背景除去、デザインテンプレートの自動提案、動画やアニメーションの作成など、クリエイティブ関連に強いのが特徴です。
使い方は直感的で、デザイン経験がないユーザーでもドラッグ&ドロップや簡単なプロンプト入力だけで、プロレベルのデザインを短時間で制作できます。無料で始められるため、コストパフォーマンスも高く、教育機関や非営利団体向けのプランも用意されています
Midjourney
引用:Midjourney
Midjourneyは、テキストプロンプトから高品質な画像を生成できるAIサービスで、クリエイティブなデザイン制作に特化しています。
プロンプトの内容やパラメータの設定によって、リアルな写真からアーティスティックなイラスト、SFやファンタジー風の世界観まで幅広い制作が可能です。
生成される画像は精細で、色や質感、構図のバランスが優れており、多くのクリエイターやデザイナーが活用しています。利用方法はDiscord上のボットを通じて行い、プロンプトを入力すれば数十秒で画像が生成されるため、使い方もシンプルです。
ただし、Discord上での利用が前提となるため、初めてのユーザーにはやや敷居が高いと感じる場合もあります。
Stability AI
引用:Stability AI
Stability AIは、Stable Diffusionをはじめとする生成AIモデルを提供し、画像・動画・音声・3Dなどさまざまなクリエイティブ領域に対応しています。
Stable Diffusionは、テキストから高品質な画像を生成でき、クラウドAPIやWebプラットフォームなど形態に対応しています。クリエイターや開発者は自分のワークフローに合わせてAIを導入でき、カスタマイズ性が高いです。
画像生成だけでなく、動画や音声、3Dモデルの生成も可能で、幅広いクリエイティブ用途に活用できます。使いやすさはプラットフォームによって異なりますが、Web版のStable Assistantは直感的なインターフェースで、初心者でも直感的に利用できます。
【プレゼン資料作成に特化した】生成AI
資料作成に慣れていない方でも、説得力のあるスライドを短時間で仕上げられるツールを紹介します。
種類 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Gamma | ・Plus:1,200円/月 ・Pro:2,250円/月〜 |
・直感的UI・初心者でも扱いやすい インテグレーション豊富 |
Tome | ・Pro:16ドル/月 ・エンタープライズ:要問い合わせ |
ドラッグ&ドロップUI・多機能だが直感的 |
Plus AI | ・Basic:10ドル/月 ・Pro:20ドル/月 ・Team:30ドル/月 |
・既存ツールの延長で使える ・新規学習不要 |
Gamma
引用:Gamma
Gammaは、プレゼンテーション資料の作成を効率化するツールです。ユーザーがテキストやプロンプトを入力するだけで、AIが構成や見出しを提案し、スライドを生成します。
従来のスライド形式ではなく「カード」システムを採用しており、複雑な情報も分かりやすく分割・整理できます。
テンプレートやデザインの自動適用機能により、デザインをする手間が省略でき、ドラッグ&ドロップで画像や動画、チャートなどのリッチメディアも追加可能です。
直感的な操作性とYoutube、Google Driveなどのツールの連携機能が豊富な点も評価されており、初心者からプロまで使いやすいのが特徴です。
Tome
引用:Tome
Tomeは、AIによるストーリーテリングとプレゼンテーション作成を強みとするツールです。シンプルなプロンプト入力で、AIが内容やレイアウト、画像を自動生成し、視覚的に魅力的なスライドを短時間で作成できます。
テーマや色、フォントなどのカスタマイズ性も高く、ブランドイメージに合わせた資料作成が可能です。
ドラッグ&ドロップの直感的なUIや、複数人でのリアルタイム共同編集機能により、チームでの作業効率も向上します。
HubSpotやWordPress、Shopifyなど約300種類以上の外部サービスと連携できる点も強みです。データのセキュリティやクラウドベースの保存、AIによるレイアウト最適化や分析機能も備えており、個人・ビジネスどちらの用途でも使いやすいでしょう。
Plus AI
引用:Plus AI
Plus AIは、PowerPointやGoogleスライドに直接組み込んで使えるAIアドオン型のプレゼンテーション生成ツールです。新規スライドの作成だけでなく、既存のスライドの再構成やPDF・Wordファイルからの自動変換も可能で、従来のワークフローを変えずにAIの力を活用できます。
数百種類のデザインテンプレートやレイアウトが用意されており、プロンプトやテキストから1枚ずつスライドを生成することも、全体を一括生成することもできます。
セキュリティ面でもエンタープライズ基準を満たしており、業務用途でも安心して利用可能です。既存のPowerPoint・Googleスライドユーザーにとっては新しいツールを覚える必要がなく、導入しやすい点が魅力です。
【リサーチに特化した】生成AI
リサーチに特化した生成AIは、検索だけでなく、情報の整理・要約・比較まで自動で行ってくれるため、調査業務が効率化されます。
種類 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Perplexity | ・Pro:20ドル/月 | 検索エンジン感覚で使える・初心者にも使いやすいAI |
Elicit | ・Plus:12ドル/月 ・Pro:49ドル/月 |
シンプルなUI・学術リサーチに最適 |
Consensus | ・Premium:12ドル/月 | 入力が簡単で学生にもおすすめ |
Perplexity
引用:Perplexity
Perplexityは、リサーチに特化した生成AIツールです。ユーザーがリサーチしたいテーマを入力すると、AIが数十件の検索と数百の情報源を調査し、人間が数時間かけて行うような分析や要約を数十秒〜1分で実施します。
得られた情報は、分かりやすいレポートとしてまとめられ、PDFや独自のPerplexity Pageとしてエクスポートや共有も可能です。
検索エンジンのような直感的なUIで、AIモデルの切り替えや情報源の確認も行えるため、リサーチ初心者から専門家まで使いやすい設計となっています。
Elicit
引用:Elicit
Elicitは、学術論文を中心としたリサーチやシステマティックレビューを効率化するAIツールです。AIによる自動データ抽出や論文のスクリーニング機能により、数千件の論文を短時間で分析でき、従来の手作業に比べ最大80%の時間短縮を実現します。
Elicitは、引用元の原文や根拠となる引用文を明示し、透明性と信頼性を重視した設計が特徴です。AIが自動生成したスクリーニング基準やデータ抽出基準を再利用できるため、追加調査やアップデートも簡単です。
AIによるレポート生成機能「Elicit Reports」は、他のリサーチAIよりも高品質で、学術的な引用や表の生成も優れています。
Consensus
引用:Consensus
Consensusは、学術論文に基づいたエビデンスサーチに特化したAIツールで、「Consensus Meter」という独自機能が特徴です。
ユーザーがYes/No形式の質問を入力すると、関連する論文を自動で収集・分析し、各論文の結論を「Yes」「No」「Possibly」の3段階で可視化します。これにより、研究分野の合意度や意見の分布を直感的に把握できます。
無料プランでも基本的な論文検索や結果の閲覧が可能で、論文ベースの意思決定やエビデンス収集を効率化したいユーザーにおすすめです。
【分析に特化した】生成AI
分析に特化した生成AIは、データの読み込み・傾向分析・グラフ作成・示唆出しを自動で行い、誰でも簡単にデータを活用できます。
種類 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Graffer AI Studio | 要問い合わせ | 企業向けに特化した、安全性重視の生成AIプラットフォーム |
Dataiku | 要問い合わせ | ノーコードでも高度なAI分析を可能にする |
DataRobot | 要問い合わせ | 予測AIを誰でも簡単に使える |
Graffer AI Studio
Graffer AI Studioは、企業向けに設計された生成AIプラットフォームであり、セキュリティ・コンプライアンス・データガバナンスを確保した環境を提供します。ユーザーは社内システムと連携したシングルサインオンでアクセスでき、細かな権限設定や利用ログの監視によって、AI活用の透明性が保たれます。
最大の特徴は「オプトアウト環境」を採用している点で、LLM提供元へのデータ流出リスクを防ぎつつ、GPTなどの先端モデルを安全に活用可能です。
プロンプトテンプレートのライブラリやナレッジ共有機能により業務の効率化を支援し、出力形式はPDFやWebページなど多様に対応しています。
Dataiku
引用:Dataiku
Dataikuは、データサイエンスとAIのエンドツーエンドプラットフォームで、データ前処理から機械学習・生成AIの開発・運用までを一元管理します。
ノーコードインターフェースとフルコード環境を併せ持ち、自動化されたデータクリーニングやAutoML機能により10倍速いデータ準備を実現可能です。
特筆すべきは「LLMゲートウェイ」で、企業内で生成AIを安全に導入し、AIアシスタント機能によるプロンプト最適化やストーリーテリングを支援する点です。共同作業機能とAIガバナンスを兼ね備え、大規模データ処理に優れたスケーラビリティが強みです。
DataRobot
引用:DataRobot
DataRobotは自動機械学習のパイオニアで、コード不要なドラッグ&ドロップ操作で予測モデルを構築・デプロイします。
特徴量エンジニアリングやハイパーパラメータ調整を自動化し、金融リスク評価や需要予測など業界特化型テンプレートを豊富に保有しているのも魅力です。
クラウド/オンプレミス両対応で、リアルタイム予測APIやモデルモニタリングダッシュボードにより運用を効率化します。また、部分依存プロットやSHAP値によるモデル解釈機能で説明可能なAIを実現し、規制厳格業界でも導入実績が豊富です。
生成AIを導入・活用する際の注意点
生成AIを導入・活用する際は以下3つの注意点に留意しましょう。
- 商用利用が可能か確認する
- 出力結果に偏りがある
- 情報漏えいのリスクに注意する
商用利用が可能か確認する
生成AIで作った文章や画像を、会社の広告や商品、Webコンテンツに使いたいときは、商用利用を許可しているかを必ず確認しましょう。
生成AIには、それぞれ「どこまで使っていいか」という利用規約があり、無料プランでは商用利用NG、有料プランのみOKなど、条件が分かれていることもあります。たとえば、AIが作ったロゴを商品に印刷したり、生成された文章を営業資料に使ったりする場合、規約違反だとトラブルになりかねません。
最悪の場合、提供元から損害賠償を求められることもあります。導入前には必ず公式サイトの「利用規約」をチェックし、商用OKかどうかを確認しましょう。不安な場合は会社に直接問い合わせるのが確実です。
出力結果の偏りに注意する
生成AIの出力結果は、学習データの内容や構成に起因する偏りが含まれる可能性があります。たとえば、ある製品に関するレビューやアンケート結果などをもとにVOC分析を行う際、ネガティブな意見ばかりを学習したAIは、ポジティブな声を軽視し、誤った回答を導き出してしまうということです。
また、文化・性別・地域に関するステレオタイプが出力されるケースもあり、倫理的な問題や信頼性の低下にもつながります。AIは人間と異なり、意図的に公平性を意識して出力しているわけではないため、学習ソースの内容がそのまま出力に反映されます。
業務で活用する際は、バイアスの有無を人の目で確認したり、複数の視点で補正を加えたりする運用体制を整えましょう。
情報漏えいのリスクに注意する
生成AIを活用する際は、情報漏洩のリスクにも配慮しましょう。生成AIはクラウド上で動作しており、ユーザーが入力した情報がログとして一時保存される場合があります。
特に注意したいのが、顧客データや従業員情報、開発中の製品仕様、契約書内容などの機密性の高い情報をAIに入力してしまうケースです。情報が意図せず他者に再出力される、あるいはAIの学習データとして利用されると、企業の信用失墜や法的責任に直結します。
過去には生成AIに入力したコードやデータが外部に流出した事例も報告されています。社内利用ルールの策定や、入力データのフィルタリングなど、セキュリティ面での対策をおこないましょう。
まとめ
生成AIは、文章・画像・音声などさまざまな生成能力を持ち、業務効率化から創造的表現まで幅広く活用されていますが、情報漏洩などのリスクに配慮は必要です。
スパイスファクトリーは生成AIを単なる効率化ツールではなく、「創造性を引き出すパートナー」として捉え、ChatGPTやClaudeといった先進ツールを自社業務に取り入れるだけでなく、クライアント向けの提案やPoC支援にも活用範囲を広げています。
AIと人が並走しながら共創していく姿勢は、技術の可能性を最大限に引き出しながらも、責任ある導入と活用を両立するために必要なアプローチです。
今後ますます多様化・高度化していく生成AIと共に歩むためには「便利そうだから導入する」のではなく、「自社の目的に合ったツールを、戦略的に使いこなす」視点が必須と言えるでしょう。
生成AIはあくまでも使いこなす側に主導権があるからこそ、選定・運用・管理のすべてにおいて人の判断と責任が問われていく時代が始まっています。
以下の記事では、スパイスファクトリーの生成AIの健全な社会基盤づくりにおける取組を紹介していますので、あわせてご覧ください。
内部リンク:スパイスファクトリー、AI基本方針を策定
内部リンク:スパイスファクトリー、一般社団法人Generative AI Japanに参画

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