「つわりや妊婦健診でも休めない」をなくす、育児休業給付金の課題に対応した「プレママ・パパ制度」を導入
産前休暇”前”に最大20日有給特別休暇を取得できる「プレママ・パパ制度」
様々なライフステージにおいて、働くすべての方々に働きやすい環境を整備
当社は、社員やパートナーの妊娠期間中に最大20日の有給休暇を取得できる「プレママ・パパ制度」という法定外福利厚生制度を、2023年7月1日より開始しました。これは、産前休暇”前”に利用可能な制度です。
■制度概要
制度名: プレママ・パパ制度
休暇種別:特別休暇
有給休暇日数:20日
2023年07月01日改定
■こども未来戦略会議で議論されなかった、育児休業給付金の課題
「異次元の少子化対策」の号令のもと、日本政府は3月、男性の育児休業給付金の給付額を従来の育休取得前の賃金の67%から、実質手取りの10割まで受け取れる「産後パパ育休」を発表。女性の給付率の引き上げも検討する方針を明らかにしました。
また、内閣官房が開催した「こども未来戦略会議」では、児童手当の拡充や出産費用の保険適用などを含めた「こども未来戦略方針」が決定されました。
その「産後パパ育休」や「こども未来戦略会議」で議論されず、見落とされている点の1つが、「つわりや妊婦健診でも仕事を休めない」育児休業給付金の課題です。
育児休業中の社員は、多くの企業で無給あるいは減給となるため、政府が規定する「育児休業給付金」に頼って生活することになります。
この「育児休業給付金」の給付額の算出は、育児休業開始前の6カ月の賃金を180(日)で割った「休業開始時賃金日額」をもとに決定されます。
そのため、妊娠中である育休開始前の6カ月間の間に「休職」や「欠勤」があると、「育児休業給付金」の給付額が下がってしまい、育休中の生活費に大きく影響を及ぼします。
このような理由から、つわりや妊婦健診(14回の受診が推奨されています)などで有給を消化しきってしまっても、「欠勤」扱いを避けるため無理して出勤するというケースも存在します。
■スタートアップが、産産前休暇“前”に利用できる有給休暇「プレママ・パパ有休」を付与
そこで、当社含めスタートアップ業界では子育て世代の社員を支援すべく、社員やそのパートナーの妊娠期間中に利用できる有給休暇「プレママ・パパ有休」の運用を開始する企業が現れ始めています。
妊娠中の社員自身が、つわりなどの体調不良や、出産まで14回ほど受診が推奨される妊婦健診などで勤務できない場合に有給休暇として利用できるほか、パートナーが妊娠中の社員にも健診付き添いやサポートなどの理由での取得が可能となります。
・「プレママ・パパ有休」導入企業 株式会社DUMSCOのプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000045932.html)
■丹波市では、妊婦健診による休暇取得に奨励金10万円
また、こうした民間企業の取り組みを後押しする自治体の動きも出てきています。
兵庫県丹波市は、市内事業所の従業員が妊婦健診のために休暇を取得した場合、従業員に年5回以上休暇を取得させるなどの条件付きで、奨励金を交付する取り組みを4月に開始しました。
しかし、丹波市の事例が全国初の取り組み、また丹波市の取り組みも1事業所当たり年間10万円と効果は限定的で、課題解決を民間企業の企業努力に依存しているのが現状です。
■「プレママ・パパ有休」導入各社の出産経験者のコメント
株式会社DUMSCO
デザイナー/北澤佳乃氏
つわり中の労働が大変なことは想像はしていましたが、実際に経験すると想像以上に過酷でした。いつ吐くかわからない状態での会議、思うように頭が働かなくて進まない仕事、不安で押しつぶされそうな中、約14回の妊婦健診や体調不良で減っていく有給休暇。
そんな妊娠期に、妊婦健診の付き添いや家事を担うなど男性側ができることはたくさんあります。2人でこの時期を乗り越えることは大きな価値があり、その後の心身ともに健やかな育児や家庭運営に繋がります。この制度が普及することで、1人でも多くのプレママ、プレパパの不安解消につながることを願っています。
スパイスファクトリー株式会社
ビジネスプロデューサー/堀口ミイナ
妊婦検診に最低14回は通うことが基本なのですが、そのたびに数時間から半日近く待ち時間や会計時間でかかることも多く、それを自分の有給休暇で補うのは正直不可能に近いものがありました。アメリカやヨーロッパを始めとした国では、有給休暇とは別に「傷病休暇」が付与されるのが当たり前で、風邪など体調不良・通院は傷病休暇で申請し、有給休暇は純粋にリフレッシュするためのものという認識が共有されています。
そのため、有給休暇を消化せず妊婦検診に通える外資系企業に勤める友人がとても羨ましく感じることもありました。
日本の会社でもそのようなサポート体制が広まると、働く女性やその家族はとても救われると思います。
■「プレママ・パパ有休」導入各社の経営陣のコメント
株式会社DUMSCO
代表取締役/西池成資氏
私自身も二児の父であり、妻の妊娠中には時間を作って妊婦健診に可能な限り同行しました。妊婦さんの体内では大変なことが起こっているのを理解できたおかげで、妊娠出産に当事者意識を持てるようになりましたし、社会のなかの子供の存在にも意識が向くようになりました。現在も育児の時間は大切にしています。
子育てに代わる大仕事はありません。自社の社員にも、プレママ休はもちろんプレパパ休をぜひ取得してほしいです。政府は、2025年の男性育児休業取得率の目標を50%まで引き上げるとしていますが、そのためには父親としての当事者意識を持つための「出産前からパートナーをサポートする時間」も必要だと思います。この制度によって子育て世代の社員の不安が軽減され、育休取得する人が増えることに繋がれば幸いです。
スパイスファクトリー株式会社
取締役CSO/流郷綾乃
弊社は、従業員の平均年齢が30代前半、且つ女性社員が43%を超えています。「働きがいのある会社」ランキング ベスト100に2年連続で選定され、今までもディーセントワークに重きをおき経営を進めてまいりました。
どのライフステージにおいても、誇り高くプロフェッショナルとして働く全ての方々に働きやすい環境を整えたいと思っています。私も2児の母として仕事をする中で様々な課題にぶつかります。
特にお子さんを授かり、2つの命が1つの身体に共存するとても奇跡的な時期に、共に過ごす仲間として、サポートしていきたい気持ちと、政府に対して、本質的な課題解決に取り組むきっかけを作るためにも、「プレママ・パパ制度」を設けることにしました。
弊社堀口はじめ、全ての新しい命を授かる方々に対して、官民共に協力し合い、この日本を背負う次世代に対して投資することが経営者として正しいと信じています。