アジャイルなシステム開発、デザイン、ブランディング、マーケティングを得意とし、全方位から企業のDXを支援するスパイスファクトリー株式会社です。
- 基幹業務システムが使いづらく、作業に手間がかかる
- サービスを展開しているが、離脱率やアクティブ率に課題を感じている
- Webサイトのパフォーマンスが低く、お問い合わせや申込みなどのCVが伸び悩んでいる
上記のようなお悩みを抱える企業は少なくありません。
このような問題を解決するためにはUI/UXデザインの観点から分析し、改善を検討・実施する必要があります。
この記事では、なぜデザインが重要なのか、どのタイミングでUI/UXデザイン改善が必要になるのか、具体的にどのような改善方法があるのか等をお伝えしていきます。
※ UIデザインとはユーザーとサービス・プロダクトの接点となるインターフェースの設計のことを、UXデザインはユーザーがサービス等を通じて得られる体験の設計のことを指します。
Contents
なぜ今“デザイン”が重要なのか
「デザイン」と聞くと頭に何が思い浮かびますか?
多くの人は、「綺麗な色使い」や「イケてるレイアウト」などが頭に浮かぶかもしれませんが、実はこれらはデザインのほんの一部分に過ぎません。
デザインは英語で「設計」。解決すべき課題と新たに創出する価値を定義した上で、ユーザーに適切に伝えるプロセスそのものを「デザイン」といいます。
つまり、デザインは「ユーザーとサービス(システム・アプリなど)を繋ぐコミュニケーション」であり、表層的な見た目を整えることは、作り手の意図を伝えるための手段の一つに過ぎないのです。
どれだけビジュアル面で美しくても、開発された機能が素晴らしくても、作り手が熱い想いを抱いていたとしても、届けるべき相手(ユーザー)に価値を伝えられなくては意味がありません。
そして、サービス作りにおいて本質的なデザインを重視することはもはや常識。
InVisionが提供しているThe New Design Frontierによると、65%以上の企業が世界的に開発や経営に対して積極的にデザイン的思考を活用しているそうです。
日本国内においても、成長企業はデザイン思考の実践に積極的であるというデータが公表されています。
さらに、経産省・特許庁は日本企業の産業競争力を向上すべく、2018年より「デザイン経営」を推進。デザインを重視した経営の実践を呼びかけているのです。
デザインの意義は見た目の調整だけではなく、自社のサービスの課題を解決し、ユーザーにサービスの価値・本質を伝え、使い続けてもらうための重要なプロセスといえるでしょう。
本記事では、サービス改善に主に関わってくる「UI/UXデザイン改善」に焦点を当てて解説します。
UI/UX改善が必要となるケース
デザインが世間的に重視されているとはいえ、「自社の課題が本当にデザインで解決できるの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。
そこでUI/UX改善が必要な「あるある」ケースについて、サービスの種類ごとにご紹介していきます。
業務システムの場合
業務を効率よく遂行する上で欠かせない業務システム。
毎日多くの社員が利用しますが、「使えればいい」という理由で、ユーザーの利便性は無視されることが多々あります。
中には、システムのリプレイス(入れ替え)の煩雑さを理由に、古い業務システムを長年使っているような企業も……。
その結果、以下のような問題が発生するケースが考えられます。
- 業務システムの操作性が悪いため、ミスが発生しやすい
- 管理や作業に人的コストがかかる
- 必要最低限のデフォルト機能しか存在しないため、システムのみでは対応できない範囲が発生し、結果人力で行うコストがかかる
- 業務システムが古いことによる情報セキュリティ上の漏洩リスク
業務システムの改修を図る場合、機能やオペレーション改善だけではなく、UI/UX視点でのデザイン変更を行いましょう。
ユーザー視点での使いやすさを考えた設計に変えることで、作業効率が上がり、結果人的コストの削減に繋がります。
アプリの場合
アプリサービスを展開している企業でよくあるお悩みとして、以下のようなケースが挙げられます。
- App Store、Google Playストアなどでのユーザー評価が低い
- インストール数は一定数あるが、MAUや離脱率の数値が悪い
- 購買(コンバージョン)などのビジネス目標が達成されていない
これらも実は、ユーザー視点でのデザインになっていない点が要因の一つです。
iPhoneやAndroidなど、使いやすく設計されたデバイスの操作に慣れきったユーザーはUI/UXデザインにとても敏感。触っていて少しでもストレスがあるアプリは敬遠する傾向があります。
ユーザーに愛されるアプリを作るためには、ユーザーにとって使いやすいか、ユーザーの動きが想定された設計になっているかなど、UI/UXデザインの観点を持つことが重要です。
Webサイトの場合
自社のWebサイトといってもいろいろな種類があります。ここでは種類別によくあるお悩みをご紹介します。
- コーポレートサイトのお悩み
- 10年近く同じコーポレートサイトを使用しており、古い感じがする
- ECサイトのお悩み
- サイトの売上が上がらず、ビジネス目標が達成されない
- LP(ランディングページ)のお悩み
- コンバージョンが伸びない
これらの問題を解決するうえでも、UI/UXデザインの観点が欠かせません。
デザインにも流行り廃りがあるので、いつまでも古いデザイン手法が用いられているとユーザーや取引先、求職者に「考え方が古い企業なのかな?」とネガティブな印象を与えてしまいかねないので注意が必要です。
また、Googleは2020年5月に「ページエクスペリエンスシグナル」という指標を公式に導入しました。これは「検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する」という基本方針で、GoogleがWebサイトのUI/UXデザインを重視していることがわかります。
Googleからの評価が得られなければ、検索順位や流入は当然下がります。売上やコンバージョンの達成のためには、いまやマーケティング視点だけではなくUI/UXデザイン視点も必要なのです。
ここまで読んでくださった方は、UI/UXデザイン改善の必要性について十分理解していただけたのではないでしょうか。
ところが、いざ改善をしようとなったときにぶつかるのが「UI/UXデザイナー不足の壁」です。
UI/UXデザインを改善しようと試みても、以下のようなケースに直面することがあります。
- UIUXの観点から業務システムを改善したいが自社にデザイナーがおらず、システムをブラッシュアップできる体制がない
- 常駐のベンダーに依頼したが、思うような改善が見られなかった
UI/UXデザイナーは高い専門性だけでなく、問題の本質を見極める洞察力や他職種と連携するコミュニケーションスキル、プロジェクトを成功に導くためのプロジェクトマネジメントスキルが求められる職種。高まる需要に反して人材が不足しているのが現状です。
そこで、開発やUI/UXデザインの実績がある専門の会社を選定し依頼することをおすすめします。
必要な体制やリソース・知識がない状態で進めるのではなく、外部の専門家と連携して必要なプロジェクト体制を整えていきましょう。
UI/UX改善の流れ・方法
いよいよ本題のUI/UX改善を行うステップについてお伝えします。
UXデザイン改善をうたう企業は数多く存在しますが、玉石混交。正しいステップを知ることで、プロジェクトを成功に導ける企業の選定に活かしてください。
なお、目的や状況によって適切なプロセスや手法が変わるため、ここではもっともスタンダードな改善ステップを紹介します。
ヒアリング
まずはヒアリングを通してUI/UXデザイン改善プロジェクトの目的を確認。
事業目標、具体的な人物像(ペルソナ)、想定される利用文脈(ユースケース)など全体に関わる要件を整理していきます。
問題点の洗い出し・課題発見
現在のサービス・プロダクトの問題点を洗い出し、改善すべき課題を発見していきます。
代表的な手法として、ブレインストーミングや社内・顧客アンケート、フレームワークを使った分析、競合分析などがありますが、UI/UX改善ではより専門的な視点が必要になります。ここではUI/UX改善でよく用いられる2つの手法を紹介します。
専門家によるレビュー
対象サービスが本当に使いやすいのか、ユーザーにとって価値のある体験を提供できているのか? 現状を正しく認識するためには、専門的知識があり、かつ客観的にサービスを俯瞰できるUI/UXデザイナーのデザインレビューが必要です。
具体的には、ユーザーの立場でサービスを使ってみて、分かりづらい・使いづらい部分を洗い出してもらいます。
主観に偏らない判断をするため、認知心理学や人間工学の法則を活用したり、「ヒューリスティック評価」などの客観的評価を用いたユーザビリティ検査を用いたりすることもあります。
また、ユーザー体験を向上させる要因として、ページの表示スピード、導線設計、ライティングなども挙げられます。UI/UXデザイナーだけではなく、エンジニア・UXリサーチャー・マーケターなど様々な職種のメンバーの意見を集めることで問題点を幅広く洗い出せます。
改善効果を上げるためにも、各スペシャリストの知見を活かして全体最適できる体制づくりが望ましいといえるでしょう。
ユーザーインタビュー
ユーザーの本質的なニーズを知るうえで効果的な手法として、ユーザーインタビューが挙げられます。ここでいうユーザーとは、実際のユーザー自身かペルソナに近い人物のことを指します。
注意点は、形式的に話を聞くだけでは、ユーザーの個人的な不満や要望を聞く場になってしまうことです。個人の不満を解消して一件でも多く売上を伸ばしたい・解約阻止に繋げたい、と思ってしまいますが、ユーザー自身も気づいていない潜在的ニーズを引き出すことがユーザーインタビューの意義です。
前述の「専門家によるレビュー」と掛け合わせて、定量・定性の両面から課題を洗い出しましょう。
ユーザーインタビューの事前準備で行うことは以下です。
- 目的の設定
- リクルーティング・日程調整
- インタビュー手法・流れの決定
- 役割分担
リクルーティングする際は、インタビューの目的に基づいて対象者と人数を検討しましょう。
対象者を絞り込むため、必要に応じてアンケートを実施します。謝礼の準備も忘れずに。
対象者が決まったら、インタビュー手法や結果の活用方法などの大枠を決めていきます。
インタビューの進め方としては、スクリプトを完璧に決めて行う「構造化インタビュー」や、基本アドリブで進める「非構造化インタビュー」、その中間の「半構造化インタビュー」などがあります。
ユーザーの本音を引き出すためには、自然に話を展開していくことが大事ですが、インタビューの目的によっては定量的な情報を得るほうが効果的な場合もあるでしょう。
インタビュー手法の詳細については以下の記事でも詳しく記載しています。
また、インタビュー参加者の役割分担も決めていきましょう。
インタビュアー側は、インタビュアー1人、議事録1人の2人体制が望ましいです。
インタビュアーにはUXの知見が豊富で、かつ分析スキルの高いUXリサーチャーをアサインしましょう。ユーザーを深く理解できるので、サービス・プロダクトの価値向上に繋がる調査が可能になります。
課題の整理/改善案の検討
レビューやインタビューで洗い出した課題を整理していきます。
実施する際はUIデザイナー・UXデザイナー・マーケター・エンジニアなど、専門知識を持つメンバーを集めたワークショップ形式での実施がおすすめです。
ワークショップでは課題の認識合わせや因果関係の整理を行います。
すべての課題を一挙に解決できることがもちろん理想ですが、予算やリソース、プロジェクト期間など現実的な条件も加味し、項目ごとの優先度もここで決めておきましょう。全体を俯瞰して幅広く課題を洗い出せている場合、予算やリソースを抑えて改善できるケースもあります。
作業量をなるべく正確に見積もるためにも、デザインや開発の工程を理解しているメンバーに声をかけましょう。
課題の整理が終わったところで、いよいよ改善案の検討に移ります。ただ議論をするだけではなく、その場で簡単なデザインや骨子(ワイヤーフレーム)に落とし込んでいきます。
改善案を見える化することで、ワークショップメンバー同士の認識齟齬を防ぐことができます。
また、日頃デザイン業務に携わっていないメンバーがプロトタイピングに参加したり、UI/UXデザイナーの手元を直接見たりすることは、デザイン思考の社内浸透にも効果的。
ワークショップの場で課題整理だけでなく改善案の検討までを一気に行うことで、スピーディーなUI/UX改善を実現できます。
実装
いよいよ改善案を実装していきます。UI/UXデザイナーからエンジニアにバトンが渡されることになりますが、実現可能性の検討が十分になされていないと、開発に膨大な工数がかかって納期が遅れてしまったり、最悪プロジェクトが頓挫してしまったりするケースもあります。
改善プロジェクトを行う際は、レビューなど初期のフェーズからエンジニアに参画してもらい、実装を考慮したUI/UX改善を心がけましょう。
エンジニアやデザイナーが密に連携することで、意思決定やプロジェクト全体のスピードを上げることができます。
詳しくは下記記事をご確認ください。
正しい手順でUI/UX改善を実行し、サービスの利便性・成果を向上させよう
サービス・プロダクトの課題を解決するための手法であるUI/UXデザイン改善についてお伝えしてきました。
UI/UX改善に課題を感じる企業は多いですが、ただ見た目を改善するだけでは解決できないことがほとんど。リソースのない状態で進めるのではなく、ユーザーを深く理解できるUI/UXデザイナーの力を借りましょう。
サービスに関わるメンバーを巻き込んで、齟齬なくプロジェクトを進めることも重要です。
まずは、そもそもUI/UX改善自体が必要な状態なのか、専門の会社に診断してもらいましょう。
スパイスファクトリー株式会社には、UIデザイナー・UXデザイナー・ブランディングディレクター・エンジニア・マーケターなど、UI/UXデザイン改善に必要な知見を持った高度専門人材が在籍しています。貴社の課題を多角的にとらえ、スピーディーなUI/UXデザイン改善に向けたご支援が可能です。
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ShintoTatsuo