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Webサイトのユーザビリティ課題はどう解決すればよい?UI/UXを改善するためのポイントを解説

Webサイトのユーザビリティ課題はどう解決すればよい?UI/UXを改善するためのポイントを解説

ユーザーにとっての使いやすさを表す、ユーザビリティ。
「Webサイトが使いづらいけれど、どこが問題なんだろう」「ユーザビリティをどのように改善すればよいのだろう」とお悩みではないでしょうか。

この記事では、よくあるWebサイトのユーザビリティ課題や、その課題をどのように解決すればよいのかを、UI/UXを改善するためのポイントと併せて解説します。

UI/UXコンサルティング

Contents

ユーザビリティとは

ユーザビリティとは
ユーザビリティとは、一言でいうとユーザーにとっての「使いやすさ」を指す言葉です。
国内規格JIS Z 8521:2020では、次のように定義されています。

特定のユーザが特定の利用状況において、システム、製品又はサービスを利用する際に、効果、効率及び満足を伴って特定の目標を達成する度合い。

引用元:人間工学―人とシステムとのインタラクション―ユーザビリティの定義及び概念

つまり、Webサイトにおけるユーザビリティとは、「Webサイトを訪れるユーザーにとって、情報の取得やサービスの利用といった目的を達成できる使いやすいサイトになっているか」ということを意味します。Webサイトのユーザビリティが低いということは、ユーザーにとって使いづらかったり、分かりにくかったりするのです。

ユーザビリティを改善するメリット

ユーザビリティを改善するメリット
ユーザビリティはWebサイトを利用するユーザーの理解や行動に大きく影響する重要な要素です。
ユーザビリティを改善することで、次のようなメリットがあります。

正しく情報を伝えることができる

ユーザーにとってわかりやすいとは、ユーザーの知りたいことをスムーズに知ることができる、ということです。
これは企業側にとって、伝えたいことを正しく伝えられるということにもつながります。

離脱率の低下

使いづらさや分かりにくさは、ユーザーにとって大きなストレスであるため、ユーザーの離脱につながる要素です。
ユーザビリティが改善されることで、ユーザーは快適にWebサイトを利用でき、離脱率の低下につながります。

コンバージョン率の向上

使いやすいWebサイトは滞在時間が伸びます。
その分、ユーザーはWebサイトを訪れた目的に到達しやすくなるため、コンバージョンにもつながります。

ユーザー満足度の向上

Webサイトはユーザーとの重要なタッチポイントです。ユーザビリティの改善は、Webサイトを通じたユーザーとのコミュニケーションの改善でもあります。
Webサイト上で適切なコミュニケーションを実現することで、企業やサービスに対する満足度の向上につながります。

よくあるWebサイトのユーザビリティ課題

ユーザビリティ課題
Webサイトのユーザビリティは、コンテンツの内容やデザインなど、さまざまな点が課題となります。
ここでは、Webサイトのユーザビリティでよくある課題を紹介します。

ユーザーが目的の場所にたどりつけない(導線設計)

ユーザーは、例えば「Webサイトで詳細を確認して、サービスに申し込むかどうかを決めたい」といった目的を持ってWebサイトを訪れます。
そのため、その目的にスムーズにたどりつくための「導線」の設計が重要です。分かりづらい導線は、目的のページやコンバージョンに至らず、離脱につながってしまいます。

不適切な導線の例をいくつかご紹介します。

スクロールが長すぎる

特定の目的を持ったユーザーにとって、目的とする情報やアクションまでのスクロールが長すぎると、飽きてしまい離脱してしまうことがあります。

サイト内検索がない

サイト内の情報が多く、目的とする情報を見つけづらいとき、ユーザーは検索を使おうとします。しかし、サイト内検索がなければユーザーは手詰まりとなり、離脱しやすくなります。

目的ページまでのページ数が多い

ユーザーは目的とするWebページが表示されるまでに何度もクリックを求められ、遷移させられると、嫌気がさして離脱しやすくなります。

ボタンが見づらい、発見しづらい

ボタンのデザインがクリックできるように見えなかったり、ボタン自体がコンテンツに埋もれてしまっていたりすると、ユーザーは適切なアクションを起こせず離脱につながります。

コンテンツ・情報の優先度と順序が合っていない(情報整理)

情報整理が不十分なまま情報が追加され続け、トップページに多くの情報が掲載された状態になり、わかりづらくなっているケースもあります。

その要因として、すべてのユーザーのニーズを拾おうとして情報の優先度を付けられていないことや、ユーザーの心理や行動の理解不足で情報提示の順序が不適切である、といったことが挙げられます。

視認性が低い

Webサイトの配色や文字組みなど、デザイン面で見づらいことで使いづらくなっているケースです。具体的には、次のような例があります。

  • 薄い背景色なのに文字色も薄く、文字が読みづらい
  • 文字が小さすぎたり、余白が小さく文章が詰まりすぎたりしていて、重要な文字やコンテンツを見落とす
  • ファーストビューの文字が小さすぎる、またはコンテンツの文字が大きすぎる、などで見出しと本文の文字の大きさに差がなく、文章を読みづらい

表示速度が遅い

ページが表示されるまでの時間は、ユーザーにとって待ち時間でありストレスが大きいものです。そのため、表示速度が遅ければユーザーの離脱につながります。表示速度は速ければ速いほど良いですが、特にWebサイトの表示まで3秒以上かかる場合には改善するほうがよいでしょう。

ウェブサイト表示高速化サービス(WSO:Website Speed Optimization)

ユーザビリティの分析手法

ユーザビリティの分析手法
ユーザビリティの改善では、改善により別の課題が発生してしまった、ということを避けるため、Webサイトを包括的に見て分析して課題を明確化することが重要です。

ユーザビリティの分析手法には、ユーザビリティテストやヒートマップ分析といったいくつかの手法がありますが、その中でも有効な方法の1つがユーザビリティ専門家による評価「エキスパートレビュー」です。

UXリサーチの代表的な手法8選、選び方・ポイントまで解説

エキスパートレビューとは

エキスパートレビューとは、ユーザビリティの専門家が体系化された経験則(ヒューリスティックス)や知見を元に、ユーザビリティの問題点を洗い出し、それに対する改善案を提案する手法です。
ヒューリスティック評価とも呼ばれます。
Webサイトの多くはユーザビリティ上の課題を抱えています。しかし、その課題は多岐に渡るため、包括的な視点でWebサイトを分析するのは容易ではありません。
そのため、専門家によるエキスパートレビューが求められるのです。

エキスパートレビューは比較的実施しやすい手法であるため、ユーザーによる評価(ユーザビリティテスト)を計画している場合には事前評価としても用いられます。

ユーザビリティの改善方法

ユーザビリティの改善方法

先ほど説明したよくあるWebサイトのユーザビリティ課題に対し、どのように改善を進めればよいのか解説します。

情報を整理する

まずは、サイトマップなどを活用し、情報のカテゴリや階層関係といった情報構造を整理しましょう。同じ階層内にほかの要素が入らないようにすることが大切です。また、説明不足で十分に理解できない、または細かい話ばかりで全体像が掴めないといった事態を避けるために、情報の粒度はユーザーの目的に合わせて設定します。

情報を整理できたら、同じ階層内、同じカテゴリ内の情報に対してユーザーに提示する際の優先度を付けておきます。

導線を設計する

ユーザーの目的を明確にし、その目的をスムーズに達成できるような導線設計にします。

例えば、複数のサービスを扱う中で特定サービスでのコンバージョンを高めたい場合には、シンプルで訴求力の高い専用のランディングページを用意するのが効果的です。また、導線に沿ったCTAボタンを配置し、ユーザーに自然な流れでコンバージョンを促すことも大切です。

導線を設計後、優先度に合わせたコンテンツを配置します。

適切な配色とフォントサイズで視認性を高める

配色やフォントのデザインは、ルールを定めて Webサイト内で統一感を持って適用することが大切です。

ただし、Webサイトの見やすさは、ユーザーが使うシーンやデバイス、年代などによって基準が異なります。そのため、まずは製品・サービスの具体的な人物像であるペルソナを定め、ペルソナに沿って配色やフォントなどを決定していくのが最適です。

表示速度を速くする

Webサイトをできるだけ速く表示できるようにします。そのために、例えば画像や動画のファイルサイズを圧縮したり、ページ数を減らしてWebサイトを軽量にしたりするなど、表示の遅延につながる要素を排除します。

ユーザビリティの高いデザインにするためのポイント

ユーザビリティの高いデザインにするためのポイント
ユーザビリティの高いデザインにするためのポイント2点を紹介します。

ユーザビリティの10の原則

ユーザビリティの評価は、個人の感覚ではなく、客観的に行うことが大切です。例えば、使いやすさを表す代表的な指標である10の原則(10 Usability Heuristics for User Interface Design)を活用しましょう。

この原則は、ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセンがUIデザインのために注意すべき点をまとめたものです。そのため、10の原則を網羅して実現していると、ユーザビリティが高いと言えます。10の原則の内容を紹介します。

システム状態の可視化(Visibility of system status)

データの読み込み中といった、システムの状態をユーザーにとって適切なタイミングでわかりやすく伝える。

実世界とシステムの一致(Match between system and the real world)

ユーザーが慣れ親しんでいる用語や表現、見た目にする。

ユーザーに制御の主導権と自由を提供(User control and freedom)

ユーザーが途中で操作を中断したり、間違った際に取り消したりできるようにする。

一貫性と標準性の保持 (Consistency and standards)

ユーザーが想定する一般的な使い方に沿うようにし、デザインや操作方法をシステム内で一貫する。

エラーの防止(Error prevention)

操作ミスが起きづらい設計にする。

覚えなくても理解できるデザイン (Recognition rather than recall)

メニューや操作を覚えなくても使えるようにする。以前使った機能や情報をシステムが覚えているようにする。

柔軟性と効率性 (Flexibility and efficiency of use)

初めて使う人に向けた簡単な使い方と、よく使う人に向けた効率的な使い方の両方を用意する。

最小限で無駄のないデザイン (Aesthetic and minimalist design)

見たときに負荷の少ない、シンプルで美しいデザインにする。

ユーザー自身で認識、診断、回復ができる (Help users recognize, diagnose, and recover from errors)

エラーメッセージを理解しやすく、ユーザーがどう対応すればよいかわかるようにする。

ヘルプとマニュアルの準備 (Help and documentation)

ユーザーを助けるヘルプやドキュメントを用意し、簡単に手に入れられるようにする。

参考:10 Usability Heuristics for User Interface Design

当たり前品質・魅力的品質

Webサイトの品質は、「当たり前品質」と「魅力的品質」に分けられます。

当たり前品質とは、ユーザーが最低限求めている品質であり、不十分だと大きな不満につながる要素です。Webサイトにおける当たり前品質は、先ほど紹介したユーザビリティの10の原則の実現にあたります。

一方で、魅力的品質とは、ユーザーがよりポジティブな体験・感情を得られるような品質の要素です。魅力的品質は付加価値であり、当たり前品質の上に成り立つものであるため、まずは当たり前品質を達成することが大切です。

ユーザビリティ改善でUI/UXを強化する際に注意したいポイント

ユーザビリティの高いデザインにするためのポイント
Webサイト制作では様々なデザイン手法や技術があり、それらを活用することで、わかりやすさだけでなく魅力的なWebデザインになり、UI/UXの強化にもつながります。しかし一方で、誤った使い方は逆効果になってしまうこともあります。

ここでは、ユーザビリティの改善でUI/UXを強化する際に、特に注意したいポイントを2点紹介します。

過度なアニメーションを避ける

アニメーションによるコンテンツの動きは、ユーザーの目を惹くのに効果的です。一方で、過度なアニメーションや予測不能な動き、アニメーションの多用は、高い認知負荷を与えてユーザーを疲れさせることになるため避けましょう。

装飾だらけで読みづらい文章にならないようにする

日本のWebサイトは文字量が多い傾向にあり、その中でキーワードを目立たせるために文字装飾もよく使われます。しかし、文字の装飾によって、見やすさが損なわれることもあります。そのため、文字装飾に限らず、文章の装飾は本当に目立たせたい部分にのみ付けるようにし、画面内で目立った存在になっているかを確認するようにしましょう。

スパイスファクトリーのサイトリニューアル実績

最後に当社のサイトリニューアル案件実績の一部をご紹介します。詳細は各事例のリンクからご覧いただけます。

株式会社リセ様|コーポレートサイトリニューアル

新サービスの提供開始に伴うコーポレートサイトのリニューアルを担当いたしました。
ターゲットユーザーが回遊・問い合わせしやすいサイトになるよう、同社のご担当者様と共に議論・考案しております。

株式会社リセ様|コーポレートサイトリニューアル制作

日本事務器株式会社様|サービスサイト

新サービス提供に向けたサービスサイトのリニューアル事例です。新サービスの情報を既存サイトにただ足すのではなく、ユーザビリティを考慮してサイト全体の情報構成の見直しをしております。

日本事務器株式会社様|MarineManager +reC. サービスサイトリニューアル

株式会社スタートライン様|求人サイト

メインターゲットとなる障害者の特性を理解し、情報整理や導線設計することで、ユーザーにとって使いやすいWebサイトを実現した事例です。

株式会社スタートライン様|求人サイトリニューアル

Webサイトのユーザビリティを改善しユーザー満足度を向上させよう

Webサイトのユーザービリティを改善しユーザー満足度を向上させよう
Webサイトのわかりやすさや使いやすさは、ユーザーが当たり前に求めている品質の高さです。
そのため、ユーザビリティが低ければユーザーは離脱し、逆にユーザビリティを改善して高めれば、コンバージョン率やユーザー満足度の向上につながります。
ユーザビリティの改善には、ユーザー目線での課題の明確化が欠かせません。
Webサイトがユーザーにとって使いやすいか気になる方や改善したい方は、まずはユーザビリティの専門家によるエキスパートレビューを実施してみてはいかがでしょうか。

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