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【2023年版】DXが失敗する理由は?リスクを下げ成功確率を上げる「FastDX」という選択肢

【2023年版】DXが失敗する理由は?リスクを下げ成功確率を上げる「FastDX」という選択肢

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アジャイルなシステム開発、デザイン、ブランディング、マーケティングを得意とし、全方位から企業の DX を支援するスパイスファクトリー株式会社です。
当社では、企業としてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進に取り組んだものの、うまく成果が上がらずに挫折してしまったという声をよく聞きます。実際に、この記事を読まれている方の中にも「 DX の取り組みがうまくいっていない」「次は必ず成功させなければならないが糸口が見えない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
DX がうまくいかない理由はどこにあるのでしょう?また、DX における投資リスクを下げ、成功確率を高めるためにはどのような戦略が有効なのでしょうか?
当社では、低コストかつスピード感のある DX を実現するために、できるだけシステムを作らず、SaaS をはじめとした既存のプラットフォームを最大限活用することを提案しています。
この記事では、当社が考える「FastDX」という考え方をご紹介します。

DXの取り組みがうまくいっている企業はごくわずか

多くの企業で DX の取り組みがうまくいっていない現状が存在します。デル・テクノロジーズ社が実施した「DX動向調査2021」※1では、なんと91.3%もの企業で DX が進捗していないという結果に。また、同調査では62.2%の企業が PoC に取り組んだものの完了していない、もしくは完了する見込みがないと回答しており、DX の最初のステップで躓いている企業も多い現状が明らかとなっています。
さらに、経済産業省が2022年7月に公表した「DXレポート2.2」※2においては、デジタル投資の8割が既存ビジネスの維持・運営に占められていることが明らかに。DX に成功しているとされている企業も結局のところ既存ビジネスの業務効率化が主となってしまっている現状が見えます。
これらの調査結果を踏まえると、多くの企業において新しい価値や事業への付加価値創出といった本質的な DX は成功していないのが現状といえます。実際に、「自社での DX の取り組みがうまくいっていない」「経営層や上司からの指示で DX を推進したものの、結果が出ない」と感じている方は多いのではないでしょうか。

※1 参考: デル・テクノロジーズ社「DX動向調査 2021」

※2 参考: 経済産業省「DXレポート 2.2」

なぜDXは失敗するのか


必ずしも DX の取り組みはうまくいくとは限りません。なぜ DX は失敗してしまうのでしょうか。上述した「DX動向調査 2021」などの調査データを踏まえながら、主な原因を紹介します。

①予算面・人材面の理由

DX動向調査 2021では、DX 進捗の主な障壁は「カネ」と「ヒト」であると指摘しています。予算面、人的リソース面について、それぞれどのような課題があるのでしょうか。

※引用元:デル・テクノロジーズ社「DX動向調査 2021」P7より

投資が高コストとなり費用対効果が得られない

DX の取り組みを実施するために多額の投資を行ったものの、想定していたリターンを得られないケースは多いといえます。
原因は様々ですが、コストが高くなりやすい産業構造や投資の仕方に課題があると考えられます。
まずは以下で DX の失敗要因のうち「カネ」の部分の要因について解説していきます。

守りのDXへのICT投資の偏重

まず、いわゆる「守りのDX」に投資が偏っている点が挙げられます。
株式会社NTTデータ経営研究所が2019年に実施した調査※3によれば、企業の DX の取り組みを以下の6つに分類しています。

  1. ビジネスモデルの抜本的変革
  2. 顧客接点の抜本的改革
  3. 既存の商品・サービスの高度化や提供価値向上
  4. 業務プロセスの抜本的な改革・再設計
  5. 経営データ可視化によるスピード経営・的確な意思決定
  6. 業務処理の効率化・省力化

引用元:「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」結果速報~日本企業のDXへの取り組み実態、成功企業の特徴について~

この調査では1~3を競争力強化につながる「攻めのDX」、4~6を業務効率化につながる「守りのDX」と定義しています。

株式会社NTTデータ経営研究所「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」内画像をもとにスパイスファクトリーにて作成

このうち1の「ビジネスの抜本的変革」を実施していると回答した企業は24.7%、2「顧客接点の抜本的改革」は29.9%、3の「既存の商品・サービスの高度化や提供価値向上」で34.4%でした。
一方で「業務プロセスの抜本的な改革・再設計」では61.1%、5の「経営データ可視化によるスピード経営・的確な意思決定」は36.1%、6の「業務処理の効率化・省力化」に至っては84.0%と「守りのDX」に取り組みが偏っています。先に述べた「DXレポート2.2」でもデジタル投資の8割が既存ビジネスの維持・運営に占められていると判明していることからも日本企業は「守りのDX」に偏ったICT投資をしているといえるでしょう。
業務効率化自体はコスト低減につながり、企業の利益を増やすことが見込まれるため悪い取り組みではありませんが、顧客に新たな価値を提供して市場を拡大したり、自社のビジネス競争力を大幅に上げたりといったより大きなリターンには繋がりにくい側面もあります。
諸外国では「攻めのDX」に取り組むことで、大きな価値を生んでいる事例が多数存在しますが、日本ではまだまだです。このような DX に取り組むことで得られるリターンの大きさの違いも日本企業にとって DX施策の費用対効果が悪いといった状況を生んでいる一因といえるでしょう。

※3 参考:株式会社NTTデータ経営研究所「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」

現状の業務プロセスへのシステムの過剰適合とパッケージシステムの利用の少なさ

令和3年 情報通信白書では、日本とアメリカのソフトウェア投資の内訳の違いについても言及されており、ここにも日本の DX が高コスト構造になりやすい要因が見て取れます。

2017年時点では、ICT投資に占めるソフトウェアの比率に日本と米国で大きな違いはないが、ソフトウェアの内訳に着目すると、傾向の違いが見て取れる。
我が国のソフトウェア投資の内訳については、各種制約があることから統計上の数値は把握できないものの、ソフトウェアの供給側の統計によりパッケージ型ソフトウェアと受託開発型ソフトウェアの比率をみると、パッケージ11.7%に対し、受託開発型が88.3%となっている。
他方、米国のソフトウェア投資の内訳をみると、受託開発型(米国の統計の区分ではカスタム)が33.8%となっているものの、自社開発型の割合が最も多く、また、パッケージ型も29.0%を占める。

我が国の数値には自社開発型が含まれていないため、単純比較はできないが、第1節で取りあげたとおり、我が国のソフトウェア投資の特徴として、ユーザー企業がICT企業に対し、スクラッチやカスタマイズによる情報システム開発を委託する形態が中心となっていることが統計からもみてとれる

引用元:総務省 令和元年版情報通信白書(PDF版)

令和元年 情報通信白書をもとにスパイスファクトリーにて作成

記載の通り、日本では受託開発ベンダーによるスクラッチシステム開発が主流です。
「業務にシステムが合わせる」という思想からくるものですが、細かな業務プロセスにシステムを対応させようとすると開発のコストは膨大となり、投資対効果を下げることに繋がります。パッケージ型のシステムはスクラッチ開発に比較すると、初期費用、保守費用共に低コストな場合が多くなります。パッケージシステムの活用率が高いアメリカでは、「システムに業務を合わせる」という考えで適切にパッケージ型のソフトウェアを使っていくことで投資額を抑え、リターンを得やすい構造になっていると考えられます。
また、業務プロセスへのシステムの過剰適合はシステムの複雑化を招きます。それによりシステムのブラックボックス化が進行し、後述する ITベンダーへの過剰依存の問題へもつながります。

デジタル技術の知見やPM能力を持った人材が不足している

ここからは、「ヒト」に関する DX の失敗の要因を解説していきます。
デジタル人材の不足も多くの企業が抱える課題ではないでしょうか。DX を推進できる人材が十分にいないと、取り組みは成功しにくいといえます。
独立行政法人情報処理推進機構の発行した「IT人材白書2020」※4によれば、IT人材の量について、「大幅に不足している」と「やや不足している」という回答は合計で89.0%にも上ります。
多くの日本企業では、これまでシステム開発をITベンダーなどに外注してきました。このような企業が DX を推進するためには、デジタル技術に関する知識に加え、プロジェクトマネジメント能力も求められます。とくに DX の取り組みは関係部署や企業が複数に跨って存在するケースも多くあり、社内調整に時間や労力を要することも。プロジェクトマネジメントが難しくなりがちです。
これらの能力を兼ね備えている人材は稀有であり、企業が確保することは難しい状況といえます。

※4 参考:独立行政法人情報処理推進機構「IT人材白書2020」

②デジタル推進企業と未推進企業の行動指針の違いから見える理由

DX動向調査 2021で指摘されているのがデジタル推進企業と未推進企業での行動指針の違いです。具体的には下図の通り、デジタル推進企業には「失敗を恐れない」「会議が少ない」「高い内製力がある」「縦割り組織が弱い」「ITベンダーへの依存度が低い」「トップの指示が明確」といった特徴があると明らかとなっています。

デル・テクノロジーズ社「DX動向調査2021」をもとにスパイスファクトリーにて作成

これまで見てきた通り、日本企業の DX が上手くいっていない要因は新たな価値を生みだすことを目指したデジタル投資が少なく、経営として積極的な投資の意思決定がなされていないこと、また、 DX を推進する人材が不足していることが挙げられます。
以下では、デジタル推進企業の特徴のなかでも上記の失敗の要因に直結する「失敗を恐れない」「ITベンダーへの依存度が低い」という観点について着目して解説していきます。

※引用 デル・テクノロジーズ社「DX動向調査2021」P8より

失敗を恐れてDXがうまくいかない

日本企業においては、歴史の長い企業を中心に失敗を許容しない文化が根付いています。近年では改善傾向にあるものの、根底にある考え方を変化させることは難しいのが実際ではないでしょうか。
DX の取り組みは、必ずしも成功するとは限りません。そのために PoC を実施して成功可能性を検証しますが、PoC の失敗すら恐れてしまうケースもあります。
失敗を恐れるあまり、検討に時間をかけすぎたり、失敗しないように計画を最小限の挑戦にとどめたりしてしまいます。結果として、本質的な DX の取り組みにつながらず、上述したような現行業務の改善レベルにとどまってしまうという問題にもつながります。

ITベンダーへの過剰な依存でDXがうまくいかない

「なぜDXは失敗するのか」でも説明したように、日本のシステム開発はアメリカなどに比して業務に過剰に適合しているといえます。
この現状を別の側面から表しているのが「ITベンダーへの過剰な依存」です。

ベンダー依存が深まると施策の実行スピードが落ちる

DX の取り組みにおいてスピード感は重要です。ビジネスが高速化する中で、他社に先駆けて魅力的な製品やサービスを世に送り出すことが求められています。一方で、日本企業における DX の取り組みではスピード感が出せないケースも多々あります。
これまで IT はコストセンターとみられてきたこともあり、IT を起点とした業務改革は難しく、多くの企業では業務に合わせたシステムを構築してきました。結果としてシステムが肥大化し、少しの改修を行うだけでも影響調査やテストなどに工数と時間がかかるようになりました。
仮説を検証するまでの準備に多大な時間を要していると VUCA の時代と呼ばれる現代では外部環境や顧客ニーズはあっという間に変わってしまい、チャンスを逃がすリスクが高まります。
DX の推進においてもシステムを業務に過剰適合させてしまうケースが散見されます。IT部門と事業部門のパワーバランスもあり、簡単な解決は難しい問題ですが、作りこんだシステムは今後のビジネスにおいてはマイナスとなることは常に意識するべきです。

ベンダー依存が深まるとシステムがブラックボックス化する

また、ベンダーへの丸投げによりシステムがブラックボックス化している点も問題です。システムのブラックボックス化はベンダーロックイン(ベンダーの切り替えが難しくなること)や、既に述べた通り高コスト化につながるなどさまざまな問題の原因となります。
ベンダーに丸投げしてしまうと、自社でシステムに対する知見が持てなくなっていきます(ブラックボックス化)。その結果、契約しているベンダーが適切な仕事をしてくれているのか判断することが難しくなり、ビジネス上の成果に貢献しないシステムとなったり、システムを柔軟に発展させていくことが難しくなったりします。
自社のリソースを補うためにベンダーに外注すること自体は悪ではありませんが、ベンダーへの丸投げは避けるべきです。自社とベンダーは対等の関係であるという考えのもと、パートナーとして協働できるようにすることが重要です。

成果につながる DX 『FastDX®』とは

それでは、成果につながる DX を実現するためにはどのような考え方が必要なのでしょうか。当社では結論として、上述した DX の失敗原因を避けるために、できるだけ「開発しない・小さく作る」DX を目指すべきだと考えています。
最近では、多くの企業にとって共通的に必要となる仕組みは、SaaS などの形でサービスとして提供されるようになりました。たとえば、営業 DX やマーケティング DX を実現しようとした場合、SFA や MA などの利用が有効です。これらは SaaS の形態でさまざまな製品が提供されており、手軽に利用することができます。
また、データ活用を見据えて自社に ERP を導入するケースにおいても、すでに大企業向け・中小企業向け含めて、さまざまな製品が SaaS の形で提供されています。
このように、DX の活動を実施していくうえで必要となる仕組みの多くは、すでに存在するものが利用できます。これらを組み合わせ最大限活用することが、効率的な DX 実現につながります。

FastDXのイメージ図

スパイスファクトリーが提唱する「FastDX」のイメージ図

当社では、このように SaaS や CMS など既存の最新プラットフォームを最大限活用した開発を行うことで、素早いデジタル変革を実現する手法をFastDX® と定義しています。(FastDX® はスパイスファクトリー株式会社の商標登録です。)

FastDXのユースケース


まずは「FastDX」で具体的にはどんなことができるのか、イメージを深めていただくためにユースケースをご紹介します。

HubSpot × Shopify × LINE

Hubspot×shopify×LINEミニアプリ
たとえば、Hubspot×Shopify×LINEミニアプリによる OMO(Online Merges with Offline)実現もその一つです。
HubSpot の CRM・MA 機能から得られる顧客データや、Shopify で構築した EC や ShopifyPOS から得られる購買データ、LINEミニアプリの会員証データなどを活用します。
Shopify で構築した EC 上の顧客の購買情報を CRMツールである HubSpot と連携します。これにより、EC上での購買データや会員情報を HubSpot で管理できるようになり、そのデータに基づいて条件を決めてメール等でパーソナルなオファーをしたり、MA の機能でそれらの送信を自動化することが可能になります。
さらに、HubSpot と LINE を連携することでよりできることが広がります。メール同様のキャンペーン連絡やオファーを顧客の LINE に送ることが可能になることはもちろん、LINEミニアプリで会員証機能などを使えば、リアル店舗での購買データも HubSpot CRM に統合することができます。
リアル店舗も含めた顧客の行動データに合わせた1to1のメッセージやオファーを、LINE やメールを使って自動化するような仕組みを構築することで、OMO の実現が可能となります。

ETLツール × Data Portal・BigQuery

Big Query×Data portal
HubSpot などの CRM情報や Shopify 等で構築した ECサイトの購買データ、LINEミニアプリで取得できる顧客の行動やコミュニケーションデータは、Google Data Portal および BigQuery を利用して統合・可視化が可能です。ETLツールにより各ツールから BigQuery にデータを集約し、Data Portal でグラフ化や集計などを行って可視化します。

以上のように、FastDX では複数のツールを連携させることによって、それぞれのツールで得られる顧客の情報を統合して活用できます。さらに統合したデータを分析することで事業やプロダクトの課題を把握したり、顧客により良い体験を提供するために必要な情報を得ることが可能になります。

FastDXの効果


FastDX の実践によりどのような効果が得られるのでしょうか。上述した「主な DX の失敗原因」を踏まえて解説します。

スクラッチ開発と比較して低コスト

とくにスクラッチで開発を行う場合、システムのコストは高くなりやすいといえます。FastDX の考え方に基づき、SaaS をはじめとした既存プラットフォームを利用することで、コストを低く抑えて DX の取り組みを進めることができます。スクラッチでのシステム開発には時間と人手が必要ですが、FastDX により開発を最小化し期間を短縮することで、社内リソースが開発に拘束される期間も短くなり、プロジェクト推進に必要な業務負担も減らせます。

攻めのDXへのリソース投下

上述のように、FastDX はスクラッチ開発に比べてコストやリソースが少なく済むことが期待できます。
結果として、開発や施策の実行スピードの上昇にも寄与します。
節約できたリソースやコスト、時間は、顧客体験の向上や新たなビジネス的な価値を生みだす「攻めのDX」の取り組みに投資できるようになります。
可能な限り多くPDCAサイクルを回し、サービスアイデアや施策の検証と改善を行えるかどうかが「攻めのDX」、ひいては企業の DX そのものの成否を分けるでしょう。

人材の流動的な活用と育成

FastDX は多くの企業が抱えるIT人材の不足に対しても効果的なソリューションになり得ます。
FastDX で活用する SaaS ツールの多くはプログラミング等が不要なノーコード、または簡易な知識があれば使用可能なローコードのツールです。
システムの関係性やデータの扱い、各ツールの仕様や操作方法などの理解は必要ですが、プログラミングなどの専門知識やスキルは最小限で利用できる場合も多いでしょう。
つまり、エンジニアの関与を少なくでき、マーケターや営業担当など、ビジネスサイドの社員でもプロジェクトを推進できる余地が大きくなります。
ビジネスサイドの社員でも運用が可能となれば、プロジェクトの参画メンバーの候補は大きく広がるでしょう。
一方で、最小限とはいえ IT の専門知識に触れたり学んだりする機会も発生するため、FastDX プロジェクトを自社におけるデジタル人材の育成機会と捉えて活用することも考えられます。

失敗の影響を最小化

FastDX により、仮に取り組みに失敗したときにも影響を最小化できます。
SaaS などのツールでは月額料金など利用料の形で課金されることが一般的です。よって、スクラッチ開発と比較して初期コストが抑えられます。契約を開始すればすぐに多くの機能が使えるようになるため、取り組み実施までのスピードについてもスクラッチ開発より速くなる傾向があります。また、取り組みの中断も行いやすいというメリットも得ることができるでしょう。
上記の特徴は、仮に取り組みに失敗してしまったときの早期撤退を可能にします。初期コストを抑え、PoC 等の検証をスピーディーに行えることで、失敗のリスクを軽減できます。
リスクが小さくなることで、失敗を許容するハードルも下がります。社内における失敗を許容する文化の醸成を行いやすくすることが期待できます。

ベンダーへ依存しない取り組み

FastDX の手法により、各 SaaS プラットフォームを最大限活用することで、結果として特定のベンダーへの依存度は下がります。
基本的に、各種プラットフォームの活用にあたっては初期設定やデータ登録などの作業が中心です。機能カスタマイズも最低限に抑えることで、できるだけ開発しないようにします。
これにより、将来的なシステムのブラックボックス化やベンダーロックインを避けつつ、取り組みのスピード感向上や柔軟な対応につながります。

FastDXの実現に必要な要素


スパイスファクトリーでは、2021年より FastDX Division を設立し、FastDX の取り組みを進めてきました。この章では当社が考える FastDX でのプロジェクト成功に必要な要素をご紹介します。

アジャイル型のプロジェクト進行への理解と心構え

当社では、SaaSツールの活用だけではなくスクラッチ開発でも多数の実績があります。最初から大規模なシステムは作らずに、プロトタイプや MVP を活用してスモールに仮説の立案と検証を実施しながら進めていく「アジャイル開発」のプロジェクトを得意としており、この知見やマインドが FastDX の取り組みにも重要であると考えます。
本記事でご紹介してきたように、DX推進で成功をおさめている企業には「失敗を恐れない・許容する」文化が根底に必要です。表面的な取り組みだけではなく、実際に失敗しても、めげずに次の仮説検証に取り掛かる本質的な取り組み姿勢が求められます。
そのため当社では、クライアントと伴走してプロジェクトを進めることで、アジャイルな価値観やプロジェクト運営の方法をクライアント企業様にインストールすることも重視しています。

最新のプラットフォームに精通

当然ではありますが、FastDX 実現のために使用する最新のプラットフォームに精通していることも重要です。実現したいことや、仮説の実証に必要な最適なツールの選択肢を考える必要があります。
各種プラットフォームの導入にあたっては、業務やビジネスに最大限活用できるように、各サービスの特徴や効果的な使い方をおさえましょう。SaaSツールは日々アップデートされていきますので、これまでできなかったことが機能追加で急にできるようになったり、設定が容易になったりといったことも多く発生します。また、FastDX の実現には使用するツール同士を連携させる必要があることも頻発します。既存機能として他ツールとの連携が容易になっている製品もありますが、そうでない場合は API による連携をする必要があり、API 連携を構築できる人材がいることも重要です。
社内に使用する各ツールや連携に詳しい人がいれば問題ないですが、すでに述べているように IT 人材の不足は多くの企業が抱える課題です。社内にいない場合はツールの運営元から最新の情報を得たり、当社のような複数のツールに精通している企業のサポートを受けることで、短期的にカバーをし、中期的に人材を育成し、社内に知見を貯めていくのも一つの方法です。

UI/UX・マーケティングなどIT以外の観点

FastDX がいかに有用であったとしても、ツールや仕組みを導入しただけでは DX が上手くいかないことはみなさんも同意いただけるのではないでしょうか。ビジネスの成功の鍵を握るのは、ITスキルやツールの理解だけではないからです。
そもそも、提供しようとしているサービスや商品が顧客にとって魅力的でなくてはどんなシステムも宝の持ち腐れです。
顧客が本当に価値を感じるものを検証するには UX(User Experience)リサーチやマーケティングリサーチのノウハウがあると優位ですし、実際に魅力を感じてもらうにはデザインやブランディングなどの要素も大きな影響を与えます。
MA や CRM を適切に使って価値を顧客に伝えるためには、マーケティングや営業の知見も必要です。

  • 「失敗を恐れない」アジャイルなメンタリティ
  • ITツールに関する知見やスキル
  • ビジネスや顧客に対する解像度の高さ

上記が DX プロジェクトの成功には必要な要素だと考えています。

DXの失敗要因を理解して成功確率を上げる選択をしよう

今回は、DX が失敗する原因を踏まえつつ、それらを解消することができる FastDX という考え方を紹介しました。DX の取り組みを開始したものの、うまく成果につながらず失敗してしまった企業は多いのではないでしょうか。一方で、DX の実現は急務であり、今後もその重要性は変わりません。次こそ DX に成功したいと考えている企業において、FastDX は有効な選択肢であると自負しています。

FastDX による DX について、もう少し詳しく知りたい場合は無料で相談を受け付けております。DX の推進に悩まれている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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