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オフショア開発とは?簡単にわかるメリットや最新の市場動向

オフショア開発とは?簡単にわかるメリットや最新の市場動向

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海外にシステム開発を委託するオフショア開発に注目が集まっています。かつてオフショア開発はコスト削減を主目的に行われましたが、最近は事情が少し変わっています。
この記事ではオフショア開発の基本的なメリットや課題、日本における最新の市場動向を解説します。
当社、スパイスファクトリーでもオフショア開発を提供しています。オフショア開発に関するお悩みがある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

オフショア開発とは


オフショア開発とは、システムの開発業務における一部もしくは全部の工程を海外の業者に対して委託することを意味します。
正式名称はオフショアリング開発(Offshoring Development)であり、Offshoringは「海外移転」を意味する英単語です。
かつて、オフショア開発は人件費の安い国に発注できる「価格面」と国外に人材を拡張できる「リソース確保面」がメリットと認識されてきました。
今もそのメリットが失われているわけではありませんが、近年においては内外価格差が減少していることもあり、少し違った視点を持つ必要があります。以下で詳しく紹介していきます。

オフショア開発のメリット・デメリット


近年の市場・経済環境を踏まえると、オフショア開発のメリット・デメリットはどのような点にあるのでしょうか。

オフショア開発のメリット

コスト

オフショア開発について聞いたことのある方は、コストメリットのイメージが強いのではないでしょうか。
実際に、Resorz社が公表している『オフショア開発白書(2022年版)』※によれば、オフショア開発を採用することで平均28.4%のコストダウンにつながるという結果が明らかとなっています。
しかしながら、近年ではオフショア開発の拠点として検討されることの多い中国や東南アジアなど他国の経済発展も進んでおり、人件費も上昇しています。
また、高い技術力を持ったオフショア人材を大手 IT企業が高給で囲い込むなど、人材獲得難易度も向上しています。このような背景から、オフショア開発によるコストメリットは縮小傾向にあるといえます。

出典:『オフショア開発白書(2022年版)』(オフショア開発. com)

技術力

近年、インドや中国、東南アジアなどの技術者のレベルは大きく上がっています。
たとえば、Google社の現CEO ピチャイ氏はインド出身です。場合によっては日本のエンジニア以上の技術力を活用できると考えてよい状況です。
オフショア開発のコストメリットが縮小する一方で、このような技術力のメリットが意識されつつあります。

リソースの確保

日本は IT人材不足の状況が続いています。独立行政法人情報処理推進機構の発行した「IT人材白書2020(※1)」によれば、89%の企業がIT人材の量について「大幅に不足している」と「やや不足している」と回答しています。
また、日本国内エンジニアの採用にかかる年間コストは574万円であり、他業種も含めた平均484万円(※2)を大きく上回っています。労働人口も減っていく日本国内で IT人材のリソースを確保する難易度は上がっているといえるでしょう。
不足するリソースを補う観点で、オフショア開発は大きなメリットをもたらすと考えられます。

※1 参考:独立行政法人情報処理推進機構「IT人材白書2020」

※2 参考:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2022年版」

スピードの担保

リソース不足は開発スケジュールに影響します。もちろん人材が多ければ開発が早く進むわけではありませんが、そもそもリソースが不足している状況では開発できる規模にも制約がかかります。
現代は Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの影響が大きいとされる「VUCA」の時代といわれています。
新型コロナウイルスの蔓延や大きな災害、AI をはじめとする急速な技術の進歩など、これまでの常識では予想できないような出来事に対して素早く対応し、ビジネスのあり方を適切に変革させる必要があります。
変化に対応する際に、素早く対応できるリソースが確保できることは大きなメリットとなるでしょう。

グローバル展開を優位に

海外向けサービス開発においては、文化的親和性などの観点からオフショア開発のメリットを発揮できる場合があります。
たとえばベトナム市場をターゲットとしたサービスをベトナム人が開発するのであれば、日本人では気づかない文化的な差異などに柔軟に対応できることは容易に想像できるでしょう。
また、ベトナムに次いでオフショア拠点として人気のフィリピンは、アジアで数少ない英語公用語国です。
欧米圏からの情報やカルチャーの影響が色濃いため、日本より欧米圏文化に精通している点に優位性があります。フィリピンでのオフショア開発は欧米圏をターゲットとするようなプロダクトの開発にメリットを発揮するでしょう。
将来的にアジア・欧米市場などのグローバル展開を想定したサービスにとって、オフショア開発は相性が良いと考えられます。

オフショア開発のデメリット・課題

一方で、オフショア開発のデメリットや課題はどのような点にあるのでしょうか。
先に紹介したオフショア開発白書では、オフショア開発企業の課題として「品質管理」と「コミュニケーション力」が挙げられています。
自社で直接オフショア開発拠点を管理しない場合であっても、システム開発の委託先が直面する課題についてどんな対応をしているか押さえておくことは重要です。

品質管理が難しい

オフショア開発では言語、文化、地理的な違いから品質管理・プロジェクト管理にコストがかかりやすいといえます。
日本語・英語・現地語など、使用する言語にもよりますが、細かなニュアンスの違いで想定していた仕様との齟齬が発生しやすくなります。
また、日本では曖昧な仕様や業務範囲であっても比較的柔軟に対応できますが、海外は「決められていないことはやらない」というスタンスが一般的です。
加えて、そもそも物理的な距離があることから対面でのやり取りが難しく、コミュニケーションが取りにくいという点も挙げられます。
時差によって突発的なトラブル発生時の対応ができなかったり、昼夜逆転によりタスクマネジメントが難しかったりといった点にも注意しなければなりません。

コミュニケーション課題が発生しやすい

品質管理についてでも触れたとおり、コミュニケーションの課題はオフショア開発において留意しなければならない点です。
先述した言語・文化・地理などの違いからコミュニケーションにすれ違いが起こりやすく、注意しなければなりません。
日本以上に仕事に対してはドライな価値観の国は多く、無理を言って残業を依頼するとすぐに辞められてしまう、といったことも多発します。
オフショア開発のメリットを知ってどんな会社に依頼すべきか気になった方は以下の記事もどうぞ!
参考記事:オフショア開発会社の選び方とは?確認すべきポイントを解説

オフショア開発のよくある失敗については以下の記事で詳しく解説しています!あわせてご参照ください!
オフショア開発は失敗しやすい?よくある失敗パターンの原因と対策を解説

オフショア開発の市場動向

オフショア開発の主要な拠点国

上述した『オフショア開発白書(2022年版)』によれば、オフショア開発委託検討先割合の上位3か国はベトナム(48%)、フィリピン(19%)、インド(12%)となっています。
ここでは、これら各国の国民性や技術力など各国の特徴や動向を解説していきます。

ベトナム

ベトナムは近年注目されているオフショア開発拠点です。
国家的に IT人材の育成に力を入れおり、高度なスキルを持つ人材が豊富に存在します。
IT コミュニケーター(Information Technology Communicator)やブリッジSE の職種に人気があり、比較的コミュニケーションがとりやすいため、多くの企業がベトナムをオフショア開発先に採用しています。

フィリピン

フィリピンは近年シェアを拡大しつつあるオフショア開発拠点です。
公用語が英語であることからコミュニケーションがとりやすいというメリットがあります。
また、価格についても成長が著しい東南アジア各国で人件費が高騰している中、比較的落ち着きを見せています。
日本とフィリピンの時差は1時間であり、時差の影響を受けづらいこともメリットでしょう。加えて、物理的な距離としても飛行機で4時間ほどで現地に行けるという点も魅力です。

フィリピンでのオフショア開発については以下の記事で詳細を解説していますので合わせてご参照ください。
参考記事:フィリピンのオフショア開発の特徴を紹介|メリット・デメリットを解説します

インド

インドも同様にシェアを拡大しているオフショア開発拠点です。
フィリピンと同様英語力が高い点がメリットです。
高度な IT人材は多く存在するものの、ベトナムやフィリピンと比較すると高単価です。
欧米の市場へ向けたビジネスをしている企業が多く、欧米からの需要が拡大しているため価格も高騰している状況にあります。

オフショア開発が利用される案件

あくまで傾向ではありますが、同じオフショア開発であっても国によって得意とする案件にも違いが見られます。

ベトナムの案件

以前は下流工程の下請けという役割が多かったベトナムですが、オフショア開発の増加によりノウハウ獲得が進み、より AI やブロックチェーン、基幹システムの開発などより高度な案件も受注するようになっています。

フィリピンの案件

比較的オフショア開発の歴史が浅いことから、対応できる案件の幅が限られがちです。
大型案件の委託は難しい場合も多く、コーディングやアプリ開発、BPO業務といった案件に向いています。
上流過程よりは開発やテストをメインとした委託が得意といえるでしょう。

インドの案件

技術力の高さから、ERP 導入など基幹システムの構築にも対応しやすいといえます。
比較的コストが高いことから、技術力が求められる案件において採用されやすい国といえます。

オフショア開発における一般的な予算

以下では、『オフショア開発白書(2022年版)』を参考に各国の価格相場を紹介します。
なお、以下で紹介する単価はあくまで平均値であり、案件規模・内容によってコストは変わることにご留意ください。

ベトナムの価格相場

ベトナムの価格相場は以下のとおりです。
前年に比べて単価が減少に転じましたが、これはホーチミンやハノイなどの主要都市に加えて、近年はダナンやフエといった新興都市が台頭しており、割安な単価で利用できるようになった点が影響しています。

  • プログラマー31.73万円(昨年度比96.7%)
  • シニアエンジニア39.88万円(昨年度比92.8%)
  • ブリッジSE 51.34万円(昨年比105.6%)
  • PM(プロジェクトマネージャー)57.94万円(昨年比92.5%)

フィリピンの価格相場

注目度が上がっているフィリピンでは、全体的に単価が向上する傾向がみられます。

  • プログラマー 36.25万円(昨年度比106.9%)
  • シニアエンジニア 49.63万円(昨年度比103.7%)
  • ブリッジSE 71.07万円(106.6%)
  • PM 65.83万円(89%)

インドの価格相場

欧米からの需要拡大を受け、インドでも単価の上昇傾向がみられます。

  • プログラマー 34.72万円(昨年度比104.1%)
  • シニアエンジニア 51.56万円(昨年度比107.8%)
  • ブリッジSE 67.97万円(123.8%)
  • PM 83.90万円(108.9%)

※参考記事:ブリッジSEとは?オフショア開発での役割と必要性、注意点も解説

オフショア開発のサービス形態

以下では、一般的にオフショア開発に開発を依頼する場合のサービス形態について紹介します。

請負型開発

請負契約により、定義した要件に基づき、期日までに成果物を完成・納品する方式です。
あらかじめ契約で決められたこと以上のことは基本的に受け付けないため、要件の追加や仕様変更を行う場合は、変更契約により予算・スケジュールの変更が必要となります。

ラボ型開発

準委任契約により社外に開発チームを作り、一定期間人材リソースを確保して開発業務を行う方法です。
一般的には単価に応じて人数と期間により費用が決定します。
契約した時間内であればプロジェクトの進捗状況に応じて柔軟に開発内容を変更することも可能ですが、準委任契約の特性上、委託先にシステムの完成責任がないというリスクを意識しなければなりません。
以下の記事で詳細な解説をしておりますのでよろしければご参照ください。
ラボ型オフショア開発とは?メリットや請負型との違いも説明

タイムチャージ型というサービスも

当社、スパイスファクトリーでは、タイムチャージ型というサービスを提供しています。
ラボ型同様に準委任契約で業務を受託しますが、「人数 × 期間」ではなく時間単位での契約が可能な点が特徴です。
契約された時間内でエンジニアやブリッジSE の他、プロジェクトの進捗に応じてデザイナーやマーケターなどを柔軟にアサインします。
タイムチャージ型はラボ型をより柔軟にしたサービスといえます。
詳細な特徴の解説はこちらからご覧ください。

スパイスファクトリーのタイムチャージ型オフショア開発について、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

日本でオフショア開発は重要な選択肢になりつつある


この記事では、オフショア開発の市場動向やメリット、主な委託先の特徴などについて紹介しました。
日本において、IT人材不足は深刻な状況にあります。中堅・大企業においてもリソースの逼迫や単価高騰が進行しています。
オフショア開発は従来のコスト削減目的だけでなく、リソース確保の選択肢としても重要となってきており、英語圏での開発によりグローバル展開を目指す企業にとってもメリットがあるなど、ニーズが多様化していることもお伝えしてきました。
スパイスファクトリーではフィリピンにオフショア開発拠点を設け、国外のリソースも活用したアジャイル開発を展開しています。
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