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ラボ型オフショア開発とは?メリットや請負型との違いも説明

ラボ型オフショア開発とは?メリットや請負型との違いも説明

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海外拠点へ開発業務をアウトソースするオフショア開発。コストメリット以外にも、国内で不足しているエンジニアなどのリソースを確保する手段として注目されています。
オフショア開発には、契約形態に応じてラボ型と請負型の2種類のサービス形態があることをご存知でしょうか?
オフショア開発を提供する企業に委託する場合には、各契約形態の特徴を理解したうえでどのような契約形態とするかを踏まえて依頼する必要があります。

この記事ではオフショア開発の代表的な契約形態であるラボ型と請負型の違いを解説しつつ、当社が提供する第三の選択肢もご紹介いたします。

Contents

ラボ型・請負型は契約形態の違い


オフショア開発のサービス形態は、その契約形態の違いからラボ型・請負型の2種類が存在します。この章では 2つの違いについて紹介します。
まずはオフショア開発について知りたいという方は以下の記事をご参照ください。
オフショア開発とは?簡単にわかるメリットや最新の市場動向

ラボ型開発とは

準委任契約によるオフショア開発をラボ型開発と呼ぶことがあります。
準委任契約は取り決めた作業時間・拘束時間に対して報酬を払う契約であり、システムの完成責任や契約不適合責任としてバグ等の修正責任もありません。
その代わりに善管注意義務としてプロフェッショナルとして責任を持った対応が求められます。
ラボ型開発(準委任契約)の場合、稼働人数×契約期間に対して対価を支払うことが一般的です。

請負型開発とは

請負型開発は請負契約によるサービスです。
システム開発の請負契約では、開発するシステムの内容を契約で定めます。
受託者は、契約で定められたシステムを成果物として完成することに責任を負います。受託者にはシステムの完成責任や契約不適合責任がありますが、機能追加など契約で定められていない内容に対応する必要はありません。
請負型(請負契約)の場合、成果物の開発ボリュームによって事前に見積を行い、対価を決定することが一般的です。

続いて、各契約形態の特徴から発生するメリット・デメリットを解説します。

ラボ型開発・請負型開発のメリット・デメリット

ラボ型開発のメリット

まずは、ラボ型開発のメリット・デメリットです。

仕様の変更に柔軟に対応できる

準委任契約であるラボ型開発は、仕様変更に柔軟に対応できることがメリットです。
契約中に仕様変更や追加の要件が発生した場合でも、契約しているリソースの範囲であれば対応可能です。

優秀なエンジニアを長期間確保しやすい

ラボ型開発では、特定のエンジニアを自社の戦力として活用できます。
採用や育成のプロセスも必要なく、契約開始時から優秀なエンジニアのアサインが可能です。オフショア拠点として人気の東南アジア諸国のエンジニアは日本に比べ IT技術力が高いといわれており、優秀なエンジニアのリソース活用が期待できます。

ノウハウの蓄積と効率化が期待できる

比較的中長期で契約する場合、エンジニアからノウハウを獲得できる点もメリットです。
仕事の進め方やシステムに関する知見と経験が蓄積されることで、更なる品質向上や効率化が期待できます。
また、エンジニアに自社サービスやシステムの知見が貯まっていく点も同様にメリットとなります。ただし、属人化のリスクには注意が必要です。

ラボ型のデメリット

委託先への指揮命令権やメンバーの選任権はない

準委任契約で行うラボ型開発においては、発注者側に指揮命令権はありません。
万一、仕事場所や残業や休日出勤の指示などをした場合には、偽装請負に該当しますので注意が必要です。
業務委託契約で定義できるのは、あくまで業務の内容のみです。具体的な進め方については、委託先に任せる必要があります。
また、発注者側で特定のエンジニアの継続を指示することも NG です。プロジェクトに参加するメンバーの選定は受注側で行うものとなりますので、急な退職やメンバー変更の可能性は考慮が必要です。(あくまで要望として伝えることは可能です)

一定量の発注がない場合コストパフォーマンスが低くなる

プロジェクトが早期に終了した場合など、仕事はなくなっても拘束時間に対してはコストが発生します。よって、見積段階で業務内容と実施時間のバランスが取れているかを確認するとよいでしょう。

チームの立ち上げコストがかかる

ラボ型は契約するメンバーに対して、発注する側の企業がマネジメントを行う必要があります。
日本人同士のチームでも、業務が軌道に乗るまでは試行錯誤やルールの策定・見直しが必要でしょう。
言語や文化の違いでコミュニケーション齟齬が出やすいオフショア開発であればなおさらです。チームを育てる必要があるのは日本と同様。むしろそれ以上の手間がかかることは覚悟しておくべきでしょう。

人材の見極めが必要

自社の開発にマッチしたスキルを持っている人材をチームに加えてもらう必要があります。
契約の際に必要とするスキルのレベル感をしっかりと提示する必要があります。
要件を曖昧なまま契約が開始されてしまい、アサインされたメンバーが必要なスキルレベルに達していないという状況は避けたいはずです。
スキル面だけでなく、性格の面でもミスマッチが起こりがちです。円滑なチーム運営のためには依頼者側も現地メンバーの希望や文化の違いに一定の配慮が必要でしょう。

ラボ型に向いている案件

アジャイル開発案件

小規模な開発・テストを繰り返し行うような、いわゆるアジャイル型開発はラボ型とは相性が良いといえます。
※アジャイル開発については以下の記事にて詳しく解説しております。
アジャイル開発とは? – システム開発を発注する時に知っておきたい開発手法の話

請負型と異なり明確な仕様に基づき業務を発注しないため、作業途中の変更や改修においても契約の変更を行う必要がありません。そのため、スピード感のある開発が可能です。
参考記事:アジャイル開発 × オフショア開発の有効性 事例を通じて成功のためのポイントを解説!

運用保守や継続・拡張開発など中長期の開発案件

委託先との調整が必要となりますが、ラボ型開発では中長期でリソースを確保することも可能です。
中長期でのリソース確保により、チームが軌道に乗れば業務の効率化やノウハウの蓄積が期待できます。
既存のプロダクトの運用保守や追加開発をラボ型チームに任せつつ、国内の別チームが新規サービスの開発に専念するといった活用方法も考えられるでしょう。

請負型のメリット

一方で、請負型にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

成果物の品質が安定している

請負型では発注された仕様・要件に基づき開発し、契約時に定めた納期までに成果物を納品する必要があります。
上述した契約不適合責任があるため、原則として「不適合を知った時から1年」以内であれば委託先はシステムを修正しなければなりません※。
よって、委託側が契約書で定義した内容の成果物が納品されるというメリットがあります。

※ただし、契約不適合責任は契約にて内容を変更することが認められており、契約書上の定めが優先されます。

開発費用が事前に確定する

請負契約においては、開発内容とともに費用も定めます。
別途機能を追加するなど、仕様の変更をしなければシステム開発の費用が事前に確定するため、予算管理のしやすさなどについては企業にとってメリットとなり得ます。

請負型のデメリット

仕様変更が困難

請負型では基本的にウォーターフォール開発を採用することになります。
事前に要件定義フェーズとしてサービス開発範囲を定義してから、設計・実装・テスト・納品を進めるフローとなり、前の工程に戻る想定はされていません。
仕様の変更や修正には追加費用がかかる可能性もあり、また開発スケジュールによってはそもそも仕様変更が NG となるケースもあります。

開発ノウハウが蓄積されにくい

請負契約においては、委託先のプロジェクトマネージャーが業務を統括して開発を進めていきます。よって、要件定義で必要な要件のすり合わせが済んだ後は、開発の実務などに委託元企業が関与することは少なくなります。
委託元の企業に開発のノウハウは蓄積されにくいといえるでしょう。

請負型に向いている案件

要件が明確な場合

開発するシステムや成果物の要件が明確である場合、完成に向けて最短ルートで開発を行える請負型が向いています。
必要な機能が明確であれば、手戻りなく低コストでスピード感のある開発ができます。

予算に制約がある案件

予算に上限がある場合は、基本的に開発できる工数に制約が生じます。
少なくとも、請負契約であれば一定の費用で仕様に基づくシステムが開発できることは確定します。
準委任契約では必ずしも製品の完成を約束していないため、仕様の変更や進め方によっては完成までに費用がかさんでしまうこともあります。
ただし、請負契約において約束されるのは、あくまで事前に定めた仕様に基づいたシステムが開発されるというところまでです。
実際に業務適用できるのかや、環境変化による対応などは約束されません。

以下では、ここまでご紹介した内容を表形式でまとめています。
ラボ型と請負型の違いの表

ラボ型契約が増えている背景


『オフショア開発白書2022※』によれば、2021年では 32% であったラボ型開発は 2022年の調査では 55% になり、増加しています。
このような状況の背景には、オフショア開発に求められているニーズの変化があると考えられます。
従来のオフショア開発はコストダウンを主目的とすることが多く、プロジェクトベースで行われる案件において請負型で利用させることが多かったといえます。
一方で、近年は国内の深刻な IT人材不足の状況から継続したリソース確保のニーズが高まってきており、ラボ型の活用増加につながっています。
また、開発後の運用保守・追加開発に対してもオフショア利用を検討している企業が増えていることもラボ型の増加要因のひとつでしょう。
今後も日本国内のデジタル人材の不足は続くと思われます。コストだけではなく、安定した開発リソースの確保のためのラボ型でのオフショア開発需要は伸びていくと考えられます。
※参考:株式会社Resorz『オフショア開発白書2022』

オフショア開発第3の選択肢「タイムチャージ型」


当社、スパイスファクトリーでもオフショア開発を提供しています。
当社では本記事でご紹介したラボ型でも請負型でもない「タイムチャージ型」というシステムを採用しています。
タイムチャージ型オフショア開発とは、ラボ型同様の準委任契約をベースに、ラボ型のデメリットだった「一定量の発注をし続けないと費用対効果が悪化する」といった点を解決する柔軟性を持たせたサービスです。
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タイムチャージ型オフショア開発のメリット・デメリット


以下では、タイムチャージ型のメリット・デメリットを紹介します。

タイムチャージ型オフショア開発のメリット

最短1ヶ月単位での契約

タイムチャージ型の契約では最短で 1ヶ月から契約可能です。
一度契約が開始されたら、中長期で一定規模以上の発注をし続けないと採算が取れなくなってしまうラボ型と異なり、プロダクトやサービスのフェーズに応じて柔軟な契約を結ぶことができます。
たとえば、PoC などの検証フェーズにおけるスモールスタートにも活用しやすい仕組みです。
もちろん長期契約もできますので、検証後の本格的な開発フェーズでは一気に契約時間を拡大して、本格リリースに向けた開発をするといった対応も可能です。

契約した時間の中でエンジニア以外のメンバーも柔軟にアサインできる

成功するシステムやサービスの開発に必要なのはエンジニアだけではありません。
UX を意識した画面デザイン、顧客の共感を生むためのブランディング、サービスのローンチ後にユーザーの集客や定着率を上げるためのマーケティングなどさまざまなスキルが求められます。
当社のタイムチャージ型サービスでは海外拠点での開発リソース確保に加えて、上記のようなさまざまな領域に専門性を持つ当社の日本メンバーをアサインすることもできます。
たとえば、サイト制作プロジェクトの初期では、サイトのコンセプト検討や提供価値の最大化のため、UX や UIなどデザイナーのスキルが必要となります。
企画フェーズではデザイナーに多めに工数を分配し、開発フェーズではオフショアエンジニアをメインに工数を分配できます。これにより、コストメリットと品質の両面を担保できます。
とくにオフショア開発企業はデザイン面を苦手としていることも多いため、ハイブリッドな体制構築によりデザイン面の価値も高めることができます。

品質担保の体制

従来のラボ型では、言語や文化の違いから成果物の品質管理などに課題がありました。
そのような課題に対応するため、当社ではお客さまと日本語でのコミュニケーションが可能なブリッジエンジニアをプロジェクトに参加させます。
また、社内QAエンジニアによる「機能レベルの外部品質担保」とブリッジエンジニア/エンジニアリングマネージャーの 2重レビューによる「コードレベルの内部品質担保」により、品質向上を目指しています。

タイムチャージ型オフショア開発のデメリット

アサインメンバーが完全固定ではない

当社が提供するタイムチャージ型では、一般的なラボ型とは異なり「人数 × 期間」で長期の固定のリソースを確保しません。よって、参画メンバーのリソースは専属で確保されるわけではありません。

品質担保のためブリッジSEのアサインが必須

品質担保のために、当社ではブリッジSE や QAエンジニアの参画を必須としています。
ラボ型のサービスを提供する企業の中にはこれらを必須としないケースもありますが、当社では契約のリソースの中で最大の成果を出すためにブリッジSE や QAエンジニアは必須だと考えています。
そのため、とくに短期間のプロジェクトなどでは一般的なラボ型開発よりはコストが高くなる可能性があります。

成果物の完成が担保されない

ラボ型と同様に準委任契約であるため、仕様の変更や追加にも柔軟に対応できる一方で、成果物の完成については保証されません。
仕様の変更や方針転換があれば、必要な工数が増えてコストの増加に繋がってしまったり、完成までのスケジュールが想定より遅れてしまったりすることが考えられます。

タイムチャージ型オフショア開発に向いている案件

新規事業のサービスやプロダクト

タイムチャージ型は、アジャイル開発のような短い期間で機能開発を繰り返し、顧客の反応を見て方針を検討する必要があるような案件が向いています。
ラボ型とは異なりスモールスタートができることから、新規事業開発における PoC や、MVP構築などにも対応しやすいといえます。

デザインが重視されるサイト・プロダクト

タイムチャージ型は UX や UI などデザインが重視されるサービスやプロダクトとの相性が良いです。
請負型・ラボ型でもデザイナーとの連携は可能ですが、オフショア企業とは別の企業との契約が必要となるケースも多く、自社内や業務委託のデザイナーとの連携が必要となります。
コミュニケーションコストがかかるオフショアプロジェクトにおいて、自社デザイナーも含めた連携体制・品質管理体制が組めていることは、当社の大きなアドバンテージです。

以下では、上述したラボ型・請負型の比較に、タイムチャージ型も加えてそれぞれのメリット・デメリット・向いている案件を比較します。

タイムチャージ型で効率的な開発

この記事では、オフショア開発の代表的な契約形態であるラボ型と請負型の違いを解説しつつ、当社が提供するタイムチャージ型という第三の選択肢についてもご紹介しました。
エンジニアリングだけではなくデザイン面も含めて柔軟な対応ができるタイムチャージ型でのオフショア開発にはさまざまなメリットがあります。オフショア開発を検討されている方は、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
タイムチャージ型についてより詳細な内容を知りたい場合は、当社までお問い合わせください。

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