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ダイナミックプライシングの活用事例、メリット・デメリット、導入方法について

Posted by ShintoTatsuo | |システム開発,Shopify
ダイナミックプライシングの活用事例、メリット・デメリット、導入方法について

最新テクノロジー、UIUX、アート、マーケティングなどあらゆる技術・メソッドを用いてクライアント企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しているスパイスファクトリー株式会社です。
詳しいサービスに関してはアジャイル開発に関するページをご覧ください。

こちらの記事では、活用事例、メリット・デメリット、導入方法についてをお伝えしていきます。

執筆協力:ダイナミックプライシング 研究組織「マテマ」http://mathema-tech.com/

ダイナミックプライシングとは

ダイナミックプライシングとは、よく売れる商品の価格を上げ、あまり売れない商品の価格を下げることで、売上を最大化することを指します。
価格はAIによって自動的に調整されるため、人が価格を決めるよりも正確で、労力もかかりません。
売上を最大化するだけでなく、在庫量や生産のリードタイムに合わせて、販売スピードを調節し、目標期日に完売するといったことも可能です。

導入事例から見るダイナミックプライシングの注目理由

今、ダイナミックプライシングが注目される理由は何でしょうか。
導入事例から考えていきましょう。

OYO

ダイナミックプライシングの成功事例としては、ホテル予約サービスのOYOや民泊サービスのAirbnbが有名です。
特にOYOのプライシングは洗練されており、RevPAR(revenue per available room:一室あたりの売上)を最大化するため、一時間あたり14万件という大規模なデータを元に、全世界の宿泊料金を一日に6000万件変更することが可能になっています。
これにより、適正価格を提示してユーザの心を掴むことにつながり、創業から6年で客室数世界第2位の企業へと成長しました。

Amazon

また、最も身近にダイナミックプライシングを体験できる事例はAmazonでしょう。
多くの人が商品購入のページに価格変動のグラフが表示されているのを目にしたことがあると思います。Amazonはダイナミックプライシングを導入後、2013年には1日に250万回以上価格調整を行うことで、売り上げを前年比27.2%伸ばすことに成功しています。

このように、ダイナミックプライシングは適切に導入されれば、企業の成長を強力に促すパワーを持っています。
さらに、ECの普及によって商品の販売情報が蓄積され、ダイナミックプライシングに必要なデータが手に入りやすくなったことも導入を推し進める理由の一つとなっています。
特に、AmazonやアリババといったECプラットフォーム上では日々膨大なデータが収集されており、精度の高いプライシングを可能にしています。

ダイナミックプライシングに向いているケース

ではダイナミックプライシングはどのようなビジネスにも適用できる万能のツールなのでしょうか。

実は業種や取り扱う商品によって向き・不向きがあります。

 

賞味期限のある商品を取り扱う場合

ダイナミックプライシングが最もうまく働くのは、「賞味期限のある商品」です。
例えば人気のライブやスポーツ観戦のチケットは、イベント日に近づくほど入手が困難になり、値段が高騰します。
しかし、イベント日を過ぎると価値が無くなってしまい、転売しようとしても買いたいと思う人は誰もいないでしょう。
飛行機のチケットも同様に、フライト時刻を過ぎると価値が無くなってしまいます。

また、ホテルの部屋は予約の際に宿泊日を指定する必要があります。
このため同じ部屋でも宿泊日ごとに別のお客様に販売できる別の商品であると考えられます。
そしてやはり宿泊日を超えると予約の価値は無くなってしまいます。

また、毎年の流行に影響を受けるアパレル業界も同様です。
流行に敏感な顧客は代わり映えのしない品揃えには興味を持たないため、常に新しい商品に入れ替える必要があります。
そのため、商品には販売可能なシーズンがあり、シーズンを過ぎると価値が激減してしまいます。
このように、「ある期限を超えると価値がゼロになる商品」は、共通して「価値が時間とともに変化する」という性質があるため、価格を動的に変更するダイナミックプライシングに向いています。

このような期限付き商品を扱う業種としては、以下が例として挙げられます。

  • 飛行機チケット
  • イベントチケット
  • ホテル
  • レンタカー
  • 季節のあるフルーツ

魚や野菜などの生鮮食品もまさに賞味期限のある商品なので、ダイナミックプライシング向きではありますが、期限が時間単位と短いため、技術的にはより難易度が高いでしょう。

商品のオリジナリティ/希少性が高い場合

また、「商品のオリジナリティ/希少性」も重要です。
例えばどこでも売っているようなボールペンをAmazonで販売する際、他の店が100円で販売しているのに、自分の店だけ200円で販売しても買ってもらうのは難しいでしょう。このような、どこにでも売っている商品(コモディティといいます)は市場価格が明確で、ダイナミックプライシングを適用する余地がありません。
ですがもし、ボールペンに流行りのアニメ柄がついており、他の店で取り扱いが無い場合は、150円に価格を設定しても売れるかもしれません。極端な例ですと、世界に一つしかない名画には市場価格が存在しないため、プライシング技術は必要不可欠です。

このような希少性のある商品を扱う業種としては、以下の例が挙げられます。

    • 中古販売市場
    • 不動産
    • 美術品/骨董品

ダイナミックプライシングに不向きなケース

では次に、ダイナミックプライシングに不向き、失敗に繋がりやすいケースを見てみましょう。

商品の価値変動が起き辛い場合

これは先程のうまく行くケースの裏返しです。

価値が安定していて、時間が経っても変わらないような商品はあまりダイナミックプライシング向きではありません。
例えば昔から変わらない値段で売られているカップラーメンの価格がある日突然倍になったら、顧客から反感を買うでしょう。
最悪、ブランドイメージを損ね、企業の業績悪化にもつながりかねません。価格を変更するには、「価値が一定ではない」と顧客が納得するための根拠が必要です。
飛行機のチケットやホテルであれば、ある程度の価格変化は受け入れてもらえるでしょう。

把握しておきたいダイナミックプライシングのデメリット

また、Amazonではすでに当たり前になっているダイナミックプライシングですが、場合によってはデメリットもあります。

多くの人はAmazonで欲しい物を買う時、できるだけ安い物を探すはずです。
売る側もそれを知っているので、競合店の価格を調査し、できるだけそれより安い価格にしようと努力します。
しかしもし、全ての店舗が競って最安値をつけようとすれば、結果として価格は0円に収束してしまい、商売が成り立ちません。
ダイナミックプライシングは単純に競合価格を基準にするのではなく、「いくらにしたらどれくらいの人が買ってくれるか」という顧客の需要データを基準にして価格を決めなくてはなりません。

しかし、Amazonのような競合がひしめき合ってダイナミックプライシングを使っているプラットフォームでは、価格競争に巻き込まれて失敗する可能性があるでしょう。Amazonに価格競争で勝つ、という考えはあまり現実的ではありません。
価格競争を避けるには、商品にオリジナリティが必要です。

顧客の需要データが少ない場合

また、今説明したように、ダイナミックプライシングで最適価格を計算するためには顧客の需要データが必要です。
しかし、ECサイトを立ち上げたばかりの新しい店舗の場合、販売データが蓄積されておらず、ダイナミックプライシングをすぐには開始できません。

更にいうと、販売数は価格によって変わります。同じ商品なら価格が高いときよりも安いときほうが多くの人が買うからです。
つまり、ダイナミックプライシングを行うためには、いろいろ価格を変化させたときの販売数データを収集する必要があります。
データの収集には時間がかかるため、データが少ない導入初期にはダイナミックプライシングがうまく機能しない可能性があります。

このように、ダイナミックプライシングにも弱点はあり、必ずしもうまく行くとは限りません。
しかし後ほど説明するように、新しい技術によってこれらの問題を解決することも可能です。

ダイナミックプライシングの導入方法

これまで述べたように、ダイナミックプライシングを導入することで、ビジネスを大幅に改善/成長できる可能性があります。
幸い、いくつかのECプラットフォームは既にダイナミックプライシング機能を提供しているので、自分でシステムを一から開発する必要はありません。
ただし、プラットフォームごとに設定できる項目や機能が異なるので、ご自身のビジネス/商品に合ったプラットフォーム選ぶ必要があります。

例えばAmazonに商品を出品することで、Amazonの提供する自動価格設定機能を簡単に利用することができます。しかし先程述べたように、他の競合店や、Amazon自身との価格競争に巻き込まれてしまうので、商品にオリジナリティが必要です。

ダイナミックプライシングの導入は、適切な手段を選択することで簡単に

ダイナミックプライシングの導入は、適切な手段を選択することで導入ハードルがぐっと下がり、また導入後素晴らしい恩恵をもたらしてくれることも多い技術です。
弊社提供サービスは、ビジネスに合わせたカスタマイズも相談可能です。是非一度お気軽にお問い合わせください。

また、詳しいサービス内容に関しては、当社ホームページをご参照ください。

=> アジャイルシステム開発に関するページ

執筆協力

ダイナミックプライシング 研究組織 マテマ
“数学で世界をより良く”をコンセプトに掲げている研究組織。数学的に動作保証された最先端AIで、企業・団体のビジネスをサポート。
http://mathema-tech.com/

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